事務所移転と「緑の家」が目指すものはS造も その10

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
真壁である壁はアルミ箔なので照明の色がダイレクトに反射する。

お伝えしているとおり事務所の事務側の壁は断熱材のままアルミ光沢のままで完成予定。使用中に何らかの不具合(ぶつけて凹んだとか)があればボードじゃくりを施してあるので、打ち合わせ空間と同じくボードを貼る。

ピカピカに光る反射率の高いアルミ箔付きの断熱材のままの天井裏面の小屋裏空間。この状態で終了。

アルミ箔の表面を持つ断熱材は、輻射熱に対して高い断熱性能を持つ。この性質を活かし通気層内に貼る透湿防水シートをわざわざコストが3倍する高いタイベックシルバーにする考えもあるくらい。しかしその場合よく言われる欠点は、アルミの高反射であっても表面に埃が溜まったり、また輻射熱の影響より対流の影響が大きい通気層にあってシルバーにするメリットは少なくなり、特に超高断熱し仕様の壁ではほとんど影響されないとの論文が過去に発表されている(断熱材性能が低い構造ほど輻射熱の影響は高い)。

使用する気密テープもアルミ箔付きとして反射にこだわる。

そこで今回の事務所でほとんど断熱性能がない屋根面下の天井部分に空間を設け(いわゆる小屋裏)、定期的に埃の除去を行いやすいようにしている。

当然この大きな小屋裏と入れ子構造で鉄鋼造の最も大きな弱点である熱橋の影響を受けない。

このように入れ子の性能分担構造によるメリットはとても良い。

そして設備も・・・

断熱材のままの壁。アルミ箔のない板状断熱材だと経年変化で剥がれてやすいが、こちらのアルミ箔付きウレタンボードだとその心配が少ない。完全に構造のH鋼から切り離される。
設備類はそのほとんどが外部露出。シルバー色の壁は断熱材そのもの。この配管露出の感じはあの「緑の家」の高基礎でできた床下空間につうじる(施工中の写真)。

そして・・・入れ子構造を活かして外周に露出で配管や配線される。この感じどこかで見た記憶がないだろうか・・・。

そう、「緑の家」の床下内と全く同じなのである。「緑の家」床下は配管や配線が露出することでメンテンナンスや将来の設備の増設が簡単である。それと同じようになっているのがこの入れ子構造でなのである。

H鋼柱6本のS造の中に入れ子で計画された超高断熱高気密のリノベーションオフィス。入れ子で面積が2廻り小さくなるので、そのデメリットをなくすべくとても細部まで綿密に計画されている。

このように新築で建物を計画せずリノベーションにする方法もよい。そのときには、S造(重量鉄骨)の平屋倉庫を選び、そこに入れ子構造で超高断熱空間を構造から切り離して造る。この方法ならリノベーションに掛けた投資が無駄にならない可能性が高い。この「無駄」についてはまた改めて説明する。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする