新潟市白山浦の家 屋根通気 その2

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

平成4年発刊のマニュアル。今もこの本が結露防止の基本的指針である。とはいっても30年近く経つので少し内容が古い部分もある。

その2では最近多くなった屋根断熱時の現場吹きつけウレタン断熱時についてのこと。

長期優良住宅の屋根断熱時には内部結露を防止する根拠が必要。普通に考えれば長期優良住宅でなくとも必要だが。

その1でお伝えしたとおり、屋根断熱時には屋根通気層が内部結露防止には必要でである・・・と上でしめしたとおり性能評価(法律)のマニュアルに記載がある。その屋根断熱の構成が内部結露防止が可能であるかの評価方法は、まず透湿抵抗比となる。しかし屋根にガルバニュームなど金属葺きにした場合は、金属の透湿抵抗は無限大になるので(一般的に金属・ガラスは湿気を通さない)、この評価ではNGとなる。よって次ぎに内部結露防止を担保する簡単な方法として、定常時の透湿抵抗と熱伝導抵抗から境界のRH(相対湿度)%を算出することで判断できる。

この方法で代表的な屋根断熱を現場吹きつけウレタン断熱材で考える。当然通常の現場吹きつけウレタン断熱は防湿シート(気密シート)を設けない条件である。

構成は室内側から

PB(プラスターボード)9.5mm
現場吹きつけウレタン断熱 120mm
合板12mm
屋根通気層30mm
新潟の冬(屋根に雪が積もっている状況)で通気層0℃、RH(相対湿度)90%

とする。一般的な条件に従って内壁仕上げ材のビニールクロス等は除外する。これは防湿シートと違い、間仕切り壁内上部等には貼られないためそこから湿気が屋根内に抜けるので局所的に内部結露が起きるからである。よってビニールクロス以外でも仕上げ材は参入しない。決して後々剥がす事もあるからではなく、施工位置・方法が防湿シートと根本的に違うからであり、当たり前だがビニールクロスが防湿層の代わりにはならない。

計算すると・・・
合板と現場吹きつけウレタン断熱の境界でRH(相対湿度)が100%を超え結露する結果になる。つまりNG※である(2℃90%でもNG)。設定条件によって変わるが、少なくとも余裕がほとんどない危険側になりやすい。

※夏型逆転結露については有利になる。ただしまずは屋根からの漏水防止が一義的である。

確かに上で紹介した平成4年IBEC発行の「結露防止ガイドブック」の中に、

下のような表がある。

上の37Pで紹介されている防湿気密シートの必要性。

地域環境によって室内に防湿層が必要かまた簡単なものでよいか、それともしっかり貼る別付防湿層がよいのか・・・という判断表である。これによると、日本で一番寒い北海道とおなじように新潟の方も別付防湿層が推奨仕様となっている。また愛知や京都、東京も、香川、熊本でも別付防湿シート(断熱材とは別にはる防湿シートのこと)が推奨されている。この本は平成4年と古く当時とは違い研究が更に進み簡単に非定常計算が簡単にできるので少し変わっているが、それほど新潟県の雪が降るか降らない温度帯でも内部結露に対し厳しい温湿度といえるのである。ですので・・・防湿気密層はやはり必要との認識である。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする


コメント

  1. Ns より:

    愛知県で建替えを検討しているおり、初めてコメントさせて頂きます。

    まず、CFファンについて勝手なお話ですが、とても納得できるお話であり採用させて頂きました事を報告させて頂きたいと思っています。

    このウレタン吹き付けの屋根断熱の際の質問なのですが、依頼しているHMでは透湿防水シートへの吹き付けで合板との間に通気層をとっている内容でした(通気層が正しく取れているかは確認しようがありませんが…)

    透湿抵抗等の詳しい数値はわかりませんが、ウレタン250mmで防湿に不安が残るため300mmもしくは透湿抵抗が比較的高いA種1Hを160mmに変更しようか迷っていますが、そもそも屋根合板の結露という問題は起こりにくいのでしょうか?それとも問題が起こりうるのでしょうか?

    担当の方に質問したところ長期優良住宅を遵守しているため問題ないですよと返答がありましたが、外部最低気温-2℃室内22℃45%の室内環境でも問題ないでしょうか?との内容ではわかりませんとの事でした(壁は必要ないと言われましたが、上記の室内環境の為防湿シートを依頼しています)

    分かりにくい室内で恐縮ですが、解答頂けるとありがたいです(上部構造は改質ルーフィングに瓦屋根となっています)

    • Asama より:

      Ns様
       コメントありがとうございます。

      >そもそも屋根合板の結露という問題は起こりにくいのでしょうか?それとも問題が起こりうるのでしょうか?

      屋根に使う合板の位置で結露しやすさが変わります。冬期の結露は防湿シートで特殊な構成以外防げます。一方夏期の結露は小屋裏換気もしくは確実な通気層、透湿防水ルーフィングで対処できます。ただし、透湿防水ルーフィングの耐久性はまだ実績が少なく不安なところもあります。

      >長期優良住宅を遵守しているため問題ないですよ

      それはありません。長期優良住宅でも屋根構成など細かい点では規定が甘いです。ですのでこのブログで案内しているとおり国総研で、現在の問題点をあげつらってその改善の取り組みについて報告しております。
      ただ、長期優良住宅を取得していない(相当ではNG)家に比べれば遙かに耐久性はよい規定が義務化になっています。