2021建築学会学術講演 論文梗概集  その4 HV空調

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

その4ではわかりやすい説明で有名な前先生の加わる論文でF.A.は大学院生である「ハイブリッド空調(HV空調)」に関する論文である。

「はじめに」では「COVIDー19の影響で換気量の増加が希求される」となっており、快適性を維持しながら換気量を増大させ省エネ効果を上げるHV空調の有効性を明らかにすると読める。

実測結果は上図のとおり自然通風を取り入れる位置とそれを使う期間を選定すれば、換気量を増やしつつ快適性と省エネ性も確保出来るとあり、HV空調の有効性を示している。

しかし次の図を見てその2のCOVIDー19等の感染症を念頭に置いた換気の研究を紹介したばかりの私から見ると、少し?と思われるところがある。

図10は左のエアコンの配置より右のエアコンの配置が空気処理熱が大きく減少したとの紹介がある(シミュレーション)。しかしもし冒頭の感染症対策のための換気量アップであれば、空気処理熱の減少とは、冷気をショートサーキットさせ故意に室内空気を淀ませていることになると推察される。先の紹介「その2」の論文では、感染症は飛沫を発生源から拡散させず速やかに排出させることが重要で、そのために換気の経路や換気量を変えて拡散率を押さえ込む事をシミュレーションしていたことを考えると、人がいる場所の空気(室4)を淀ませることは全くの逆効果で何ら感染症対策の換気とは言えないと思われる(室4に閉じこもれば効果があるかもしれない)。よって「はじめに」の内容との矛盾が生じている。また下のとおり・・・

空調処理熱量には顕熱処理熱量を用いたとあり、一方快適性の評価はSET*となっており湿度を含めた評価であるため、その処理熱の評価として少し疑問がある。というのは先のブログで近年人によって快適性は相対湿度によっても影響されているのではないかとの仮説が現実味を帯びていることから、それらを評価しないまでも顕熱処理熱量だけの比較でよいのか、全熱が良いのではないか等の疑問の残るところである。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする