EV(車)の普及に欠かせないこと

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先日EV推進の報道がされ、それを要約すると・・・

政府が掲げたのは、2030年までに電気自動車(EV)向けの急速充電設備を3万基設置するという目標を掲げた。 消費者の間ではEVの航続距離や「充電切れ」をネックとする声も根強いし特に積雪地域では最も憂慮される理由。ところが35年に乗用車の新車販売を全て電動車にするという目標を確実に達成するためにも、インフラの整備をさらに進めていく方針を政府は明確にした。自宅駐車場での普通充電器は、200V制限があるので満充電までに6~16時間ほど時間がかかる。一方、30分~1時間程度で80%まで充電できる急速充電器は、高速道路をつかった長距離移動の際に不可欠だ。現在公共の急速充電設備の数は21年3月末時点で7893基とのこと。この数を4倍に増やし、全国に約3万カ所あるガソリンスタンド並みの利便性を実現したい考えだ。

これではずいぶんいい加減な記事なので真実がわかりづらい。だから少し補足すると・・・ガソリンは5分で給油完了であるが、充電は早くても30分かかる。つまり利便性を同じくするなら6倍の数のスタンド(急速充電機)がないと待ち行列ができる。まずEV車の目標として2030年までにEVが全車保有の1/3になったとする。そしてその半数が家での充電を行うと仮定すると、6×(1/3)×(1/2)で1となる。よって今あるガソリンスタンド(給油機)と同じくらいの数がないと利便性が同じくならない・・・とのはず。ここで大事なことはガソリンスタンド数でなく充電機数が現在のスタンドの給油機数と同じことであり、上の公表された内容はそこ(比較対象がガソリンスタンド数と急速充電基数)が上手くすり替えられている。ガソリン給油の方はスタンド数であり、EV充電は充電基数である。仮に一つのガソリンスタンドに4つの給油機があるとすると、同じ利便性にする為には、現在のガソリンスタンド数との比較なら4倍は必要である。つまり政府の考えは2030年には登録車数に対しEVの占める目標は1/3×1/4=1/12であると思われる。この数ではとてもEV車に置き換わったとは言えない。当然今までのガソリン車がほとんどなのだから1/12でも大変多い方か※。記者(ライター)はそこをはっきりさせないといけないはず。最近の記事はこのようにウソではないが事実を意図的にごまかす記事が多い。

※全国自家用車保有数は約5000万台で年間新車販売数が約260万とすれば1/20となり、既存のEV普及率を含め2030年のEV普及率として1/12は妥当かも。

しかし・・・これでも急速充電に30分かかるのだから同じ利便性とは言えない。高速道路の移動で2時間に一度の30分急速充電。私は仕事でEVを使うのはいやだなと思う。充電に30分以上かかるならまた仕事の効率が落ちる。今まで時代を一新してきた道具は全て便利、効率がよいからである。スマホもどこでも早く情報伝達ができるから。これは今まで10分かかっていたことが10秒で終了することを指す。例えば資料を探すのに図書館まで行って閲覧して本を探すと1時間かかるが、スマホやパソコンなら検索して膨大な資料から選ぶことを自室で出来る。多分時間にして10分もあれば同じ内容にたどりつくだろう。つまりEV普及の鍵は急速充電基数と共に充電が5分前後で完了できることである。

さて問題はもう一つ(私は問題ではないとおもうが)。

現在消費しているガソリンがEV車になると電気で補うのでどの程度電気を車に使うか試算すると、政府の統計によると自家用車(営業車は除く)の年間ガソリン消費量は5000万KLとなる。これをエンジンの熱効率20%で34.6MJ/Lとした換算では3.46×10^11MJとなる。ガソリン車からEV車に1/3に置き換わると最小でも30億KWの発電所が追加で必要となるがこれが多分・・・化石燃料消費の発電所になることである。それがカーボンオフを目指す為のEV施策と矛盾していないかということである。

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コメント

  1. 西裏のS より:

    政府の掲げる急速なEV化には非常に唐突でとても不自然な感じがいたします。
    そんな中、先生が仰る、2030年のEV車の目標が全体の1/12程度ではないかとのお話には納得させられます。
    充電スタンドの拡充が急務なこともそうですが、現状自家用車がガソリンで消費しているエネルギーは相当な量と思いますが、それを電気でとなると発電所の拡充も必要になりますよね。目的がCO2削減であるなら、原子力でしょうか?今後の日本で大量の原子力発電は受け入れられないと思います。そして火力発電をメインでと考えると、Co2削減と矛盾しますよね。まだ、現状のガソリン車の方が効率が良いかもしれません。
    心配なのは、結局、利便性をそのままにしてのEV化は困難であり、利便性の低下を含めクルマ社会での消費エネルギーの大幅削減を盛り込んでいる計画なのではと危惧しています。
    穿った見方をすると、EV化推進の目的が温暖化防止のためのCO2削減ではないようにも思えてきます。Co2削減の真の理由は石油系燃料の使用による気候変動対策ではなく、石油の供給がいよいよ減少し始めるためなのではないかと。
    まず、それに対する手始めとして一般庶民の自動車の利用が制限されるって事なのかもしれません。
    いずれにしても、現状のような自由な自動車の利用は、今後庶民には出来なくなって行くものなのかもしれませんね。

    • 赤林伸一 より:

      車の8割は一日20km(年間6000km)しか走っていないそうですから、多分充電は家庭用の電力化太陽光発電ではないでしょうか。営業者は別ですので、これに関してはガソリンやディーゼル、LPガス車がしばらく残るのではないでしょうか。水素を燃料とする燃料電池車も開発されています。燃料の水素が、天然ガスの様に地中に埋まっていると思っている人が結構いるそうで、恐ろしい限りです。太陽光発電で水を電気分解して水素を作って燃料電池で電気に変える研究をしている人もいて、なんだか変だなあ、電池があればすむのにと思ってしまいます。石油は、私が小学生の頃(昭和40年頃)も後30年で枯渇するといっていましたが、現在でも同じ状況のようです。価格が高くなれば掘り出せる石油も増えるわけで、掘る方法を効率的にすれば価格も安くなるのかもしれません。後3000年分あるといっている研究者もいます。リモートでわかりましたが、将来は人が移動しなくなるのではないでしょうか。VRも発達していますし、わざわざ行かなくても十分に楽しめそうです。

      • Asama より:

        赤林先生
         
        >燃料の水素が、天然ガスの様に地中に埋まっていると思っている人が結構いるそうで、

        これには大変びっくりで苦笑いしました。多分・・・いるのでしょう。

        >将来は人が移動しなくなるのではないでしょうか。

        なるほどと思いました。

      • 西裏のS より:

        >石油は、私が小学生の頃(昭和40年頃)も後30年で枯渇するといっていましたが、現在でも同じ状況のようです。
        確かに、私が小学生の頃(昭和50年頃)も同様に後30年と聞きました。このままずっと30年分の在庫が続いてくれたら良いのですが、現状既にシェールオイルに頼っている石油の生産には不安が募ります。
        今後上昇するだろう採算コストに見合う価格を受け入れてゆければ、当面は石油資源の枯渇は起こらず、30年分の在庫も維持できるのでしょうか。ただ、近い将来どんなにそこに沢山埋まっている事が分かっていたとしても、100Lの石油を掘るのに100L以上の石油(エネルギー)が必要となるならば無いのも同じ、枯渇ですね。
        先生が仰るように今後の石油採掘の技術革新に期待します。石油に代わる低コストで密度の高い新エネルギーが開発されない限り、現代社会は根本的には石油採掘に頼らざるを得ないのではと思っています。
        >後3000年分あるといっている研究者もいます。
        それが本当なら私の心配はたぶん杞憂ですね。是非そうであってほしいです。
        素人がこんなこと言うのもなんですが、あながち間違えではないような気もします。木星や土星ほどではないにしても惑星地球には石油の元になりうるメタン等の炭化水素が大量に含まれていても不思議ではありません。地中深くから染み出してきた炭化水素が地層中に蓄積し熟成すると石油や天然ガスに成り、深海底に蓄積すると水と合わさってメタンハイドレートに成るのかも?

    • Asama より:

      西裏のS様

      コメントありがとうございます。

      >発電所の拡充も必要になりますよね。

      そのとおりで自家用の1/12になると自家用の電気消費だけで原発1基分ともいわれております。

      >現状のガソリン車の方が効率が良いかもしれません。

      最近のテスラSでは家庭用電力充電でも熱効率がガソリンと同じか少しよくなるとの解析をしている人もいますので、ガソリンの効率向上より更にEV(バッテリーとモーター)の効率が急に上がっているようです。

      60才をすぎたらEVに乗り換えるのだろうな・・・と思っておりますが、おっしゃるとおり・・・まだガソリン車の自由性が好きです。

      • 西裏のS より:

        >自家用の1/12になると自家用の電気消費だけで原発1基分ともいわれております。
        自家用車を全てEV化すると現状維持で原発12基ってことですか。う~ん、原発には反対ですが不可能ではない微妙なところですね。
        丁度来月が車検でクルマをどうしようか悩んでましたが、もうしばらく今乗ってるガソリン車を大切に乗り続けようと思います。もう24万Km超えていて、目指せ30万Kmです。次に買うのはわたしもEVかもしれませんね。変化が激しすぎて今後どんなクルマ社会になっていくのか分かりませんが、わたしも自由なクルマ文化が続いてくれることを願ってます。

  2. Asama より:

    赤林先生

     コメントありがとうございます。

    >6倍必要(6×(1/3)×(1/2)で1)という関係がよく分かりません。

    6→順番待ち時間を現在と同じくするための数(30分対5分)
    1/3→現在のガソリン車に対するEV車のしめる割合
    1/2→EV車は自宅で充電可能なため、出先充電割合を半数とした

    としております。

    >性能の良いバッテリー(例えば超伝導を使った充電装置)が出来ないとEVは普及しないのでは無いでしょうか。

    同じ考えです。
    充電基数だけの問題ではなく、本文中にもあるとおり急速充電は5分でOKでにならないと便利な車とはいえません。このところは15年間も同じことを言ってますが、今もかわりなく30分かかることがネックです。

  3. 赤林伸一 より:

    急速充電器を現在のガソリンスタンドに4台設置すれば1/3が電気自動車に変わっても良いと言うことでしょうか。5分が30分掛かるというのと、6倍必要(6×(1/3)×(1/2)で1)という関係がよく分かりません。いずれにしても、充電方法や充電時間はバッテリーの性能ですから、性能の良いバッテリー(例えば超伝導を使った充電装置)が出来ないとEVは普及しないのでは無いでしょうか。知り合いが、リーフを買って家の太陽光発電と連携させたら電気代が半分になったと言っていました。自動車も使用頻度が少なくなれば、充電池を買うより安い電力平準化装置になるのかもしれません。