高気密高断熱住宅(拙宅)の31年目の樹脂サッシの取り替え その4 希少なサンプル回収

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東京からわざわざお越し頂いた透湿防風防水シートの最大手メーカーの技術スタッフさんがシートを切ってサンプルを持ち帰るところ。

先週、透湿防風防水シートの品質を調査しているIさんに、築31年目を経たサッシ交換のため外壁はがし見学をお声がけしたところ、サンプルを持ち帰って調査するとのこと。さすがは最大手の透湿防風防水シートメーカさんである。

エクセルシャノンさんのこの5月発売の最新の樹脂サッシNSシリーズを使った。

ちょうどこの日はサッシのガラス搬入もあり、拙宅は9人もいる状態になった。

左のFIXの高性能トリプルガラスは縦1900mm巾1700mmで重量100kgがほぼ製作最大寸法になるが、その大きさで室内階段から運ぶため、階段にかかる棚の一部を取りこわして2階へ運搬することになる。吸盤型の取っ手を4人で使い計6人でガラスを運搬。これを見ると確かにガラス寸法が大きくなると急に価格が高くなる理屈がわかる。

さてその4では各部材の31年後について軽く説明する。

白い矢印はタッカーや釘部分に出来た木の染色で色変わりした箇所。

まずタイベックであるがタイベックはそれなりの経年劣化はあるが健全である。タイベックを貫通する釘やタッカー※からにじみ入る雨水で錆びた汁で染色はされた木の部分はあるが(白い矢印)、内部壁は健全である。釘の打ち込まれない筋かいの表面は写真のとおりまだ新しい木の表面が残っている。この状態をご覧頂いた透湿防風防水シートメーカの技術スタッフさんも「確かに問題ない壁内」との評価。
※タッカーとはホチキスのようなコの字型細い釘。主に鋼製メッキ仕上げだがSUSもある。

室内の気密シートも同様でタッカー周辺及び釘穴付近で同様の現象が見られるが、原因は違う感じである。下の室内側の黒くなった部分を見ると、

室内側の気密シート。シナベニアを留めつけていた針釘と気密シートを取付けていたタッカー周辺の違い。
気密シートを取付けていただけのタッカー周辺の方が概ね黒い色変わりが多い傾向。
シナベニアを取付けるために使われたフィニッシュネール(針釘)の周辺では黒い色変わりが少ない傾向。

気密シートを貫通している部品によって色の付き方がかわるが、黒くなっている側も外部の黒い染色とは違い、まるで給気口の周辺にできる黒色の付き方である。つまり気流か湿気の移動で出来きたような広がり方(室内から室外へ)であり、推測するに多分冬期の湿気の移動でおきた可能性がある。つまりカビもしくは空気中の微細な浮遊物質のような汚れといえる。

ここで冷静に考えると・・・

気密シートを止めるのはタッカーが一般的だが、その穴を嫌いタッカーに変えてテープなどだけで留めつけても仕上げの下地のプラスターボード類はビス又は必ず釘で留めつける。よって気密シートには必ず小穴は空いていると思った方がよいのでこの黒くなる現象は現存するどんなシート(ポリエチレンフィルムや調湿シート)使っても下地の差こそあるが必ず発生すると考えるべきである。

次ぎに防水や気密要となるブチルテープであるが・・・

外壁をはがしたところ31年前に施工した当時のブチルテープが未だにアルミの輝きで光っていて、且つ密着性は十分ある。

ご覧のとおりブチルテープに至っては31年経たこの現場において未だしっかり溶着のようにくっついている。はがすと新品のような粘りはないが、物理的なはがす力を入れない限りこのままくっついている感じである。昨今心配されているブチル成分による膨潤もなく、これはブチルと透湿防風防水シートの相性なのかもしれない。ちなみにこの透湿防風防水シートは「タイベック ハウスラップ」である。つまりタイベックとブチルテープの相性はよかった事になる。

窓廻りは当時の高断熱高気密の基本に忠実なブチル片面テープ(アルミ表面)である。

写真のように白いタイベックの独特の模様が透けて見えるが指を押し込んだ穴が空かない。それとブチルテープが今でも密着している。これならもう10年以上はいけるような印象で、すると築40年間は2次防水が機能する可能性が高く期待通りとなる。40年経てばどんな外壁でも取り替え時期となりその時に同時に2次防水層も取り替える事ができメンテナンス周期があう。そこまで密着力が期待できそうな屋外側はまずブチルテープが無難と言える。巷ではアクリルテープも屋外で部分で使われるがまだ実績が少ないので、可能な限り「緑の家」は今後ブチルテープをまず推奨する。これは屋外側は水進入防止という最も住宅では大事な防護を担っており、これはわずかな隙間でも入りやすい箇所と重なると、大きな耐久性の劣化問題となる。これについてはその5で住宅にとって致命的なものとして雨漏れをご紹介したい。

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