この図は地域にあった耐雪性能(積雪量)で耐震等級3が如何に重要かわかるグラフである。建築基準法で耐震性をクリアーしただけの家と、その地域で適切な耐雪量で耐震等級3を取得した家との耐震性の差が一目瞭然。
一昨日、耐力壁のチェックに松美台の家へ伺った。
施工はいつも沢山の「緑の家」を施工して頂いているヨシダハウスさん。そして大工さんはベテランの勝山さんであるからチェックに行っても指摘するところがただの一つも無かった。所謂パーフェクトな耐力壁施工である。
多くの建設会社さんが戸惑う下屋部分の2階の耐力壁も、下屋を施工する前に付加断熱まで済ませてから下屋に取りかかる。この部分を間違うと超高断熱外張りまたは付加断熱時の欠点となる。当然梁の抜く合板の補強もぬかりない。
無論、ダクトの貫通部分の補強も完璧で、この部分は電気屋さんが先行して位置決めないと後やり施工になりやすいがしっかり行ってあるので、現場の連携がよい。
さて、話は建築基準法と性能表示(長期優良住宅)時の耐震性のことになる。
先日の建築士定期講習のマニュアルには↓のような解説がある。普段耐震性に興味がない建築士でも、3年に一度の義務がある定期講習では必ず学ぶので目にしている。
皆さんがよく耳にする地震が起きた時の揺れの強さを表現する「震度」であるが、1996年に改訂されており、阪神淡路大震災時(1995年)に兵庫県で震度7となった地震は現在の基準では震度6強であり、一方14年前に起こった新潟中越地震では旧川口町での震度7は2004年なので震度7となり、阪神淡路大震災の震度6強より揺れは大きいといえる。それでも倒壊しなかった木造住宅は旧川口町で数多くあり、雪国での雪影響を考慮し雪のないところより耐震性が良い建物を昔から作っていた事が理由であろう。
そこでどの程度雪国の建物は強く作ってあるのかを、この建築士定期講習マニュアルで見ると、下の表1となる。
ただこの表1と表2では建築基準法と耐震等級時の性能表示の比較なので分かりにくい。よって具体的な地域名で耐震等級3の時の事務所のある三条市(設計積雪量2m)と新潟市(設計積雪量1m)と建築基準法で定められた耐震性を決定する「耐震壁量」での比較すると冒頭で紹介したグラフになる。
耐震等級3というと通常は建築基準法で定めれれた耐震性の「1.5倍」強くなるといわれるが、実際の比較値おいて新潟市では建築基準法で定められた壁量の1.5倍ではなく一階で2.3倍、二階では3.5倍にもなる。さらに三条市では一階では2.8倍で雪の荷重を強く受ける二階では4.4倍と1.5倍をはるかに超える耐力壁量となる。
このように設計段階では性能表示または長期優良住宅などの耐震性評価である耐震等級で行い、施工時には松美台の家のような確かな耐震壁を施することで、はじめて安全で無難な家づくりができる。