ご存じの通りオーブルデザインは北は北海道から南は九州までの沖縄と島を除く日本全国で設計を行っている。そこでいつも困るのが確認申請の規定の違いである。本来国内での建築基準法の規定は同じでなければならないが、条文では全て網羅できないこともあるので、この法で大きな市には建築主事なる職をおいて、その人の権限で判断している。しかしあまりにも都市によって解釈が違うと、建築主に対し平等性を欠くので上のような日本建築行政会議などで統一見解を出している。
がしかし・・・
それでも真逆の解釈で規定されている都市もあり、その一例をあげると・・・上の写真は冒頭の書籍のP118で黄色い矢印の文のように「収納空間には内部(室内)からのみ入ることが出来ない構造」になっているが・・・
愛知県の規定ではなんとピンク矢印のように外部からでもOKとなっている。これは個人的にはありがたいが・・・真逆の判断である。
また同ページのピンク矢印には法第2条第5号に規定する「局部的な小階段」に該当するとあるが、この文しか階段に関する規定はこの日本建築行政会議の書籍にはない・・・しかしある都市の規定では・・・
「建築施行令23条及び25条の規定を満たすこと」となり、一般の階段と同じように手すりもつけなさい、角度も急ではいけません。巾も75cm以上です・・・となっている。小屋裏収納へはハシゴでの進入も許容されているので、固定階段に限定されているとは言え、一般と同じ階段にする規定は論理的に理解しがたい(お子様のためなら仕切り戸を設ける方が安全性は高い)。そのため多くの都市では施行令27条の階段として取り扱っている(巾も角度も手すりも自由)。
これらの相違は何故起こるのか?それはこの本の悔しい表現に上のピンク矢印で示した、「個々の事例は申請する審査機関に確認が必要」とあり結局統一しない事をさらっと書いている。基準の統一のための日本建築行政会議なのに、この一文は何の冗談なのかと感じるが・・・。
いずれにしても、階に算定されない小屋裏収納は小屋裏収納をつくるために小屋を意図的に大きくしたり、居住階の天井高を低くして設けてはいけないとの事だけは、どの地域でも共通した認識である。そこから居住部と繋がっていてはいけないという流れが強くなっている。確かに法文の主旨はあくまでも階に算定しない事のための小屋収納だから当たり前のこと。一方「緑の家」の標準採用している一階床下収納(高基礎)は、防腐防蟻効果の半永久化と設備類のメンテナンスの容易化との大義があり、その成り立ちが全く違うといえる。しかも居住部とつなげてもほとんど意味がないというより床下暖房が出来ないので隔離するしかないため、どうやっても収納にしかならない。その一方、小屋裏を居住部一部として、もしくは収納ではなく居室として意図的に使っている事例(完成検査後天井高など改変する)も、巷では多々あるので更に規定が厳しくなるであろう。
様々な審査機関で確認申請を行うときに、このような事や最上層階を重くするという地震時の頭でっかちの不利益を考えると「緑の家」は無難を目指すと宣言しているので、小屋裏収納を「積極的に」提案することはないであろう。