昨年の12月のこと。室外機の音と霜の付き方に異常を感じたオーナーさんがメーカーに点検(修理)依頼すると・・・
「特に問題ない。少し霜がついているのでお湯(蒸気)で解凍しておきます」
と言ってメーカーさんは帰った。それから2週間後改善しないので私が室外機を目視すると明らかに霜取り運転が異常(他とは違う)であったので、再びメーカーさんに見てもらうと・・・
室外機をお湯(蒸気)で除霜したときに傷をつけたので室外機の取り替えは行う。室外機を引き取るので調査する。と言ってその約2ヶ月後調査書がきた。そこには・・・
「室外機に異常はない。機器の内外設置方法が悪いので霜がついたのである。特に長岡のような土地柄では室外機は、当社が推奨する防雪フード類で覆わないと霜取りがうまく行われない」
との文面で回答をもらった。しかしオーナーさんも私も下のような納得ができない旨を伝えた。
1.同年度同一機種で同様な使い方をしているのにならない室外機がある。また他メーカーでも、また長岡地域を見渡してもそのような防雪フードを取付けているエアコンは皆無である。
2.再現試験をしても同じ現象はでないとのあるが、室外機のコア部分だけもってかえって試験しても条件がちがうのに、今回の設置位置が悪いと断言する根拠が無い。
3.その他もろもろ・・・
を強く伝えたら故障時の室内機まで引き取って調査してもらう事になった。
そして7月の終わりに調査報告書が届き、
「確かに除霜に異常が認められた。これは圧縮機の異常摩耗により冷媒内に摩耗くずが入り膨張弁が機能しなくなったため。この原因は室内機の設置位置と使用方法によることが原因で、長時間負荷がかかったことで圧縮機に異常な摩耗が発生した」
とあった。今度は防雪フードが必要と一言もない。
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・・・
これが今のメーカー対応である。
最初にエアコン製造販売の素人である私とオーナーさんが霜取り異常に気づいたのに、その状況を目視したメーカーのサービスマンを筆頭にメーカーの技術者までが当初の報告書では、「異常はない。屋外環境がわるいから、つまり使い方と設置方法がわるいから起こった現象である」(要約)と決めつけていた。そしてそれに対し強硬に(オーナーさんは冷静に理論的に)、もう一度全く同じ条件でテストしてほしいとして申し入れたのである。メーカーの技術者は、当時の写真や状況だけでも今回の霜取りが異常であるとわからなければ、何のためのエアコン技術者なのか?おきた現象が異常か異常で無いかぐらい判断できない人が品質管理している事に少し恐怖を覚える。このメーカーは同系列メーカーで原発さえつくっているだろうに・・・。
そして次ぎに
「異常が認められた。確かにその現象が起きる」
と認めたところまではよいが、その原因がこの14畳用エアコンを床下用エアコン及びオープンな空間(14畳以上の広さ)で使ったことによるとのこと。先の防雪フードがないためとかは一言も無く、その誤った断言についての謝罪はむろん弁解さえない。
あのねー、当時実際負荷がどの程度かかったわかっていないのに、負荷のせいにするのは最初の報告書と同じく妄想の範疇。最近は特にコロナの影響もあって世の中では、窓を少し開けて換気過多でエアコン暖房していることなんてよくあること。つまり3年前よりエアコンにより負荷がかかる使用方法は、巷で普通に行われている(店舗などほぼほとんど)。もしそれが原因で圧縮機が壊れるなら、どの程度負荷をかけたら問題なのか表示してほしいし、表示しなければユーザーがわかるはずもない。インバーター付きのエアコンなんて、可変能力のため出力や消費電力が大きく変化する。それをユーザーや設置者が把握し制御する事は不可能である。だからこのような機器には必ず保護回路があり、機械の許容限度を超えないにように出力を抑えたり、OFFになることは当たり前であろう。それを負荷がかかるような使い方にしたから壊れた・・・。ホントに大手大企業メーカーが正式文面でおっしゃることなのだろうか?そもそもカタログにも低温時の最大暖房能力表示までしているのに、その能力では使わないでくださいというなら、でないように抑える回路にすればよいだろう。また基幹部分を壊すような使い方防止をなぜ明記しないのか?これはフィルター掃除などのメンテナンスとは全く違う事である。
例えば車のエアコンは窓を閉め切って使っている人だけではない。負荷が増大するような窓を少し開けながら使っていても壊れる事はない。保護回路が働いて一定以上の圧力(回転数)にならないように設計されている。それすら想定されていないのか、今の家庭用エアコンは・・・。
しかし最も重要な事は、過負荷が原因での圧縮機が異常摩耗したのか?それとも原因と症状が逆で、何らかの原因でエアコンの霜取りに不具合が発生し、そのため過負荷運転が長時間行われ、その結果膨張弁・圧縮機に異常がおきたのかが検討されていないこと。実は同じ症状は堺市でも起きていて、その両オーナーさん曰く「室外機の音が大きくなって霜取り異常に気づいてから、電気代が急にあがった。その状態で数週間運転していた」とのことであるから、霜取り異常後にコンプレッサーが高回転して音が大きくなった(過負荷になった)とも考えられる事実があるが、再現報告書はこの点にふれていないのである。簡単に申し上げるとまともな報告書では無く、クレームを如何に不利益にならないように処理するかだけに書かれている報告書のように感じる。
さて、冒頭の話題になるが、もしこの報告書どおりなら日立のエアコンは床から2.3m程度に設置し、生活空間内(今回の設置は洗面脱衣所であり当然生活空間内との認識である)の14畳程度の部屋にしか使えない・・・との事になる。多分既に全国で多くの日立14畳エアコンを14畳以上で使っているとおもわれるが、日立さんに書き方によるとその設置では全て保証対象外となる。そのとおり受け取ればこれは量販店さんの長期保証にも影響を及ぼす可能性がある(今時の新築で14帖用を14帖以下で薦める営業さんは少ない)。しかし大顧客の量販店さんには違う対応なのだろう。