床下エアコン暖房11年目でわかる事

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2020年の「緑の家」での床下エアコン暖房の設置写真。

床下エアコン暖房を全棟標準採用してから早11年目
この年月が過ぎると床下エアコンの設置で無難な設計をしてよかった事がわかる。現在まで私の所に届いている「緑の家」の床下用エアコンの修理、交換の情報は4件(57例中)である。

2009年設計の鳥屋野の家。当時は深夜電力料金が格安だったので深夜に蓄熱させるため床下内にエアコン設置。

2009年の設計では3.11の災害前のため原発による深夜電力が余剰であった。そのため深夜電気の価格は今の2/3以下。この価格を生かして床下エアコン暖房で深夜帯に目一杯稼働させ、高基礎の蓄熱量を最大限生かすためにエアコンは床下内に設置していた。広い床下内設置のためメンテナンスも良好で、仮に機器が壊れたり、洗浄メンテナンスも簡単にできた。

2012年ごろから、深夜電力料金が1.5倍近くになったので蓄熱的な床下エアコン暖房の使い方を見直し、1階床上に設置する事を標準とした。この時一番考えたのがやはりメンテナンス性。そのためエアコンの廻りはできる限り囲いを少なくするようにしていた。それでもショートサーキットを抑え、くまなく床下空間が暖かいことが自慢であった。

2014年の設置例。このエアコンも一度メーカーの修理となっているが、特に問題なく可能だった。

少しの囲いは行ったがその板は簡単に動かす事が出来るようになっており、一年ごとのメンテナンスでもオーナーさんが困ることはない。

そして現在に至るが、先日8年ほど前に設計し7年くらい使用しているオーナーさんから連絡を頂いた。エアコンの調子が悪いのでメ-カーに見てもらったら、エアコン内部の掃除が必要だとのこと。洗浄代が結構な金額になることをしって、新たなエアコンの購入も視野に入れて検討してほしいとの返事をした。その床下エアコンはTV収納に内包されてはいるが、周囲は固定されておらず、機器の交換は難しいことでない。設置後一年目でそのエアコンはある事象でパナから日立に交換されている事でわかるとおり、汎用性が高い。

近年エアコンを買い換えた事がある人ならわかると思うが、年々エアコンは室内機が奥行き方向で大きくなっている。これは熱交換器の接触面積を増やすことで、効率を上げる事を行った結果である。よって今まで設置されていた場所に新たなエアコンが納まらない事例もあると聞く。しかし「緑の家」の設置方法は「緩い」・・・。ガチガチに納まっているような事はしないため、現在のエアコンもほとんど機種で選択可能である。いつもお勧めする日立のエアコンでも、今年の機種から可動式から再び前面パネルが固定化されているが、昨年機種まではパネルがせり出すことで奥行きが470mm必要だった。そんなことを知っているので、床下エアコンはユルユルの固定板で設計していた。

今回の問い合わせでその設計思考が間違っていないことが再確認された。稼働時間の長い床下用エアコンは、買い換えスパンが一般の10年の2/3程度と予測されるので、機種交換するときに棚を壊したり、床を加工したりする無駄なコストを避けることがオーナーさんに為になる。

メンテナンスも考えたユルユル設置の床下エアコン暖房。ガチガチに囲わないことが秘訣。

床下用エアコンは冒頭にご紹介したとおり、57例中4件の故障があり(私の把握例)、床下エアコン暖房の仕様から見た寿命の推察から考えて想定の範疇ではないだろうか。冷房用に設置した壁掛けエアコンの方が、例のスローリークの事件で故障数が3倍以上から考えると、暖房用のエアコンの方が酷使しても壊れ難いのかもしれない。しかしエアコンの取替え時に建築的に壊すことがないようこれからも配慮して設計したいと思っている。そのためには出来るだけ隠蔽設置(配管も含む)をさけ、どの業者さんでも取替え可能なことを心がけたい・・・つまり無難な設計をこれからも行いたいと思っている。

鳴和台の家では、エアコンの配管を隠蔽を避けたため正面に配管が露出した。その配管を少し目立たせなくするように木で囲っている。

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