三条市の旧大通り近くにある建物です。窓の中をよく見るとわかりますがこの建物は土蔵造りです。土蔵の外壁である漆喰壁はその漆喰内部の土壁が湿気で脆くなるので数十年に一回塗り直しが必要です。そこで最近の土蔵はメンテナンスを減らす意味で漆喰壁を覆うように木の外壁を貼ります。昔ながらの白い漆喰の土蔵は見なくなりつつあります。
この木の外壁は杉の無塗装です。約30年から40年経過してしていると思いますが、まだまだ十分美しく、もう20年くらいはいけるのではないでしょうか?このように上に屋根があるだけで木の外壁はよく持ちます。この外壁を留めている釘は鉄ですが、この釘が先にだめになるでしょう。
そして驚くべきは、窓の上の庇が木だけで出来ています。デザインも美しく、見事にこの倉にマッチしてます。さすが昔の大工さんは、木をどこにどのように使ったら良いかよく心得てますし、美的センスも持ち合わせています。
この木だけで造った庇は上屋根に守られ、こちらも機能上全く問題ありません。木は屋根があれば、無塗装であっても非常に腐りにくい素材です(但し新潟県平野部は西側は季節風があるので寿命は25年から35年)。
しかし屋根がなければあっという間に腐り土に帰ろうとします。この庇だけを見ると杉をウッドデッキの床に使っても腐りにくいのではないかと考えてしまいますが、これは間違いです。水がかかりにくく、仮に掛かっても屋根のように斜めで直ぐに水が切れる事が重要なのです。
ずいぶん前から何回か(1 、2 、3 )申し上げておりますが、
最近の設計者は屋根の出がない家(軒の出の無い家)をよく設計します。流行の軒の出のない家に木の外壁は避けなければなりません。例え防腐オイルなどが塗ってあっても、あまり意味はありません。屋根の下の木に比べ寿命は1/2以下でしょう。特にエコや自然を大事にと御旗を掲げたのに、自然素材の代表である木を雨ざらしで使っては全く逆効果で自然素材の浪費となります。
コメント
doPing様
コメントありがとうございます。11年前の記事にコメントがありうれしく思っております。
>寿命は25~35年とのことですが、その後は外壁張替えを想定されいるのでしょうか?
外壁の寿命が25~35年と確定した認識は現在ありません。
木の外壁の寿命は下のページにあるとおり
https://arbre-d.sakura.ne.jp/blog/2012/04/18/post-0-1460/
その外壁の環境や建て主さんの美観に対する考え、素材でかわります。
しかし通常木の外壁のはり替えは、サッシや雨樋、屋根の寿命(30年から35年)により決定されると思います。サッシや雨樋、屋根の修繕の時に全足場を組むためこの時に外壁まで張り替えるかの状況判断をするからです。方位によって外壁の美観が良くなかったり、痛みが激しければその部分のみ変えることができるのが木の外壁の特徴です。
ご丁寧に回答ありがとうございます。オーブルデザインさんは過去の記事でもお考えがブレておらずとても参考になります。
美観に対する考えによっては50年以上持ちそうですね。
杉板外壁の採用を検討しておりまして、25年~35年で外壁全て張替えとなるとまた200万ぐらいかかる?と思い質問させていただきました。そうなると板張りはコスパが悪くなるかもと心配になりました。
軒や庇、張り方、環境等さまざな条件によって耐久性は変わってくると思われますが、オーブルデザインさんのブログを参考にさせていただき少しでも長持ちする収め方を考えたいと思います。
ありがとうございました。
耐久性は建築地域にあった作り方で変わります。
「緑の家」は「ブレ」てないというよりその地域における過去の棟梁、職人がつくった建築方法を謙虚に受け止めているだけでしょうか・・・。
寿命は25~35年とのことですが、その後は外壁張替えを想定されいるのでしょうか?