耐力壁検査 その①
筋かい金物選定

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松浜ヒルサイドの家に耐力壁検査に伺った時に筋かい金物の選定シミュレーションを行った。5種類のタイプの金物での比較。

先日お伝えしたように20年以上図面指定し定番だったEGガセット筋かいプレートが廃盤になり入手が困難になっている。このため今後の代換え品を選定しなければならないので様々な金物を現場に持ち込んで検討した。

一般的な筋かい金物は柱と筋かいのみを直接緊結するタイプ。

その筋かい金物で世の中の主流は上の写真のとおりものである。「緑の家」でも柱間ピッチが概ね1m以下の時には使える金物である。しかし時にある柱間が1.2mを超えた場合には通常使わない。それにはある理由がある。

「緑の家」は通常許容応力度設計で構造計算して耐震性の検討をする。そのマニュアル本に下の記載がある。

許容応力度設計2017年から

これは耐震性で最も重要な柱脚柱頭の検討をしなければならない計算式の一つで、剪断力と引張り力の複合力がある柱端部についての検討方法である(筋かいのときのみ)。この式が示すことは、柱間が概ね1P以下においては様々な筋かいプレートを使えるが、概ね1Pを超えた場合(実際は高さと巾の比が2.5以上の時)はボックスタイプの筋かい金物を使わなければ、計算でその安全性を確認しなければならないとなっている。普段愛用する構造計算プログラムではこのような算定式が入っていないので、それを確認するのは数が多すぎてとても難しい。このためプランにかかわらず柱間が1Pを超えた場合を想定して筋かい金物をボックス型と決めている。その一つがEGガセットであった。このあたりのことは普通の工務店さんでは全く理解できないので、筋かい金物が指定されている事について不思議がられる。

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干渉してしまい浮いた状態のBOX型筋かい金物。アンカーボルトは柱心から200mm以内。

なぜ今までEGガセットが標準であったかというと、アンカーボルトと座金の干渉が少ないためである。最近はアンカーボルト座金が土台に埋め込まれるようなタイプもあるが、「緑の家」では様々な工務店さんがつかえる汎用タイプとしているので、この一般的なアンカーボルト座金との干渉は避けなければならない。

EGガセットは干渉が全くない。但し左右の2種類が必要となることが廃盤の理由かも。

アンカーボルトは上写真の右側にある金色のボルトである。この位置も構造計算で柱心から200mm以下としている。これを干渉が少なくなる300mmと長くすると曲げ応力で土台が折れる確率が高くなる。柱心から200mmの時に普通のBOXタイプの筋かいプレートだと完全に干渉してしまい一手間かけないと正しく筋かいプレートを設置できない。そこで上のように干渉しがたいEGガセットプレート選定したのである。

干渉を避けることが出来るBOX型筋かい金物。これを次の標準とする。

選定条件には干渉だけではない。HSS金物特有のスリットとビスの干渉も避けなければならない。

高さ4mほどの梁と柱のスリットに筋かい金物をあてビスとの干渉をチェックする親方大工。現地でわからない作業のことはいつも相談にのって頂いており大変頼りにしている。

120巾の土台と柱部分と、105巾の梁と柱の分をチェックして問題ないか確認後この筋かい金物を標準とした。一部品決めるにあたってもエビデンスの積み上げのため、一度決めたら変更しないが「緑の家」の仕様となっている。

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