厚物構造用合板の勾配天井は危険かも。

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先日「プラスチック系付加断熱と内部結露」とのブログを2つアップしたが、高断熱高気密が得意な会社は構造用合板の耐力壁をさけ、新建材合板(ダイライトやモイス)などを耐力壁に使いたがる。しかしそんな会社でも桁上合板や勾配天井の水平面剛性をとる合板(野地板を含む)にはその嫌っている構造用合板を厚物で野地板として平気で使う・・・この矛盾は?これはダブルスタンダートなのか。

最近は屋根勾配なりに天井を貼る家が多い

小屋裏空間を設けない家が大変多い(これを勾配天井とする)。デザイン的には良いと思うし私も多くの施工例がある。更に勾配天井を行った時に、水平面剛性を火打ちを設けるとデザイン的にスッキリしない(かっこ悪い)という理由で、屋根面で剛性をとる考えが多い。この時の水平面剛性は構造用合板を使うはず。そこに今回の話の中心がある。

厚物合板24mm以上

特に水平面剛性を強くしたいときには、合板を12mm厚ではなく24mm以上にする人も多い。さて・・・この時に内部結露判定を行っているだろうか?もし断熱材がこの野地板になる厚物合板に挟まれていて、空気の流通がないときには壁と同様の条件になる。私が定常計算で内部結露算定を行うと・・・12mm合板の時にはグレーゾーンで一応結露はしない結果になるが、厚さ24mm以上の合板になると完全に結露が発生する結果になる。断熱材は繊維系でもプラ系でも結露する結果になる。

無論内側天井にPBでなはく合板12mmがあっても結露する算定結果になる。これは定常計算だから安全側に考えているためで非定常計算ならOKになるかもしれない。だからここは別になんとも思わないが、問題は外壁は構造用合板は駄目と言っていながら屋根・天井はOKという2枚舌的な矛盾した思考で建築を考える事が、ユーザーに誠意ある事実のメッセージを送っていないと私は考える。

つまり・・・内部結露で気にするところは壁ばかりではないということ。何時も申し上げているが、建物は

安全(耐震性)、耐久性 > 温熱、デザイン、利便性

との思考回路が健全で無難だと思う。

なぜ外壁の耐力壁にダイライトやモイスを使う?

と理由を聞くと

「透湿抵抗が低いから」

と答えていながら、天井・屋根については関心なしで構造用合板の厚物を使う・・・というより多分、気がつかないのだろうか。

「緑の家」は一貫して室内側に正しく気密シートを施工すれば外部に合板があっても大概は問題ないとの判断。しかし厚物合板(24mm以上)は別であり、24mm以上の合板を断熱材の外側に貼る場合(断熱境界は合板の外側の時)は、写真のように何時も穴をあけ合板の透湿抵抗を少なくする。これで合板での結露は防げると考えている。

なぜ「緑の家」では桁上合板に穴をあけるかは、内部結露防止と以前から申し上げている。

勾配なりの天井で小屋裏がないタイプは、12mmまでの野地板合板ならまだ許せるくらいのRH(相対湿度)であるが、厚さ24mm以上になるとRH(相対湿度)は100%を超える計算になる。この耐久性的な問題をどのように解決しているのか不思議になる。特に火打ちを省略し24mmを貼る時は、登り梁などに直接打ち付けて貼る事で水平面剛性を確保するはずだから、合板外側が断熱境界になるはず。この24mm厚物合板の外側でいくら通気層があろうと関係ない。最近流行の透湿防水ルーフィングも同様に関係ない。これは合板内側で結露する判定になるから。仮に非定常計算で結露なしとなっても、長期に渡りRH(相対湿度)が高い状態が続けが劣化は早まり、耐久性が落ちる事は明白である。

屋根通気層の主目的は夏型結露の緩和

屋根の通気層は何のためにあるか?それは夏型結露(蒸し返し)を緩和させるためである。屋根は建物のなかで最も温度が上がる部位。しかも多くの屋根では雨が必ずわずかに下地に浸透している。その雨が下地を突き破っている釘穴、タッカー穴から野地板に侵入し、野地板は日射によって高温になった屋根材の影響をもろに受け、蒸し返しを始める。放出された水分は透湿抵抗の最も高い屋根防水材側から排出は出来きないため、屋根内部側に放出される。この放出された湿気を屋外に速やかに排出するのが小屋裏換気口である。小屋裏が無い場合は屋根通気層になる。よって屋根通気層の主目的は夏側結露の緩和になる。実は外壁の通気層も同様で夏型結露緩和と外壁の早期乾燥、そして冬期の壁内に侵入した湿気の排出となる。冬期のことだけを考えれば、防湿層さえしっかりしていれば通気層がなくてもよい。一方本州はモンスーン気候の夏期となる。その中で無難な考えという事は私はとても重要なキーワードだと思う。

下は安全率1(ポリエチレンフィルムの透湿抵抗0.14)の甘めの定常計算の時。室内側は22度RH(相対湿度)45%↓屋外は-5度であるが0度でもほぼ変わらない。

下は安全率1(ポリエチレンフィルムの透湿抵抗0.14)の甘めの定常計算の時。室内側は国の防露判定基準の15度RH(相対湿度)50%↓

外気温は-5度での計算だが0度でもほぼ同じ。

いずれも合板24mmの内側でRH(相対湿度)が100%を超え完全結露状態になる。非定常で行った時はOKになるかもしれないが、完全に問題ないと言い切れないくらい高いRH(相対湿度)となるだろう。

桁上構造用合板貼り+天井断熱の無難さ

「緑の家」では耐震等級3以上を標準としているため、桁上に全面厚物合板を貼るが、厚物合板を使った時には勾配天井にしない。これで合板に穴をあけることで合板の内側を外気側にすることで無難な昔と同じ家の小屋裏が出来上がる。このように「無難な家」というキーワードが住宅にはどれほど大事か・・・ではないだろうか。

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: DSCF5556.jpg
穴の空いた合板で天井断熱内部にたまる湿気を外部に放出させる。

当然厚物合板でも断熱材の内側だけにある場合は特に問題はないことを付け加えておく。

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コメント

  1. さく より:

    お久しぶりです。

    桁上に合板を貼る場合、天井断熱ではなく、合板上に気密防湿シートを貼った桁上断熱にする手もあると思いますが、あえて合板より室内側を断熱する天井断熱を選択している理由を教えていただけないでしょうか?
    我が家を施工してくれた工務店も、標準は同様に桁上に24mmの合板で天井断熱の仕様です。工務店は施工上の屋根形状の制約や桁上断熱施工時の雨が理由でした。Asama先生のお考えはいかがでしょうか?

    • Asama より:

      さく様

      >あえて合板より室内側を断熱する天井断熱を選択している理由を教えていただけないでしょうか?

      まず第1にコストでしょうか。次は工務店さんのおっしゃるとおりです。
      桁上に安価なセルロースで450mmにもなるとデザイン上も構造上も良ろしくない。しかしフェノールフォーム200mm厚物合板上ではコストがかかりすぎる・・・。あと壁気密シートの位置が室内側の場合は天井断熱のほうが相性が良いと思われます。

      一方のぼり梁で火打ちが無く厚物合板貼り場合は、結露対策に厚物合板上に断熱材が入り、その上に更に通気層+野地板とこちらもコストはアップはかなり大きくなりますし、屋根形状の制約も多くなります。

      • さく より:

        Asama先生

        お教え頂きありがとうございます。
        工務店もAsama先生とほぼ同じ理由でした。

        我が家は桁上断熱に変更しましたが、おっしゃる通り小屋組を断熱分高くしたのでデザイン的にはちょっと間延びした感じはありますね。
        それに積雪を考慮しなければいけない地域では屋根強度面でも課題がありそうですね。

        ありがとうございます。とても参考になりました