熊本地震から一年 地震から学ぶ事

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2017年04月16日緑字加筆

昨年熊本地震が起きた一ヶ月後には、

「筋かいがわるい。所定の性能が無い」

「筋かいを止めなければ」

とか言われました。

しかし国の調査チームの最終判断は・・・

「現法どおりの基準(筋かいも)で問題はない」

「正しく施工されていない筋かいが原因で所定の性能がなかった」

との事になったのは記憶に新しい事です。

がしかし、それを知らない人が未だに多い・・・。

これはメディアの言いっ放しもしくは訂正アナウンスが小さい事が原因です。

自然または人為的災害が起きたときに必ずこのような誤解が最初に大きく、派手にアナウンスされ、大きな災害ほど調査・結論までの時間が長くかかる・・・そしてその頃にはその正しい情報にインパクトがない事と、メディア自身が訂正することを嫌うので、最後の一番大事な結論が広く行き渡らないばかりか、間違った情報のインプットがそのまま残ります。

私達設計という仕事を占有できる免許を持つ専門家は、その発言と内容には責任を持ちたいと思います。

そこで私達建築士にできることですが・・・

それは仮に建て主さんに断わられても、全ての住宅を耐震等級3以上(多雪地域で且つ積雪2m未満の地域は耐震等級2でOK)で設計する事です。

それは・・・

熊本地震では地震による直接死者数よりこの一年で関連死の方が3倍以上にもなったことでわかります。

NHKによると・・・

去年4月の熊本地震による熊本県内の死者は、13日現在で222人に上り、このうち避難生活での体調悪化などで亡くなり災害関連死に認定されたのは166人で、倒壊した建物の下敷きになるなど直接の影響で亡くなった50人を大きく上回っています。

これって凄い事だと私は思います。

地震の直接死よりも関連死のほうが3倍も多い・・・。

追記・・・現在関連死判定を申請中の方がまだ200人弱も残っているとのことで、なぜそんなに多いのかと調べると関連死に認定されると、生計を支えていた人は500万円、その他の人は250万円が支給されるようです。この影響も充分あるようです。

避難生活をする事のストレスの大きさは計り知れません。だからこそ家は地震では倒壊はおろか半壊する事なく、とりあえず地震後も住むことができる耐震性が必要です(所謂応急危険度判定がグリーン)。それが耐震等級3で逆に言えばそれだけで充分。気密性や断熱性がなくなっても数年間は我慢できます。この数年間で気力を取りもどし、今後家を直して住み続けるのか、それとも新規に家を造る計画立てるのかを考える時間的余裕が必要なのです。

その余裕を造り出す設計が耐震等級3(積雪が2m未満の多雪地域では耐震等級2)※です。

被害に遭われた方は大変気の毒ですが地震は仕方ありません。復興を祈念するだけです。

※多雪地域での正規積雪時の耐震等級2は普通地域の耐震等級3以上に匹敵する。特に正規設計積雪量が2m未満の地域は屋根の上にその設計積雪量の雪があることは殆どなく、且つ根雪としても長くて2~3週間が近年の傾向。

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