2023年建築学会梗概集からの論文の紹介の3番目。カーテンがある窓と無い窓での結露の発生とその量の比較である。
題と発表者は上のとおりであるが、この題を見たときに昨年アップするはずだったこの前報があることを忘れていたので昨年の下の論文をご紹介する。
こちらは日常の疑問にも答えられるような気もするが、全く逆の事でもあるので面白い。この報の目的は・・・
のとおりでありカーテンのヒダが窓にどのような影響を与えるかであるが、その前にカーテンの有る無しでどのように窓は影響を受けるのかが面白かった。
まずその実測条件であるが、私が想像しているカーテン設置位置ではなく上の図のとおり、窓面から100mm離れている。つまり100mm隙間があいている。皆さんが設置しているカーテンがこのような感じなら参考になるが、通常は多分壁面に限りなくカーテンは接していて、窓面への空気を遮断していると思われるので、この論文の結果がそのままあてはまるとは思わないでほしい。
とにかく面白い論文なのでほぼ全文を載せる感じでの案内となる。上図2は定常計算となるがここも面白い。左の図では予想通りカーテンがない方がカーテンがあるより窓ガラス表面の温度が上がる。しかし左図では絶対湿度がカーテンがある方が低く、この差で結露水はカーテン有りのほうが少なくなる。ここは頭で想像していなかったので驚いた。つまり隙間100mmくらいでは絶対湿度である空気中の湿気はゆっくり移動するので、窓面で結露しただけ絶対湿度が下がった空気が溜まっている感じである。下図は非定常の計算である。
非定常計算すると図4のとおり最初の1時間くらいは窓表面温度が上がる。これは凝縮熱をガラスが受け取るからとのこと。そして右の図5が面白く、定常計算では結露水はカーテン無しの方が多くなるのだが、非定常計算するとカーテン無しのほうが少ないと真逆になる。定常状態とは時刻的変化がない一定条件のことであり、非定常状態とは時刻的変化で条件が変わる状態のこと。
計算ではなく実測では2時間以上経つと定常状態となりカーテン無しがやはり最も多い結露水が発生した。
私は今までカーテンがない方が結露し難いと申し上げていたが、それはそのとおりであるが一度結露してしまうとカーテン無しのほうが結露水が多くなる傾向がある(隙間100mm時)。よく考えれば当たり前だがこんな風に考えた事がなかった。そもそもカーテン有る無しで同じ窓で同条件比較したことがないから当然である。この論文に従えば窓ガラスが結露したらカーテンを閉めた方が結露水の量は少なくなるとの結論になるので、もし結露水の掃除処理回数を減らしたければカーテンは閉めっぱなしがよい。カーテンがあると湿気のある空気が供給されにくくなるので結露水の量が少なくなるのである。
しかし・・・再びそもそもだが窓を結露させない使い方をすることが最も良いことに変わりない。
その昔ハニカムスクリーンというカーテンで窓サッシの断熱性能を上げるという変な方法が流行っていたが、そんな結露発生を促すような物は一度も考えた事がない。多分この論文内容がパッとわかる方なら当時から採用はしないはず・・・。
以上大変面白い論文であった。