床下エアコン暖房と開口面積

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吹出口面積の異なる3カ所の吹き出しスリットの数値は同じ。つまり同じ風速で吹き出されている。

「緑の家」の床下エアコン暖房の原理は簡単である。エアコンの室内機のラインフローファンで送風される全圧を床下内をチャンバーとして静圧にかえ、吹き出したいところに穴をあけて吹き出す。この時に面積比に応じて吹き出される風量が分配される。

冒頭の写真は吹き出しスリット1.8cmの巾11cm時の風量の目安。計測している羽根車は直径6.5cmのときに風速が0.9m/Sなので、このスリットの巾が110cmあれば、概ね吹き出される風量は100~110m3/hとなる。巾を220cmにすると200~220m3/hと、面積に比例して風量は増える。これはQ=A√(2q/P)で√(2q/P)は一定なので流量はAに比例することになる(床下内で動圧はほぼ全て静圧になる)。ここでQはエアコンのファンにより決定されるので仮に1100m3/hのエアコンなら、今回のスリットの合計が2.8mなので280~300m3/hがスリットから吹き出され、有効の吹き出し口効率(全体の押し込み風量に対し)は28%程度となる。一方玄関収納の扉が巾2.7m、高さ2mもある引き違いなのでその周囲に6mmの隙間がある。この隙間面積を計算すると440cm2になる。先ほどのスリット面積が504cm2なので合計944cm2となり、この部分から吹き出されている総量は520~540m3/hとなり、玄関収納とスリットの合計風量は50%程度。残りは間仕切りにあるスイッチプレートをはじめ巾木などから吹き出されていることになる。

もし玄関収納を床下空間から分断し、床下へ入る戸を開き戸にすれば、1階床のスリットはもう少し大きくしたり、玄関には別に吹き出される仕組みを作ることになる。この仕組みは白山浦の家や金塚の家等で行なっている。

このように今回の計測でスリット面積、計測された風速からエアコンが吹き入れた全体の風量の半分程度はコントロール出来ていると確認ができた。

一方、エアコンを運転(送風)中は下の写真のように吹き出し口に貼り付けたティッシュが強くはためくが、エアコンを停止するとティッシュは床にくっつき、温風は吹き出されない。このことからでも温度差による吹き出しはほぼ影響がなくスリットからはほぼエアコンの送風だけと言える。当たり前だが、温度差による吹き出しを期待するには、冷たい空気の取り入れ口が床下空間の下部になければ大きな効果がないとわかる。

エアコン運転中はスリットから吹き出し風(約0.9m/S)でティッシュがはためく。

上のとおりに床下エアコン暖房では、床下内の静圧をあげることで、家中のスリット全てからエアコンの温風を吹き出すことができ、床面の温度がある程度均一になるのである。仮に1階にスリットを設けず、2階にスリットを設ければ階間をとおしてこのスリットから吹き出すことも可能。但し床下内は無論、家の断熱性はある程度高くないと吹き出される温度は暖かくなく、2階の床温は上がらず1階でも床温にムラが出来る。

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