厚物合板の屋根の耐久性は大丈夫か?続編

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Ver2が2023年5月に発刊されており厚物合板を扱う人は一読してほしい。

厚物(24mm以上)の合板を屋根に又は桁上に使う時の手引きとしては一度はよまれた方は多いとおもう。私はつい最近読んだが嗚呼やっぱり記載があるか・・・と改めて感じている。

特にこの手引きはつい最近改定されているようで、2023.05.08の発刊となっている。著者は・・・

とあり、今から12年ほど前から検討が行われており、その当時から環境系の先生方も作成者として名があるところがよい。以前から申し上げているが、住宅は建築基準法第一条にあるこの法の目的で、初句の「この法律は国民の生命と健康及び財産の保護・・・」あるように人の安全と建物(財産そのもの)の継続性(耐久性)が第一になっているので、構造が安全であっても火災防止も含む継続性(耐久性)がNGでは、基準法を満たすことが出来ない。その点このような構造系の手引きに環境系も加わることで、構造及び耐久性の総合技術アップの貢献になると思われる。

でなにが今回の話題かというと、やはり厚物合板の高透湿抵抗特性である。

見事に穴が空いている倒れ止めや書き込みで通気層を確保。「緑の家」では合板に直接穴をあけ透湿抵抗の低い箇所でカバーする。

そのため勾配天井で「充填断熱」を行ったときの湿気の処理が具体的に記載されている。最近タイベックを販売するデュポンジャパンさんの企画開発担当者さんの言葉で「建物の水分管理が重要である」との言葉が印象に残っている。この水分管理とは当然駆体の中のことをさしているのであるが、もっと広く捉えれば室内中の水分管理も含む。日本という国は世界屈指の水(雨水など)が豊富で緑豊かな国であるが、その一方水分管理を少しでも間違うとカビは生え、有機物はあっという間に腐り分解されてしまう。諸刃の剣のような水分(湿気)環境である。近年では室内の水分管理はエアコンが普及したので容易になっているが、逆にその影響も有り駆体内の水分管理の重要性が検討・評価されつつある。

そこで今回は屋根に厚物合板を使った時の注意すべき点を上の手引き書から抜粋してご案内する。上図のとおり厚物合板を野地板代わりの位置として使う場合には、室内側に通気層を設けないと、合板の高い透湿抵抗で結露する恐れがある。

これについては3年前の2020年の下のブログで案内した(本日2023.08.23更新)。

厚物構造用合板の勾配天井は危険かも。
2023年08月23日気密シートからの湿気流入の写真を更新 先日「プラスチック系付加断熱と内部結露」とのブログを...

やはりそれを裏付けるようにこの手引き書にも、厚物合板の前に通気層を設け合板の透湿抵抗の高い欠点をカバーする記載がある。このあたりは数値をもってエビデンスとして明記がほしい・・・。しかしどのような形であれ、まずは内部結露防止を注意喚起し、構造と共に耐久性が一体に計画していないとそれは家の欠陥になる。充填断熱厚物合板の組み合わせはコスト的に有利になるため近年採用が散見されるが、特に最近その厚物合板の内側に通気層がなさそうな納まりを持つ図面を複数拝見した。厚物合板内側に通気層等がなくてなど大丈夫なのだろうか・・・外側にはあるがそれは厚物合板では全く意味が無い・・・透湿計算してのことなのか?と心配になる。

高気密高断熱が急速に一般住宅まで普及しているが、最近の傾向として何でも思いつき(想像しうるエビデンスは必要)チャレンジは良いと思う。しかし実績(3~5年くらいは経過が必要)の無い設計のリスクを建て主さんに伝えておくことは最低限必要な設計の礼儀である。

当然厚物合板の外側に断熱材を貼る計画の場合はこのような内部結露の心配は皆無であり施工上も間違いがすくないお薦めの計画であるが、その一方コストが高くなることが欠点だろう。

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