
昨日埼玉県川越市で建築中の「緑の家」に足場が外れる前の外部最終チェックに伺ってきた。いつもように朝7時出発で事務所は17時到着(帰りの通り道で長岡の現場に立ちよっているので1時間ほど余計にかかっている)。

最初に驚いた。外部の破風の角が綺麗に仕上がっている。こんな外部の面取り部分でも丁寧に仕事しなければ均一に、また出隅部分まで綺麗にカットできない。カンナを使い慣れている仕事とすぐわかる仕上がり。

コーナーの役物(要所を納める特別な部材の事)も継ぎ目がわからないくらいくらい綺麗に仕上がっている。設計者として外部の木なので木栓による脳天正面打ちでよいと申しあげたが、出来上がったものを見ると釘が出てこない取り付けになっていた。こんな仕事をする大工さんもいらっしゃることに感動。

特に妻部分の付きでたところと、役物の納まりは設計図と違う納まりを許可してほしいと言われ、そのとおりにしたらこれも良い感じで、今後はこの納まりで統一したいとスタッフ目を合わせた。風雨にさらされれば多少あばれがでるためこの美しいままというわけにはいかないと思うが、完成時の出来上がりの美しさも大事である。木外壁は完璧で指摘するところがない。また今回施工された蓮見工務店さんはサッシ廻りは全て変性シリコンでシーリングをする「個別3条を取得しない」標準的な納まりを選ばれた。聞くといつも木の外壁でもシーリングはしているとの事で10年シーリングの責任をもって頂く・・・それなら安心である。

内部に入るとまずいつもと違い、ヒノキの芳香に包まれる。
「緑の家」も床にヒノキを使うことが多いが、ここまで香りはしない。今回の「緑の家」は関東という事もあり、枠材はいつも「杉」ではなく全て「ヒノキ」となっている。そのため家中が「ヒノキ」なのである。

そして杉よりもカンナのノリがよいためか、超仕上げの肌も特筆。ゴミが滑り落ちるようにツルツルしており、なんといっても杉の板目の素朴な表情とは違い、ヒノキは穏やかな気品ある板目を見せる。杉LOVEの私が浮気してしまいそうだ。

その品ある材に見合った仕上げの丁寧さ・・・。大留ではなくしっかりとした突き付けができる留め加工。通常このような部分は角納まり(縦勝ち、横勝ち)で納めるのが一般的でしょうが、「緑の家」は大留でもよいから留めの拘る。しかし今回は広島南区の家と同じ大留でない加工が施される。

組み合わせ前の加工状態が上の写真。大留より2~3行程多く、しかも正確なカットが必要な仕口となっている。このようにすれば出隅がしっかりと固定できる。建具は更に緻密な加工を施すが、それは工場内で行っているのでまだよいが、こちらは現場の限られた道具でおこなう。

最近では毛引き(私はけびきと呼んだがけひきとのこと)を使う現場は早々お目にかかれない。墨より繊細にカット位置を決めることができる。またこの薄さで均一なカンナくず・・・。

この仕事を見ているだけで気持ちが良い・・・そんな現場である。

そんなところを見ていると、蓮見工務店の専務さんが「最近はここまで天然素材で揃えた現場は珍しい。普段もこれより大きい家で天然素材を使うが、全部とはいかない。所々既製品の建材枠がはいる」とのこと。「緑の家」では手で触れるところではどうしても天然素材で、しかも無塗装で行う方針。それ以外は妥協することも多い。今回はこんな枠なら天然木の扉にしたいが、流石にそこまでコストはかけられないし、建て主さんも望まなければ自己満足に終わる。しかし手で触れるところは、住んでからその良さを建て主さんが一番実感できるので、無塗装の木に拘るのである。よい仕事を見せて頂いた蓮見工務店さんをはじめ、担当の長井大工さんらにお礼申し上げる。聞けば長井さんは非常勤講師もされているとのこと。実務者による実践的授業は楽しそうな授業だと思われる。

