京都 東本願寺にて

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御影堂門から御影堂を見る。世界最大級の木造寺院。

4月20日、京都では東本願寺で所要を済ませ境内を歩いて建物をみてまわる。倉庫以外の用途で木造の建築としては世界最大の建築面積となるこの建物の全景は圧巻の一言。木造住宅に普段接している私から見ると何とも異次元の建物に映る。しかし境内の資料館にある1/50の図面を見ると、普段の住宅の図面と数倍しか違わずA1用紙に入るかも・・・と思わせその意識は薄らぐところに自分は設計が生業なのだろうと感じた。

広角25mm程度では納まりきれない横幅の屋根。このスケールで木造とはちと信じがたい。

20年前にもこの地に来ているがあの時と今日は別な気持ち。心の整理がついたと思ったが再び4か月前に・・・。が、このぬけるような空の色が心を整えてくれる。

境内は玉砂利敷で大変あっさりとしている。不思議なのは境内にある樹木は銀杏だけということ。何も無くともこの御影堂だけで十分であるがポツンとある銀杏に疑問・・・

なぜ銀杏なのか・・・がわからない。

実はここで少し謝らなければならない。

12~20年前に書いた当HPの訂正(下の写真の見解)だが・・・

こちらは20年前の青矢印の写真を掲載したつくった当HPである。

上のHPの時には、この東本願寺の阿弥陀堂の正面吹きさらしの床が黒光りしている理由を、無塗装で人が裸足で歩いた50年後と紹介しているがこれは間違いであり、あのときの黒光りは床の上に塗装が施してあるためと今回わかった。今度はメンテナンスしている係員に伺ったので間違いない。木の天敵が「紫外線」である事がわかっている今ではこんな間違った認識をしないのであるが、当時は紫外線で短時間で木が劣化することを知らなかった。ここに訂正をしお詫びする。

20年前のショットと同じアングル。人の触れない矢印の蹴込み部分までも黒の塗装が剥がれていた。

今回阿弥陀堂で見た当初は、近年の大観光客ラッシュでその床表面が削れたと思っていたが、上と同じ角度の写真でもわかるとおり、人が触らない上がり段の蹴込み板まで黒色が落ちている。つまり人の摩耗で表面がなくなったのではなく、紫外線による劣化が一番の原因とわかる。

節周囲はほとんど剥げているが節と際部分に黒塗装がのこる。

当然紫外線でもろくなった表面に人の足で削られてしまえば人の足が触れないところより、直ぐに素地がでてくる。紫外線で劣化し難い堅い節部分は色が落ちていないことから見てもそのことが裏付けられる。

木の大敵は紫外線で有り、紫外線が当たりやすいこのような濡れ縁は表面が痛みやすく艶が出ることは少ない。その一方障子戸の内側であれば痛みは少なく艶も出ているところが多かった(屋内写真撮影は不可)。

これを見て思うのはやはり木は無塗装が一番だろう・・・との認識である。削られて艶がなくともその分独特の肌触りの良さがあるから。

白矢印は埋木のあと。多分若い大工見習がこのようなメンテナンスをすると思われる。

それと気に入ったのが、この埋木。木が乾いて雨でまた伸びてを少し繰り返したあとに出来た長年の隙間を丁寧に木で埋めている。こんな些細なことが実は大事なメンテナンスであり、職人の勉強にもなる。どんな風に木が縮んで傷むのか、動くのか・・・。この床はヒノキのようで厚さこそ違うが「緑の家」と同じ素材。

網のない江戸時代にはどのように鳥を防いでいたのか?食っていた?受け入れていた?

こんなに気を遣っている阿弥陀堂であるが流石に鳥公害に勝てない。鳥が入り込まないように網が全面にかけられており、生物の脅威防止は見栄えより大事になる。住まいでも自然と共に暮らすためにはこれも必要なことと認識している。

人の想い(信仰心)が支えるスケールとその意匠・・・。見事な建物である。

両親を見送りこれでこの本願寺に伺うこともないと思うが、機会があればまたその後の成り行きを観察したいと考えている。

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コメント

  1. 神田康平 より:

    いつもブログを拝見させて頂いてます。
    ブログの内容とは関係ないのですが、簾はどんな種類のをどこで買われていますか。

    • Asama より:

      神田様
      コメントありがとうございます。
      〉ブログの内容とは関係ないのですが、簾は
      思い切り関係のない内容で吹き出しました。自邸のすだれ等は近くのホームセンターで買います。種類はごく普通のものですが、燻タイプを買います。燻でない新しい色は拙宅には似合いませんので。サイズも既製品サイズをそのまま使います。通常3年で交換します。

      • 神田 より:

        ご返信ありがとうございます。内容が唐突過ぎてすみませんでした。天津すだれと異なるところはあるのでしょうか。3年で交換するのは劣化しボロボロになるということでしょうか。1階はアウターシェードを収める空間を作っていただいたのでykkのアウターシェードとも迷っています。すだれにしたい理由は2階はボックスがないためすだれにするので統一した方がかっこいい?、外壁が杉板や焼杉のためすだれの方が似合う?のかなって考えています。すだれはアウターシェードと比べて遮蔽率は下がるのかなと思いますが、その分すだれ方が明るかったり、外が見やすかったりするのかなと思うのですがどうなんでしょうか。

        • Asama より:

          神田様
          >天津すだれと異なるところはあるのでしょうか。
          多分ですが同じだと思います。
          >3年で交換するのは劣化しボロボロになるということでしょうか。
          カビがたくさん生えることと、決定的なところは紐が切れるからです。
          >すだれはアウターシェードと比べて遮蔽率は下がるのかなと思いますが、その分すだれ方が明るかったり、外が見やすかったりするのかなと思うのですがどうなんでしょうか。
          概ねそのとおりだと思いますが、アウターシェードと簾の正確な遮蔽率を知りませんので想像となります。

          簾は上部に原則庇が必要です。これは雨に濡れることを繰り返すと変形しやすくなり見た目が悪くなるからです。一方アウターシェードを好んで使わないのは、固定がイマイチで風に弱いからです。このため留守中にアウターシェードを下げっぱなしでそのままにしておくことはまず出来ませんので、留守中は上げることになりその結果遮蔽性に難があります。ですのでご希望がない限りアウターシェードは使いません。