2019年版の換気について ④ 

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毎年1月号は購入している。専門家でないと難解な内容でもあるが価格以上の価値が有るのでお勧めする。

その④ではこの本の「Ⅴ.出入り口の明確化」と「Ⅵ.換気に必要な気密性」についての私感。

古くから高断熱高気密に従事する設計者の知っていることが、

第三種換気において、冬期環境(室内外に温度差が20度ある場合)では気密性能がある一定以上無いと(この本ではC値で2.0cm2/m2とある)、2階の給気口からは外気(給気)が入ってこないこと。

まさにこの理由で「緑の家」は21年前から第一種換気のみを採用している。先回も記載したが、トンネル工事のような確実に作業場に清浄な空気を届けるには・・・外部の新鮮空気をダクトで作業する空間に送ることが気密性能に影響を受けず新鮮空気が狙った場所にはいる方法。無論気密性能を上げること(0.5cm2/m2)で第三種換気の温度差問題を解決は出来るが、私は更に寝室と個室には一番多く新鮮空気を優先的に入れたいと思っている。

これはいつもメンテナンスに伺うと感じる。どんな家でも寝室・個室が一番その家らしい匂いがある。これは「緑の家」の寝室・個室優先換気をしていてもそのようになるのだから、均等換気量又は気積による換気量を設定していれば更に感じるだろう。その根拠を示す実測が何度も示すが下のグラフ。
在室時の各CO2濃度を調べると寝室のCO2濃度が上がりやすい・・・つまりCO2ガスのスムーズな希釈拡散が行われにくい事を示す。これは他のガスも同様と考えても良いと思われるし、30年前に行った文献のトレーサーガスの時刻変化でも同様(新鮮空気側から希釈される)であった。

同じ2人で活動的な団欒時より就寝時の寝室の高CO2濃度維持がわかる。望ましい基準1200PPM以下は私論である。

この本(建築技術2019年1月号)のVでは温度差の換気の影響を受けないようにするために、第三種換気であっても2階の寝室個室には第一種を併用する事も推奨している。が、中途半端な第一種を併用した時の第三種の給気量の変化がわかり難い。

また別の切り口として換気経路が阻害されている根拠として押し入れのRH(相対湿度)が居室より高い事を表す図があるが、押し入れのRH(相対湿度)が高くなるのは、躯体の断熱性能にもよるが一般的に温度による影響が高いのでは?と思う。比べるなら絶対湿度の方がまだ他の因子が少なくなると思われる。

「緑の家」が21年間変わらず第一種換気システムを使用するのはこのⅤとⅥの理由のため。そして第一種換気でも熱交換型換気を使用するのは以前も何度も申し上げているように、省エネのためではなく、快適性のためである。冬期に熱交換しない空気を寝室に45m3/hも入れると、よほど工夫しない限り足元に冷気を感じるし、他の部屋より温度が低くなりやすい。特に空間が小さくなれば気積に対し新鮮空気量が多くなるので注意が必要である。また夏季も同様で、全熱交換できない空気をダイレクトに45m3/hをいれるとRH(相対湿度)が高止まりして寝苦しい。

このように「緑の家」の換気には30年程度の実績経験と実測による理由がある。

この次の⑤では、「緑の家」の半分を占める壁付け換気システム(所謂ロスナイ)の欠点を説明している記事を紹介する。そのヒントは・・・この写真。

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コメント

  1. 山本 より:

    浅間先生

    ご返信ありがとうございます。
    狭小は辛いですね。

    少し換気量を下げるか、戸を開けて調整してみます。

    • Asama より:

      山本さん

       人の住い方、快適感、価値観が多様な中で、目に見えない換気やRH(相対湿度)に対し判断をすること事は難しいことです。何かを得ようとするとどこかがそのための犠牲になります。これは必ず起こりうることで、その中でどのように折り合い(自身の価値の優先順位)をつけるかだと何時も思っております。
      無論この中で一番難しいのは・・・コストですし、これを度外視する事は、一般的に一番難しいことですから「戸を開ける」などの住まい手の工夫は大変良いことと思います。ただ「換気量を下げる」ことは私からはお勧めしませんが、住われている方が「いいよ」と思えばそれで良いと思います。

      • 山本 より:

        浅間先生

        アドバイス頂きありがとうございます。
        確かにコストは外せないです。

        私は浅間先生の考え方がとても合理的で、住む人の事を優先的に考え、根拠のあるやりかたで徹底的に工夫されているところが好きです。

        チャンスがあればいつか浅間先生にお願いしたいです。

        少しでもそのエッセンスを反映したいので、ブログの中で紹介されていた、ロスナイミニ2台併用と言う面白い方法と循環ファンの組み合わせで挑戦してみます。

  2. 山本 より:

    浅間先生

    ご返信いただきありがとうございます。

    1.シックハウス法以上
    2.一人あたり25m3以上

    とてもわかり易い表現ですね。
    最低限は法律順守で、実質は住環境の適正化という事でしょうか。

    そう考えると飛行機や新幹線などの換気設計は、上手に工夫されているんですね。

    4畳半に45㎥/h換気すると、(湿度、室温)を保つのが難しくなるイメージなんですが、それも1種換気+CFで解決されるんでしょうか。

    • Asama より:

      > 4畳半に45㎥/h換気すると、(湿度、室温)を保つのが難しくなるイメージなんですが、それも1種換気+CFで解決されるんでしょうか。

      そうですね、夏はCFで温湿度はほぼ解決されますが・・・条件があります。音と人にあたる風の感覚におおらかでないと難しい。

      地域や布団かベット?にもよりますが・・・冬は換気のコールドドラフトで難しい・・・かな。

      寝室を快適にする(人によって差が有るが)にはそれなりの大きさの空間か、重設備が必要なのかも・・・と思います。

  3. Asama より:

    山本さん

    山本さんの質問に対する答えではないかも知れませんが・・・
    先ずはこちらの真ん中から下にあるところをお読みください。
    https://arbre-d.sakura.ne.jp/blog/2019/01/31/post-21167/

    1.シックハウス法以上
    2.一人あたり25m3以上
    のいずれか多い方と私は解釈しており、

    寝室は一般的には2が多くなると思われます。
    となると理想は50m3/h以上ですが、私は隙間からの漏れもあるので45m3/h以上の給気としております。

    シックハウス法なら4.5帖なら2.73m*2.73m*2.4*0.5回=9m3/h以上ですので、これでは少なすぎる・・・よって45m3/hとなります。

  4. 山本 より:

    浅間先生

    ブログをいつも拝見させて頂いてます
    山本です

    CO2濃度を考慮した換気について、お知恵を拝借できないでしょうか。

    寝室の気積容量が変わると、CO2濃度に対応するための換気量は減らすことができるのでしょうか?

    例えば、4畳半の寝室で大人2人で就寝した場合でも45㎥/hが目安となるのでしょうか。

    浅間先生のご意見をいただけないでしょうか。