事務所に10年以上前の現場発泡ウレタンフォームのサンプルがある。しかし何故このビニール袋の中にあるかと言うと・・・ボロボロに劣化しているからである。
高気密高断熱を30年もしていると実績が多くなり様々な事が明らかになっている。特に新製品などは事務所内で長期保管して経年劣化を見る。
この断熱材の異変に気づいたのは机のPCモニターの位置を変更するため。
この断熱材は4年ほど前にPCモニターの後ろにモニター固定補助用としてPCにくっつけて置いてあったのを触ったときに、一部が崩れるように劣化していた。
粉菓子のようにボロボロになるのだ。モニター周囲温度はせいぜい55度ほど。それでこんなに熱劣化が進んでいるとなると、60度にもなる小屋裏や屋根下又は東西外壁に現場で吹き付けられた断熱材はどうなっているのだろう。
無論劣化が進んでいるところは接着力(連結力)も低下しており、この断熱材だけでは気密の維持は不可能であろう。となるとこの現場吹きつけ発泡ウレタンフォームの売りである「気密工事不要」は成り立たない。15年もすればヒビや木との肌分かれが起こるだろう。
「緑の家」ではこのような現場吹きつけ発泡ウレタンフォームは新築では一度も使っていない(微細な隙間塞ぎを除く)。新築以外で過去に一度だけ使った事があるが、それは築30年経た家のリフォームで断熱強化するときに使った。新築では使用実績は皆無である。
同様な年数を経た当事務所の定番「ネオマフォーム」を手にとってもこのような劣化は見当たらない。やはり工場生産品の品質と現場発泡の品質の違いなのか?
もし現場吹きつけ発泡ウレタンフォームを気密も目的で使うのであれ良く考えてからの方が良いだろう。また床下暖房用の空気の通り道になるところは厳禁だ。この微細な粉を吸い込むと咳が止まらない。
これらは’実績が短い化学製品は良くありがちな事。当事務所にあった製品が特別おかしいものであるとの見解もあるだろうが、気密はやはりポリエチレンフィルムという安定し長い実績もあるシートを使うべきである(調湿シートはまだ実績が少ないので避けたい)。確か・・・過去にも何回か申し上げている。