その1では
1.ベタ基礎での蟻害の8割は玄関先と勝手口
2.ベタ基礎の隙間から浸入
3.広がる(ベタ基礎でも)基礎断熱の被害
のうち3.基礎断熱の被害をコメントしたが、その2は
1のベタ基礎での蟻害の8割は玄関先と勝手口
についてである。現在の白アリ被害が玄関と勝手口に集中することは道理であり、地面と家の一番接触が濃厚な部分であるため。
このことは国の研究グループでも指摘されている(クリックでその記事へ)。
いち早く20年前に「緑の家」で実際被害にあったことから、「緑の家」では19年くらい前から玄関周りの対白アリ対策設計を実施し進化させてきた。またどうしてこんなにアナウンスされているのに白アリ対策をなおざりにしているのかわからない。
進化した現在の「緑の家」は、究極的なシロアリ予防として、外階段を建物から分離するスタイルが多い。
このようにすれば玄関ポーチからの白アリを予防できる。木で階段を造る場合と、コンクリートで浮かしたり、空間を設ける事で蟻道を露出させメンテナンスを容易にする。
当然室内側も土など入れないでスラブから浮くように造る。
また玄関が地面と接しているような場合は、
上写真のように玄関ポーチを砂利にすることで蟻道を発見しやすくしている。これは玄関ポーチを頑強のコンクリートで固めてバリアーを造る手法とは真逆の発想で、砂利を動かせば簡単に蟻道を破壊できるというもの。
また勝手口もぬかりない。
このように地面と分離した木の階段で白アリの蟻道を発見しやすくする。無論階段に使用する木は白アリ天国の熱帯育ちのアイアンウッド類。この木に関して木造建築業者でも間違った考えの人が時折いるが、例えばあなたは
A.カナダ北部の冷涼地帯で育った木の目の詰まった樹齢200年のヒバ
B.熱帯地方に生えている樹齢60年のアイアンウッド類
のどちらが屋外で使う木として白アリ・腐朽に強いと思うか?
と質問すると、木造関係者はAと応える人が一定の割合でいる。
当然答えはBである。Aの生えている地域は現在白アリがそもそもいない。一方アイアンウッドは南国特有の強靱な白アリや気温が高いため旺盛な腐朽菌にいつもさらされている。そのため雨がかりという自然環境でそれに対応する堅さ、樹脂がふくまれるように育っている。よっていくら目が詰まっていても屋外では耐白アリ腐朽性がアイアンウッドより弱いのである。では土台や柱をアイアンウッドでつくれば最強か?と言われればそうかもしれないが、アイアンウッドは堅すぎて加工性が悪い上、癖が強すぎて構造材としては手に余るので使われない。ようは適材適所となる。大変強いアイアンウッドであるが構造材では使えないのである。