高性能住宅の窓のこと 紫外線対策とサッシのサイズ

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2024.12.21 10時30分 文字追加

YKKさんの樹脂サッシのカタログで紹介されている図

高性能住宅(高断熱高気密住宅)では窓の選定に悩むと思う。簡単に割り切ればとにかくUw値の低い(性能が高い)窓を選ぶだろう。その際、どのくらい性能を高い窓を選んだ時に、暖房費が下がるか気になるところ。そこで上のYKKさんのカタログにある図では、高性能で日射取得型のAPW430を使うとフレミングより冷暖房費が年間35,133円得になるような内容・・・しかしこれはちょっと頂けない。それは・・・

YKKさんがサッシを販売する会社だからである。

YKKさんが窓を売っている会社であるから一般的には単価が高い方が売上高が上がりよいはず。だから少し頂けないのである。

窓の種類だけ大きな文字にして建物の断熱性能が一番小さい字だからおかしい。

赤矢印を見ると建物断熱条件が違うのである。フレミングJの建物断熱性能UA値が0.87でAPW430の建物断熱条件が0.26だから、この躯体の断熱材(壁天井床)の厚さは3倍くらい違うのに、窓だけ変えるだけこの差35133円も違うような錯覚を与えている。もし窓だけを一番上のフレミングからAPW430 に変えるだけでは35133円の差はなく、多分窓を変えるだけならその1/3~1/2の差にしかならない。つまり1.5万位よくなる程度。年間1.5万で30年間の時のランニングコストの差額は45万だから、フレミングサッシとAPW430の購入価格の差が45万ならよいが、普通はサッシの購入差額は60万をゆうに超える。この辺りをしっかりと説明しないとユーザーに誤解を与える。

一般的に最近の断熱基準程度の家の暖房費は窓損失が1/3、建物躯体損失(窓以外)が1/3、換気損失が1/3を占める。つまり上のように家の断熱性能をあげれば乱暴に言えば窓の性能よりも大きな差を冷暖房費に及ぼす。だからこそ窓以外の建物躯体の断熱性能は同じ条件でのシミュレーションを行ったほうが、窓を販売する大手企業として誠意があると思われる。シミュレーションなんて簡単にできるのであえてこの条件を選んだのは、やはりYKKさんは35,133円のインパクトが欲しかったのだろう。一方逆を言えば窓の性能を上げるだけで家の冷暖房費の1/3の部分が大きく改善され、しかも冷輻射を抑えるので快適になり、その点だけでも窓の選定は大事ともいえ、間違いなくAPW430が良いのであえて誇張しなくても良いと思う。

「緑の家」一押しのエクセルシャノンのガラスの特性

さて最近の「緑の家」で選ぶ窓は、どの地域でも全て「遮熱型ガラス」が標準である。これは女性の気持ちをもっと家に取り入れていこうとの判断からで、当事務所のスタッフMの意見によって気づかされた視点。紫外線と窓ガラスのことはこちらのブログで説明しているが、「緑の家」が標準で使うエクセルシャノンさんの遮熱型ガラス(トリプル型)の紫外線防止が95%もある。これがエクセルシャノンさんを使う大きな理由である。一方YKKさんの遮熱ガラス(トリプル型)では、

YKKさんのカタログより

上の画像のとおり、最も高いブルー型でも90%の紫外線カットにとどまっているし、ブロンズ型においては65%しかカットしてくれない。よってYKKさんで遮熱型ガラス(トリプル型)を選ぶときにはブルーとして、少しでも色を忠実に見たいならニュートラルを選ぶことが良い。しかしここで私は大事なことを伝え忘れていた。もし紫外線カットを気にしつつ日射取得型ガラスがご希望の場合は、YKKさんの430でも「安全合わせ防災ガラス」を選べば下の表のとおり紫外線カット100%を選べる。但し断熱性能は10%程度低くなりコストは上がる。

当然YKKさんの430で「安全合わせ防災ガラス」は日射遮蔽型もある。つまりYKKさんの430でも紫外線を気にする場合は、紫外線カット100%のガラスをほとんどの仕様で選べる。このためコストさえ許せばエクセルシャノンさんの窓を紫外線を95%カットできるから選ぶという理由はなくなる。ではなぜ「緑の家」はエクセルシャノンさんを標準としているかは・・・ドレーキップ型の窓の制作範囲が大きいからであるというのが唯一の理由。

メーカーカタログから

YKKさんのドレーキップ型(ツーアクション)は高さ方向が最大で1570mmまでだが、エクセルシャノンさんのドレーキップ型は最大で2270mmまであり、吹き抜けの2階に使う大窓としてとても都合がよい。そのため「緑の家」では標準の窓がエクセルシャノンさんのドレーキップ型でガラスが遮熱タイプの紫外線カットガラスとなる。

2階の吹き抜け窓に高さ2070mm、1階に1870mmのドレーキップ窓を採用した井岡の家

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