
「緑の家」は既に27年目を迎える家もある。こちらは新潟市内に建つ26年経た「緑の家」であるが、今回伺ったのは例の「アレ」である。

これはいったい何をしているところかというと、サッシのパッキン交換である。
こちらの「緑の家」は昨年あたりから暴風雨になるとサッシの障子とフレームの隙間から水がしみ出してガラス面を濡らし水で濡れるそうなのである。簡単に言えばサッシ自体の雨漏り。原因はパッキンらしい(雨漏れの場合は原因が確定するのは修繕してその現象が完全に止まった時に断定できる)。
屋根の出は1000mm近くありこれでも暴風雨時には雨がサッシを直撃する。

まずこちらの家だが、2000年に竣工した「緑の家」で、高気密高断熱(旧Q値1.5W/m2kでC値0.6㎝2/m2以下で当時始まった性能規定で耐震等級2相当の家)。当時は高断熱高気密住宅は家が腐ると本気で思う業界人が多く、「特に高気密は悪」とまで揶揄されていた時代。そんな時代に気密測定を今と変わらず2度行って高気密を確保していた。当然使っているサッシは樹脂サッシで特にこの「緑の家」は引き違いを避け、意匠的に縦滑り出しを多く使っていた。

LIXILならぬまだTOSTEMの頃で、サッシは当時は有名な「マイスターⅡ」の縦滑り出しサッシである。このサッシのパッキンがとうとう劣化してサッシと枠に隙間をつくり、この縦滑り出しの構造上上枠に溜まった水が、暴風に押され室内に侵入してきたと推測できる。


当然ながら水が入るという事は、空気も駄々洩れでこのサッシに気密性はない。よって2000年の完成当時は高気密住宅としてC値0.6㎝2/m2以下だったが、多分外部からの音漏れも感じるのでC値は相当落ちていると思われる。
実はこのサッシだけではなく過去水が漏れたりしているサッシは下のとおり多く、このまま数年でほぼすべて交換になるだろう。

上の写真で2階の窓は既に数年前にパッキンを交換済みであり、今回は一階部分の4個の窓。当然27年前のサッシなのでパッキンは既に純正品はなく代替え品である。



代替え品であるがゆえに新品時の気密性は望めないと思うが、雨水が入らないくらいの気密性があるはずなので一応OK。そもそもパッキンはダブル構造で障子側とフレーム側にあるのだが、その両方がヘタっている。

サッシ樹脂自体や金物はまだまだつかえるが、パッキンはもうだめ。以前から申し上げているとおり「サッシの寿命はパッキンと複層ガラス」である。だから本来はサッシ毎新たにしたいのであるが、外壁やシーリングは数年前にリフォームしたばかりで下の写真のようにまだ綺麗。

外観も26年経過したいまでも全く問題ないように見える。

だからパッキン材のみの交換となった。
さて・・・
27年目に入った「緑の家」だが、その室内で27年目に入った有名な椅子がおいてある。いわゆるYチェアーだ。

まず上の写真をみて驚くことは椅子ではなく、当時から「緑の家」はヒノキの超仕上げの無塗装の定番の床。その上を固い楢又はビーチ材でできたYチェアーが26年間使い続けられてきたが・・・床には特定の椅子の凹みがない。他の部分と同じくらいの傷はあるが、椅子の足からできる特有の凹みは見当たらない。

Yチェアーは数年前に4脚中2脚の座面を張り替えたそうで、張り替えたらペーパーコードの編みかたが若干違うそうだ。

張り替えたほうは、やはり水分がかかってしまい痛みが大きくなったとの事が理由とのこと。

このYチェアーはソープ仕上げで、ソープ仕上げは無塗装に近い表面に膜をつくらない仕上げ。したがってその経年変化は無塗装材にちかく、上の写真のとおり歴史とその重みをそのまま感じることができる。この気品ある艶が私は大好きなのである。そして新しくなった座面もよく、簡単にメンテナンス依頼ができるこのYチェアーはそこも優秀。
このように椅子も建築も20年過ぎてからが勝負であり、その時にメンテナンスが容易にできることが重要である。しかしこの当時まだサッシを外壁を壊すことなく取替える仕様はなく、パッキンの単独取り換えのみとなる。だから現在はサッシが外壁や内枠を壊すことなく簡単に取り換えられる仕様をお勧めしているのである。