原村の家 完成5

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住宅地で敷地と道路の接続に勾配による高低差がある場合、車の乗り入れから考える。

超高断熱UA値0.16w/m2k 完成気密C値0.3cm2/m2
耐震等級3、耐久性(劣化防止)等級3相当 高基礎の家

完成シリーズはこれで最後。その5は細かい点についてご案内する。最初に原村の家で最も神経を使ったのはやはり土地の勾配。

当事務所で使っているレベルとアルミスタッフ。スタッフとは測量時に使うスケールの入っている棒であるが、このアルミスタッフが3mある。通常の宅地なら3mの高低差なんてないから一回の測定で終わる。ところが原村の家の敷地では4mほどの高低差のある斜面、道路でも3m程度高低差があったので、一度やり返しをおこなって測っている。

道路が勾配になっていると難しいのが乗り入れと車庫の関係。

車が道路と直角方向で大きく傾いている乗り入れ。黄色線上と車庫内で水平となる。

車庫の乗り入れ位置が家の基準点になる。うえの写真では黄色い線が水平となり、ここが設計の高さの原点となる。車が止まっているところは道路に対し下がり勾配がつき、黄色い線を挟んで反対側が上り勾配となる。つまりこの乗り入れは3次元の曲面になっている。

寒冷地でなければこの3次元の曲線が多少きつい勾配でも支障はないが、雪や氷がある寒冷地では勾配がきついと車の出し入れができなくなる。だからこの乗り入れの中央で水平になるように高さの基準を決めると、最も全勾配が緩くなるのである。

次は扉。

「緑の家」のこだわりは戸枠が杉の無塗装であること。そしてコストがかけられれば扉も杉の無塗装が好きである。特に今回は諏訪市の建具屋さんと直接話すことができ、感じのよい木目の面材でつくることができた。建て主さんと私は写真のような木目や黒っぽい色が混じる赤みの木目が好きなのだが、このような木目は玄人受けはしないので、使われたところが最も目立たないトイレの戸やユーティリティーの戸になっている。

一方上の柾目にちかい板目も品がよく、大木という価値はあるのだが、やはり先ほどの木目が好みかなぁ。でもこのほうが品はよい。

品がよいことが今回のコンセプトになっているが、洗面台も穏やかな色合いが上品にまとまっている。

背面は壁はベージュ色の大判タイル。人大のカンターとこの背面と鏡の素材が重なるが淡くまとまっている。右手扉を開けているときに枠と扉がフラットになる枠まわりもこだわり。
この洗面所に入る扉も木目が素敵である。白赤の混じりは好みである。

この部屋の金属類はシルバー色が基本となる。これはシルバーの代表格である鏡があるので水栓からタオルバー配管がクローム。ただしコンセントプレートやスイッチプレートは真ちゅうでOK。真ちゅうは色が変わり、無垢の木と相性がよいので問題なくフィットする。

大きめの3面鏡になり扉の裏はコンセントのある収納。

鏡は三面鏡としてつかい、内部は物入れとなる。テッシュ箱を下部に隠して収納しており下向きで取り出せる。ドライヤー類もコンセントをさしたままでも収納可能。

インナーバルコニーへの出口。パントリーから直接出る。

最も見通しのよい場所にあるインナーバルコニー。深い自然があまりにも近いため、虫や獣などをシャットアウトできるようにガラスや網戸でいつでも完全に仕切れるバルコニー。

完全収納型サッシなのでサッシを開放すると壁に納まり視界から消えるし、床もフラットになる。

バルコニーの床は防水層をもつモルタル仕上げの床。厚さは60mmほどあり、直火以外は問題なく七輪をはじめバーベキュー炉をそのまま設置可能。モルタルゆえ若干ヒビが入りやすいが、防水層があるので雨が吹き込んでも影響はない。

天井と床の木の色味はこの時点で同じ感じだが、木の樹種は正反対の超軽の米杉と超重のアイアンウッドが面白い。

天井には換気量600m3/hを誇る大風量換気扇を設置し、連動開閉する200φの給気口を設置。窓を閉め切っての七輪でもCO濃度が上がらない排気量としている。

上の写真のように戸を閉め切ればこの氷点下でもこのインナーバルコニーで煮炊きはできるくらいの屋内的にも使える。また地面から高い位置なので、鹿やイノシシ、熊の急来もないので安心できる開放バルコニーとなる。

サッシより外の床はアイアンウッド。この下にも防水が施されており外壁よりはねだしていることと、オリジナルの細い部材でできた手すりが、より開放的に感じることができる設計の配慮。

次はこだわりの金物で玄関の取っ手である。
玄関の取っ手は特別な想いがある。
お客様が触れる最初の部分でもあるこの取っ手。現在の世の中の主流は電磁式だろうが、私はやっぱり物理的なキー式が未だ好み。

無塗装の真ちゅう製の取っ手は表面の金属イオンで超抗菌(殺菌)効果が高い金属として知られている。

今回の取っ手は北欧の扉に標準セット販売される取っ手をやめ「堀商店」の40年来の定番形状のLBRの真ちゅう製に取り替えている。小ぶりでかわいい形状の取っ手は玄関2カ所と収納庫扉一カ所で使い、すべて同じキーで解錠できるマスターキー依頼をおこなっている。これにより外部扉から入るキーは一つあればすむ。また真ちゅうは金属の中でも最もすぐれた超抗菌効果があり古来から様々な人が触れる取っての素材には最適とされている。

拘りの特殊金属のストライク。
「堀金物」のキーは独特な形状で20年変わりない小さな形状でかさばらない。一部防犯上でぼかしあり。
外部収納の扉(杉 無垢の無断熱戸)にもLBRをおごる。
家族玄関は車庫内
東側面の主玄関。電気錠よりやっぱり物理錠が似合うか。

以前もご紹介したが手に触れるドアノブが真ちゅうとなればスイッチプレートが樹脂製なら見劣りするので真ちゅう製を選択された。

少しクラシカルなフルカラースイッチと真ちゅうの相性も悪くない。

「緑の家」のスイッチプレートのこだわりは、シングルプレートで統一すること。ダブルとシングルの混在だと見た目がきれいではないので目に見えるところはシングルだけで並ばせる。しかも高さは視界に入りにくい(絵の鑑賞を妨げない)床から980mm前後。これはかれこれ25年ほど続けている配置。

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