無難な透湿防水シートはあるのか その2 長期優良住宅のほうが短命の透湿防水シート。

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その1からの続き。透湿防水シートは現在の木造住宅では切っても切り離せない材料である。そのシートで無難なメーカーを少し考えたのがその1であった。

結論から言えば、一般的な設計では価格が数万高くなろうと進化したタイベックシルバーを使うことがよいだろう。

最初にタイベックシルバーのメーカーであるデュポンさんの公式動画を下に置く。

これを見て頂くとわかるとおり従来のハウスラップ(白いタイベック)は防腐防蟻剤に対して多分・・・「きわめて弱かった」ことになる。2時間の水散布とあるが、この散水方法では条件としてとても劣化に対し有利ではないのかと思う。防腐防蟻材が原因で撥水性がなくなる事が正しければ、防腐防蟻剤の濃度によってその効果は変化するはず。つまり一般的には防腐防蟻剤の濃度が高ければ早期に撥水性は失われる可能性が高いが、かけっぱなしの水では、濃度は薄められ変化は穏やかになる可能性がある。これは散布条件を変えてもう一度同じ時間の経過で行なうべきだろう。しかしこのような実験は公的に定められたJIS規格ではないので、正しく評価が出来ないときがある。無論様々な防腐防蟻剤を使った材料で行なうことも必要。

透湿防水シートの半分の役割は「防水」にある。外壁の一時防水が破られた時に、透湿防水シートが防水性を発揮し、室内への水の流入を防ぐ。一度入った水は、外壁と防水シートに阻まれるために屋外に暴露しているように短時間で乾くことはなく、ゆっくり乾くので、2時間くらいの水分に触れていることが多い。実際の外壁からの雨水は実験のように常時あたらしい水に変わることは少なく、ゆっくりと変わる可能性がたかい。この動画から見ると、白いタイベックハウスラップでは2次防水を行なう素材として水に弱いとなると、防水のための材料なのだから欠陥とも言えるだろう。防腐防蟻剤を使わなければ良いのであるが、長期優良住宅では防腐防蟻材を使わないで通気胴縁を施工できる素材はヒバ、ヒノキしかない。そんな胴縁が市場にあるはずもないため、防腐防蟻材の塗布された胴縁が一般的に使われる。当然胴縁にこれらの対策をしない長期優良住宅は、施工規定違反となる。当然この通気胴縁は水に容易に溶けるホウ酸系の薬剤は使えないから厄介なのである(通気胴縁は水がかかる前提条件である)。

さてここまで説明して大事な番外編がある。それはタッカー穴である。面材耐力壁で外壁を作る場合や、繊維系の付加断熱の場合、透湿防止シートをタッカーで仮留めつける現場もあろう。その箇所が通気胴縁下ではないことも多い。ここが弱点となる。よって通常はタッカーは使わず、防水テープなので仮止めして通気胴縁で抑える。板状の付加断熱材ならテープで仮止めの方法が可能だが、繊維系付加断熱だと膨らみがあるので結構大変。特に繊維系は断熱材内に空気を入れないように透湿防水シートでも防風を取ることが求められる。それが手間で「緑の家」の繊維系断熱材の防風は板状断熱材で抑え、防風性をシートに求めない柱間だけにしている。

また話はタイベックシルバーに戻るが、明らかに従来のタイベックハウスラップは防腐防蟻材に弱い事をメーカーがはっきり認めている以上使用するべきではない。同様の透湿防風シートも同様である。

タイベックシルバーが発売されてから7年以上経過するが、今更この話題をこのブログで書くのは、「緑の家」が防腐防蟻剤を全く使用せずとも長期優良住宅を取得できる構造(高基礎)が可能だから、販売中止になるまで関心が少なかったからである。白いタイベックハウスラップや他のメーカー品でも今後も特に問題はないがよりよい物使う意味でタイベックシルバーにしたい。

少なくともこのタイベックシルバーが発売されるまでに、長期優良住宅で建築した方には申し訳ないが、実績がまだ少ない新しい建築材料はそのような時間的な欠陥を持つ商品も過去多く販売されているのが実態である。

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