脅かし情報 風呂CF(循環ファン)と追い炊き(循環ポンプ)

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世の中には脅かして利益を得るという商法がある。商売とはいかないまでも、そのような情報を故意、過失に限らず発信することもよくある。

昨年このグラフのことを説明したが、住宅内での事故死はお風呂場での溺死が最も多いことは事実。しかし脱衣所や風呂が他の部屋より寒いから起こるヒートショックが原因ということは、このグラフを見る限り?がつく・・・とのことは今も変わらない。省エネ法の施行が行われたのは1979年(昭和54年)でありそれから数年後には当時多くの人が住宅資金の借り入れとした「住宅金融公庫」を使うときには断熱材を入れなさいと定められた。そして1993年に省エネ法が改訂され、現在の断熱等級3が定められ、ますます家の断熱化は進んだ。さらに1999年には等級4が制定され確実に家は暖かくなっているはずが、皮肉にもそれとは逆行して1996年から溺死は急増している。家の断熱化は進んだため、暖房空間と非暖房空間の温度差が広がった、また高齢者が増えたとの推測もできるが、このグラフを見る限り素直に取れば、家の断熱化が進んだことと溺死は相関していることはないように見える。詳しくは昨年のこのブログをご覧いただければと思う。

そのようなこともあり人の病気原因の特定は大変難しい。人体実験を行えばある程度わかるのであるが、それはできないので、様々な手段で原因の推察をする。

浴室のヒートショックで溺死する人が増えていると言われ、その原因が浴室および脱衣所が寒い状況で、湯船につかった時におこる急激な血圧低下が原因とされている情報が多いが、果たしてお風呂場が寒いこと、それだけが原因であろうか?2年前にこの調査書を見たときに、原因はそれだけではないと私は感じ上で紹介しているブログを書いている。

そのことに通じるのであるが、住宅でも巷で行われる宣伝に、「脅し」による情報流布のようなことがある。

日和見病ってご存じだろうか?正常の人(宿主)に対しては病原性を発揮しない病原体が、宿主の抵抗力が弱っている時に病原性を発揮しておこる感染症。私もよく発症する「吹き出物」も自身の日和見病的なもの。ストレスが高くなったり、抵抗力が弱くなると発生する。一方有名な日和見病として緑膿菌があるが、これは水まわりなど生活環境中に広く常在する。この菌は健常者には通常、病原性を示さない弱毒細菌の一つであるが、術後や特定の基礎疾患、薬剤治療中などの時に病気になる。そのことを前提としないと、キッチンの排水口やお風呂、洗面台の排水口にも多く存在するこの菌を、危険だからと毎回熱湯や消毒液で排除している人はまれだろう。しかしそのことを正しく発信しなかったりすると、確かにこの菌が原因で死亡する人もいるのは事実だから「危険」との表現になる。しかしどこにでもいるこの菌を敵視することはナンセンスである。つまり、緑膿菌が原因で死ぬ人もいるが、それが事実だからその情報はすべて正しいことはない。必ず条件がある。

お風呂CFの質問で、お風呂は水回り特有の(上のような菌類がいるので)汚い空気ではないか?との質問をうけるが、菌が排水溝にいることは事実だろう。しかしそれが一般の人に悪さをするなら、おちおち入浴はできないであろう。入浴中は窓を開けたり、換気扇を回しっぱなしで入ることになる。なんかおかしい論理である。浴室がダーティー空間との解釈は、欧米文化からもたらされていると私はしたのブログで書いているが、今もその考えに変わりなく、日本のお風呂場はリラックスする清浄空間であるとの認識である。

CFは風呂文化・・・北米・欧州との違い
伊の一般の家のお風呂場。便器が普通にある。写真はスタッフKの過去スナップショット。 「緑の家」で提唱しているおなじみ...
2016年のブログ

そもそも菌と言えば循環する追い炊き給湯に問題はないのだろうか?私自身30年以上追い炊きのお風呂は使っていない。自身の管理する風呂は3カ所あるが、すべて高温差し湯による方式で、追い炊きは使っていない。では「緑の家」ではどうかというと、現在施工中の原村の家のみ高温差し湯であり、そのほかはすべて追い炊きのある給湯器。追い炊きは浴槽の水を循環させてわかすので、時折その循環管路でバクテリアや菌が増殖するとの報告があり、給湯器メーカーもその対策に様々な機能を追加しているが、根本的な解決は難しいだろう。その一方これらの菌もほぼ日和見病の菌であるため健康な人には問題ない。よって「緑の家」では追い炊き式給湯器も標準で使用している※。そんなことを無視して風呂や水回りの空気は汚いとする考えには閉口するのである。

※追い炊き式有り無しは好みの問題と思っている。私は30年以上高温差し湯派であるが、好みは強制しない。

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コメント

  1. 四国から より:

    以前警察医の勉強会で日本トップレベルの法医学の先生の講演がありました。その時時入浴中の死亡の原因の一つとして不整脈が関連しており、寒い洗い場ではなく入浴中におきると言われたのが印象に残っています。入浴中に心電図をモニターもしており入浴中に不整脈もふえていたようでした。