今年の建築学会論文から 木質繊維断熱材と気密シート

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9月に行われた建築学会の発表会でまだ面白い論文があるので紹介したい。

2019年の建築学会大会の梗概集から。

住宅建材会社につとめる人がファーストオーサーの論文となるが、少々興味深い。

研究の目的は、

「全国各地において木質繊維断熱材を用いた壁での結露評価」

とのこと。

気密シートを省いて木質系断熱材を使うにことを正しく判定できればもっと利用法が広がるのではないかとの考えが伺える。

実験は下の4種類の壁構成で暖房有り加湿初期と安定期の温度とRH(相対湿度)とAH(絶対湿度)を計る、

2019年の建築学会大会の梗概集41014から。

結果は・・・
気密シート(防湿シート)を省くことは今回の壁構成では不可能とわかり、グラスウールと木質繊維系断熱材を比較すると、その応答に多少の違いがでることがわかったと私は解釈する。

2019年の建築学会大会の梗概集41014から。

わかってはいるのだが・・・気密シートが最近流行の調湿シートと比較するとはやり透過量が少ないので冬期の安全性が高い。調湿シートとは透湿抵抗値が絶対湿度変化に対し反比例するような素材であり、AH(絶対湿度)が高くなると透湿抵抗が下がる性質を持つ。つまり夏期にAH(絶対湿度)が上がると高RH(相対湿度)から低RH(相対湿度)へ透過量を増やす性質があるので壁内の高湿を室内の低湿側へ透過させる。このことで壁内の高RH(相対湿度)を和らげる働きがある。よって夏期の条件で調湿シートの使用にメリットがあるので来期の夏のデータに期待する。

上のグラフを拡大してじっくり見れば他のことも気付くが、とりあえず気密シートなしでは内部結露を起し、木質繊維断熱材はGWより吸湿する特性が見て取れる。

この論文は民間企業のかたが執筆者なのでこれ以上の公開は控えるが、ほしい方はお送りするのでご連絡を。

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