春期の小屋裏内結露は防げないのか?

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露点温度とはその空気の結露する温度のこと。この露点以下部分があると結露する。

この題を見て何のことか分かる方は日頃自然現象をよく観察していらっしゃる方だろう・・・。

昨日と一昨日の新潟県の気候は春そのもの。下の表は本当は長岡市のアメダスのデータがほしかったのだが、新潟市でしか絶対湿度を測定していないので新潟市のデータである。

10時には露点温度が9度に急上昇、これは暖房中の室内空気の露点温度と同じくらい高い。
気温は上がっても長岡市など雪国では屋根に雪がのったまま。

春なので気温は上がり南の空気に覆われると露点温度が急上昇する。春とはいえまだ屋根の上は雪が50cm残る長岡市あたりでは、雪のある屋根の下の合板温度は0度。その裏面は1から5度しかない。つまりこの時期には露点温度以下の部分が小屋裏にあるということ。

15年経た「緑の家」の小屋裏。屋根合板は健全である。

この露点温度が高い時間が長ければ構造用合板の結露は通常防げない。

先日の新潟での露点温度の推移。20日10時に急激に上昇し春の大気におおわれる。

上のグラフでわかるとおりここ数日の露点温度の急上昇を見ると、理論的に屋根裏面で結露しないはずがない。実際折半屋根のカーポートは結露する。

この春期結露を防ぐために新潟県のSGL鋼板の屋根は構造用合板の上にあるものを一枚挟み込む。それがインシュレーションボードと言われる木の粉でつくられた厚さ約8mmの断熱ボード。このボードのおかげで屋根下地の構造用合板の小屋裏側では0度から5度の温度範囲の5度に近いところで推移することになり、構造用合板が結露する時間が抑えられる。だからその程度なら上の写真のように合板は健全さを保つ。雪深いところではほんのわずかな工夫で無難となっていることが多いのである。このことは他の県の方ではなかなか分からない地域独特の事情だろう・・・。

30年ほど前は、杉の無垢材をこの構造用合板代わりに利用していたが、構造用合板の透湿抵抗の高さでこの時期の結露は合板の方が結露しない事になる。同時に小屋裏換気もできる限り多い方がよいと私は思う。これは万一結露し濡れても早期乾燥が木を健全に保つ秘訣であるからだ。

実はこの雪国における雪が原因の「屋根下の結露と小屋裏換気量」についてはほとんど研究されておらず、論文が見当たらない。であるため小屋裏の換気量が多い方がよいのか、少ない方がこの現象に対し有効なのかの知見はない。確かに少数の事例になるので国の研究としては優先順位はとても低いだろうが、地域の大学など研究機関で調査してほしいと願う。

但しこれは2階の天井の防湿(気密)シート層が完全に行われていることが前提である。室内空気の露点温度は9度くらいであるから、この時期の露点温度の高い外気と同じくらいなので室内から湿気の流入を防ぐ事も重要となる。

私的には室内と同じ露点温度のこの時期の外気に私は驚く。

追記
最近この構造用合板より無垢の杉板(バラ板、野地板)が結露、雨漏れに強く耐久性があるとの話を聞くが、その全てが経験談で屋根の解体時に合板の腐朽を見たとのことによる。ではその腐朽した合板が「特類」であったか確認はしたかと聞くと「特類ってなに?」のような顔をする。合板には水に対して強さでJASで等級分けされており、基本的に特類以外は屋根下地に使う事は難しい。しかし30年くらい前の家には、平気で特類以外の合板(1、2類)が使われており、このような特類以外の合板は、接着材に耐水性がなく水で直ぐにばらけてしまう。当たり前のことである。特類なら野ざらしでも平気なくらいの耐水性をもつ。常時濡れる船体や木の足場板でも特類の合板があるくらい。特類の合板を野地板として使うなら赤白の杉材と同じかそれ以上の耐久性があると私は考えている。特類以外に1類から3類まであるがこちらは水に弱い。

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