事務所移転と「緑の家」が目指すものはS造も その3

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S造の中に新たな木造の建物を造っているかのうような現場。

オーブルデザインが入っている建物は、一階貸店舗で二階が住居棟と倉庫棟で三階が現事務所兼住居で四階が物置となる。すでに築50年近い建物であるが、主構造はS造で構造が劣化している感じは全くない。設備も今のところ不具合が見られず良好である。

その建物の3階で事務所を28年前から業務を行っているが、この度2階への引っ越しとなるのでその改装に大慌てしている。

天井も剛床となるような厚さ24mm合板で覆いつくすので、人が歩いて断熱材を貼ることができる。

すでにS造の倉庫棟2階に内装工事が行われ、さながら一件の家が建物の中に建つような感じで工事は進む。これはオーブルデザインにとって新たなリフォーム方法で、主構造はS造に任せ断熱気密また内装すべては木仕様の中で行う役割分担が明確なリフォームといえる。元々も事務所倉庫兼住宅として確認申請していた建物なので、用途変更など伴う狭義のリノベーション(コンバージョン)ではなく、用途変更なしの広義のリノベーションかもしれない。主構造も全く触らず屋根や外壁の吹き替え取り換えも表面の素材だけであるため(一部開口部を広げた)大規模な模様替えにもあたらないところがポイントでありしかも今回は、2階部分にもかかわらず改装後の床荷重も問題がない(初期の床積載荷重が多く見積もってある建物だったため)。

話は変わり・・・最近国交省から木造で非住宅の建物における耐久性の評価の「案」に対するパブリックコメントを募集している。この背景には近年従来では木造では建築していなかった建物が高層化して建築されるようになった。技術を駆使いして建築されるため当然かかる費用も以前に比べ上がっている。この時に従来より耐久性の評価が高ければ償還にかかる年数を延ばせローンが受けやすくなることが狙いだと思われる(又は税金の追加徴収)。 

この意見募集の問い合わせはここへ。上はそのスクリーンショット。

ガイドラインの中身をみると、黄色いアンダーラインのように非住宅建築物に限定している。住宅は既に長期優良住宅に示されるように10年以上前から性能表示の劣化防止の規定がある。

中略・・・

特徴的なことは第5の一項の「い」だろう。ここに明確に「雨水の侵入の恐れがある部位の構造躯体等に木材を用いてはいない」を受けて「①カーテンウォール」があることだろう。

この規定は木造建築に限らず大事な基準である。RC造のみ当てはまらないが、S造でも雨水の侵入の恐れがある部分にスチールをそのまま使えば腐食によって30年以内に腐ってしまうだろう。

法定耐用年数の一覧。この期間に応じて固定資産税が決定される。

今の耐用法定年数は上のとおりで、通常木造建築は22年だが軽量鉄骨プレハブ造で鉄の厚さが3mm以下なら19年となるが、重量鉄骨は34年となる。今回の規定で木造建築物も劣化防止が行われていれば27年~34年まで引き延ばされることもあるだろうが、まずはローンの返済を長くする裏付けとしての規定と思われる。

さて・・・私の考えは以前から申し上げているとおりである。

木造住宅でも建て替えの理由は「木造の構造が劣化したため」とのことは上位にはない。建て替えの理由は「古くなったから」であり、私の仮説であるが「カビがその原因」と考えているため、この木構造体の劣化を防止しただけでは実際の建て替え寿命は延びないと考えている。大事なのはカビ臭を抑える空調生活と仮にカビ臭が発生した部位があるなら、それらを簡単に撤去し取替えることが可能な主構造であることだ。それがS造の利点でありその時に簡単に内部更新ができる計画が重要となる。特に断熱と気密をS構造から切り離せば更新は簡単だし、内部を全て木でつくればS造やRC造でも木造の良さは堪能できるのは、すでに多くの集合住宅で当たり前のように行われている。特にカビ臭が発生しやすい一階の主構造が木造ではないことがカビ臭を完全撤廃できるリフォームがしやすい今回のようなS造の特徴である。つまりカビの生えた木を全て撤去しても大規模修繕(改修)や大規模模様替えに当たらないのであり、それがリフォームを簡単にしてくれる。

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