小さな24時間の暖房空間 その2
高齢になってからの建て替え

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誤解されるといけないのでこのブログの追補をしておく。

私は仮に快適になったとしても無断熱にちかいような家が良いと思っていない。当然しっかりと超高断熱された住宅が今後ストックするべき家だと思っている。

一年に数回、年配の方(実質リタイヤして数年)から「建て替え」の相談を受ける。殆どが家が恐ろしく寒い事が理由という。念を押すが建て替えとは、現在の自宅を壊し同じ場所に新しい家を建てることであり、住み慣れた自宅をわざわざ壊して建てるから相当な理由がある新築スタイルである。

しかしその家に30年以上住んでいるので、その寒さは今始まった事ではない。突然日本(新潟県)が寒くなったことはなく、30年前よりは雪は少なく、暖かい気もするくらいである。ではなぜ30年住んだ家を建て替えるほどの決心をしているか・・・。

それは次の複数の理由が考えられる。

1.前述のブログの理由である代謝が衰えた。

2.他の家と比較して寒い事を感じる。

3.寒さ以外にも理由がある。

1はその1で説明しているで省くが、ある程度年齢が高くなると代謝が衰える以上に冷感や温感が衰えるので差し引き0ということもあるので強い理由とは思えない。

2は自分以外の家、例えば以前はどこへ行ってもそんなに変わらない寒さだったのに、ご子息さんが家をつくって遊びに行くと、考えられないほど暖かい。とか、会社に勤務していたときの快適さ(会社は大体暖かい)と比較して家が寒いと感じる・・・等が理由となる。しかしこれも決定的ではない。

3であるが、これが一番の理由ではないかと思う。まず冬季の電気代が高いと感じること。これは年々上がる再エネ賦課金が大きい。昨年より電気代が上がれば気になるし、家にいる時間が相対的に長くなるのでとても気になる。電気代以外にも築35年も経過すると、家のあちこちの痛みが目に入る。雨樋や外壁、屋根、お風呂、キッチン・・・そして給水給湯管と家自体の匂いの変化。ここで外壁や屋根などの外回りとキッチンやお風呂は、お手入れ(リフォーム)している人もいるが、給湯管などにまで手を入れている家は稀である。当時の給湯管は現在の樹脂管とは違い、銅管やライニング鋼管などの金属管なので、35年もすると給水管は意外と問題ないが給湯管では腐蝕や錆で水の中に異物が多く入ったり、水漏れが始まったりする。配管は壁をはがしたりしなければ工事ができないことがあり、躊躇する。露出と割り切ればいけるのだが、最近の樹脂管は露出にはむかない素材である。そして問題は家の匂い変化である。35年も経つと素材自体にあった天然由来の防かび物質の低下により、間仕切り壁、小屋裏、階間などでカビが発生しその匂いが居住空間にも侵入してくる。カビ臭は人が本能的にいやがる匂いなので、この匂いを抑えないと建て替えの要望が強くなると私は推測する。

今回のその2で伝えたいことは何かというと・・・

もし電気代と寒さが一番の要因であると自身が思っているなら、建て替えを決意する前にもう一度コスト計算をしておくことが肝心であるということ。

建て替えならどんなに小さな家でも超高断熱の水準でつくるなら2000万近くかかると思ってよい。仮に1800万だとすると、そこにあと何年住まうのだろうか。

まぁ多くの人は30年も住めばそれで100才近くになるだろう。つまり若い頃と違い50年も先を考える必要はない。1800万を年あたりのコストに直すと60万となる。このお金を使って得る建て替えた家に住まう価値を判断する。

家が恐ろしく寒い原因は断熱材がないこと、適切でないことが第一の原因である。しかしもう一つ理由は間欠暖房をしていることと生活空間丸ごと暖房していないこと。超高断熱住宅を建てても24時間連続暖房していなければ寒い。また空間を区切って24時間暖房してもいまいち快適ではない。

そこで現在の恐ろしく寒い原因を切り分ける必要がある。今は冬だからそれが実践できるので、今寒さに悩んでいる人は試してほしい。

まず今ある暖房機器で24時間暖房できる機器を探す。通常それはエアコンとFF暖房機器しかないので、エアコンが何台ついているか把握する。もしエアコンが3台以上あれば通常エアコンによる24時間暖房は可能である。数が少ないと断熱材がほとんどない家は難しい。次に暖房する空間を決める。最低限暖房空間としなければならないところは、居間、廊下、便所、キッチン、洗面所と寝室。もし寝室だけが2階にある場合は、階段で区切って寝室は別に24時間暖房する。

次に勇気をもって暖房空間にあるエアコンを全てONする。設定温度は23から24度以上とし、最低4日間は絶対に続ける。外出中も就寝中も24時間エアコンを止めない。このようにすれば壁や床、家具も暖まりそれで暖かく感じる。一方4日間は電気を信じられないほどつかってしまう。レンジを同時に使ったりドライヤーを使うとブレーカーが落ちるので、そこは工夫してドライヤーを使うときにはエアコンを1台消す。またブレーカーの容量は60Aまでなら通常無料で交換してくれるので(東北電力管轄の契約)、ブレーカーを60Aに変えてもらう。戻すことも一度ならOKなのでまずは気軽に60Aにする。またこの時契約も深夜電力が安価な契約に変えることで夜間は心痛めることなくガンガン暖房できる。4日目以降は家全体が暖まるので使用電気量は少し下がりドライヤーも同時使用ができるようになる。これを一か月継続して電気代を確認する。この時の電気代が一年前の電気代より仮に5万円たかくなったとする(2月の電気代)。すると多分1月の電気代も5万、12月が4万、3月が3万その他の月で2万で、一年の合計電気代が21万余計にかかることが推察できる。

このエアコンを24時間使った時の暖かさでこの先問題ないと感じれば、21万を30年間払うことで暖かい家が今の建物で可能になったことになる。この時の料金は630万円/30年となる。この金額を将来の電気料金のアップを考慮して1.5倍すると945万である。冒頭で考えた建て替えの半分のコストで暖かい家が手に入ることになる。ただし・・・それ以外に家の設備のやり替え、屋根の吹き替えなどのリフォーム代も500万かかるとすると・・・1500万になる。これでも1800万円の建て替えより安価であるし、手元のお金が少しづつしか減らない気持ちの余裕も生まれる。

当然24時間連続暖房を一か月連続しても快適さが得られない場合や、一か月の電気代が7万を超える場合は、現在の家では暖かくするのは無理で無駄だと悟り、家を建て替えることになる。

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