13年前、「緑の家」ではUA値が0.29W/m2K(旧Q値0.99)以下の超高断熱住宅の標準化を2008年に宣言している。これは「緑の家」が概ね10年後の高断熱基準を考えてつくられており、決して今現在の高断熱基準や光熱費を考えているわけではない。
今から10年前の2011年1月に超高断熱旧Q値0.9(UA値では0.26)程度の「緑の家」の居住後1年時の、バスツアーで配布した資料が思わぬ所から出てきて懐かしーと思っている。
2008年当時、こんなに高い断熱基準は異常だろう・・・と呼ばれたSSグレード(現A、Bグレード)は、今や多くの高断熱住宅メーカーも手がけるくらいになってきた。
上の表にあるように10年前は、ほとんどの大手ハウスメーカーではまだ低い断熱の家であった。その中で一条工務店さんと北海道の積水ハイムさんだけが超高断熱住宅を造っていたことがわかる。10年経た現在は断熱性能こそ少し良くなったが、気密性能を全棟測定しているメーカーは相変わらず少ない。
過去の行った行為はもう変えることが出来ないので、何かを比較するときにはこのような経歴はとても重要だ。特に・・・住宅のような20年以上それを持ち続ける事がほぼ当たり前のような性質であるものは、長い目で俯瞰できる設計者の資質が重要となる。その意味ではUA値0.25~0.29W/m2Kの超高断熱を2008年に全棟設定(結果的)していた「緑の家」は素晴らしいと自画自賛である。
そして現在であるが、冒頭の京極町の家では当初0.16W/m2K(施工中に0.18W/m2Kにダウングレード)を始め、Asグレードでは0.20W/m2K~0.25W/m2Kを設定し現在も10年先を見据えた断熱性能をお勧めしている。当然耐震性能、耐久性能もほぼ全て最高等級の3となっている。
これは何度も申し上げるように、家の寿命は30年以上はあたりまえ。20年経過後の家の性能が20年後の一般的な家の性能と同じくなるように「緑の家」では設定している。確かに現在の視点で見ると性能過多な気がするが、それは20年経ったときに判断して頂きたい。限りある住宅資金を耐震耐久性、超高断熱性能に多く振り分けるのが現在の「緑の家」かもしれないが、それが住宅の根本であると思うから13年経た今も全く変わらずにお勧めしている。