今週の日曜にお引き渡した小新西の家で、「床下空間への外気導入の危険性」について検証したのでお伝えする。
日本の本州の大部分は現在太平洋高気圧に覆われており晴れが続いているが、この時の大気は一応に湿っている。これが梅雨から概ね9月まで45日間続く。例えば三条市の今朝の露点温度は23度。一日を通して25度まで上がることもあるが1度から2度日中あがる程度と変化はほとんどないのが露点温度。仮に露点温度が23度だとすると、23度以下の物に触れた大気は結露し、夏の朝靄はそのように発生する。
さてそれを踏まえて本題であるが・・・
お引き渡し日には説明が2時間ほどあるので、前日の夕方からエアコンをつけて家中を冷房する。つけたエアコンは2階の家族の間にある1台だけで、その他は2台はつけていないが、上のサーモグラフィーが示すとおり24度から25度で2階は安定し、1階は下の写真のとおり同じ24度から25度で安定する。
2階と1階は吹き抜けなどなく、ただ階段と廊下でつながっているから、1階が2階と同じくらいになっていることにびっくりされた方もいるだろうが、これはたいしたことでない。夜間は外気が25~26度に下がり日射もなく、家には家電製品の発熱体がないので、特別断熱性能が優れていなくとも大体このように一様になるのが夏期の全館空調の特徴。
しかし・・・床下だけは違う。
「緑の家」の床下はこのように明るく広いのでいつでも測定が出来るのがうれしい。コンクリート打ち込んでから6ヶ月ほど経過している床下は、湿気放出もすくなくなりもう少しで安定時期に移行する(湿気の放出は打ち込み後2ヶ月までが桁違い(8倍)に多い)。
床下内を測定すると、明らかに上階(1階、2階)と温度が変わる。概ね21度から23度。これは床下の下の地面から冷熱が伝わっている事が最も大きい。新潟あたりだと地下7mくらいで一年中17度くらいで一定温度と言われる。そこから冷熱が伝わり(実際は高いところから低いところへ熱は移動するのだが)、床下内は他の部分より低い22度くらいになっている。あまりにも低いので7月14日と15日は床下暖房を行ったくらい。
そこで最初の外気の露点温度を思い出してほしい。床下内は22度だから、外気がそのまま大量に入ってきたら床面や立ち上がり面で結露することになる。実際は換気で入れる外気はせいぜい120~150m3(家全体を床下から入れる時)だから直ぐに結露することはない。また全熱交換型換気扇で吹き出される外気なら露点温度が下がるので直ぐに問題が起きることはない。しかし結露はしなくともRH(相対湿度)は確実に上階よりあがることは事実なので、長期的にはカビ発生の問題がある。そのことを裏付けるように論文が数年前に複数でているのである↓。
難しい論文を見なくともこの実証写真をみればわかるとおり、1階と2階は一般的に冷房の下限と言われる24度だからこれ以上冷やす設定は必要無いにも関わらず、床下内の温度は21度から23度と低くなる事実。これをしっかりと受け止めてもらえば自ずから答えはでるだろう。
当然最近はこのこと(地面への熱移動)を嫌ってか、スラブ「上」に断熱材を敷き込む事例が巷で多く見られる。そのようにすれば床下内の温度が室温に引っ張られるのでこのように低くなることは少なく、多湿の問題もなくなるだろう。
しかし・・・
以前はスラブ下に敷き込む事が普通だったが、何の変化でコストのかさむスラブ上全面断熱材敷き込みに変わったのであろうか。ある住宅業界紙に掲載された著名な建築士の設計事例でも、スラブ上の全面断熱材敷き込みになっていた。従来の考えではコンクリートの熱容量を活かすためにもコンクリートの外側=スラブ直下の断熱材がよいとされていたが、スラブ上という内側になったその理由を一度伺ってみたいhttps://arbre-d.sakura.ne.jp/blog/2016/12/29/post-9866/。その理由を公式に述べている事例を知らないのは私だけだろうか。もし知っている方がいらっしゃれば是非お教えください。
コメント
お返事ありがとうございました。
緑の家ならではの低湿度空間でどうにか夏を乗り切っています。でも温度は他の緑の家
にお住まいの方々より高いと思います。(28度、湿度55パーセントでも快適)
現在のわが家の床下への空気導入はテレビ置きの背面にダクトを通して床下まで繋ぎ、(プラズマテレビの排熱も有効利用)ダクトの先に天井に三菱製の吸気ファン(フィルター付き)を取り付け、強制的に室内の空気を導入しています。フィルターでゴミが濾された空気が入るので床下の埃はなくなりました。(フィルターの汚れは外気導入のそれよりすごい※閲覧注意的な)
一番埃がない空間になりましたので、模型の塗装にはもってこいです。
しかし、地熱の影響で一階より温度が低くなるため、湿度が上がりがちになってしまいます。
この夏の魔改造
①床下の空気を外に排気するのをやめ、一階の室内に排気する空気の回路を作る
→低コスト、床下の温度上昇を期待。
②コロナ製の冷房専用エアコンの室外機を床下に設置し排熱の再利用
→梅雨時期は床下のエアコンを暖房にして使用していたのだが外に捨てていた冷風の排熱がもったいない。でもよく考えると巨大な除湿機?、使った電力分だけ室内が熱くなりその分の熱をもう一台のエアコンで室外に捨てることになる。ためややこしいことになりそう。
③床下の断熱材の貼り付け面積を増やす
→床面の断熱材の貼り付け面積は最新型の緑の家を参考に増強したら冬の床下温度は上 しました。さらに貼り付けるとどうなるか実験してみたい。
②もやってみたいのですが①③で我慢しておこうかな。
porco様
浅間です。②は少々勇気が必要です。室外機は屋外設置が基本なので、冷媒部分廻りの断熱が甘いせいか、冷房運転だけをしていても、結露した部分からの水が室外機のどこかしらからタレてくる時があります。対策として室外機下にパンが必要ですが、パンが大きければ冷蔵庫のように勝手に蒸発するかもしれません。冷蔵庫のパンは温度を上げる回路が組み込まれますが、パンが大きければ蒸発することが予想されるますので。それと室内機より大きな室外機音の問題がクリアーできればチャレンジもありでしょうか。
porco様
いつもありがとうございます。
>床下暖房仕様の緑の家は貴重な熱を有効利用しないまま捨てるのはもったいないのでついていない仕様になっていますか
床下暖房を採用してから(14年前から)排気扇は一切つけておりません。床下にある排気扇の目的は、建築当初の1年から2年は床下のコンクリートからの水蒸気の放出を緩和するために設けておりました。しかし床下エアコンを採用すればそれで除湿が簡単に出来るので、以後一切床下内に排気用換気扇はつけておりません。
https://arbre-d.sakura.ne.jp/blog/2013/08/29/post-0-788/
有益な情報いつもありがとうございます。
床下暖房が標準装備でない時代の緑の家は(床下の空気の澱みを防ぐため?)に床下に排気用の換気扇が一つついていたのですが
床下暖房仕様の緑の家は貴重な熱を有効利用しないまま捨てるのはもったいないのでついて
いない仕様になっていますか