当時築30年の床下。当時はこのように下は平らではなく木が左右にあり、湿っぽく蜘蛛の巣やカビ、ゲジゲジ、ムカデもいる。今はこれほど酷くはないが、それでも綺麗ではない。
床下が綺麗だと思っている人は、きっと自分で床下に潜って作業したことがないのでしょう。家のメンテナンスは人任せで、本当は家のメンテナンスに興味がない人だと思います。
SSプランの床下空間。明るく広くて清潔。配管もこの通りいつでも簡単に取り換え可能
床下を清潔に保つには・・・
1.床下内を室内と同じ環境にする。
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基礎断熱とする。
2.気軽に目視できるようにする。
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高基礎+床下内照明設置
3.掃除を定期的(数年に一度)に行う。
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高基礎にする。
だと思います。
私が床下にこれほど執着しているのは、理由があります。
もう20年前の事ですがまだ当事務所を設立しておらず、住宅会社のサラリーマンでした。その会社で設計や商品開発の課でしたが、なぜかアフターメンテナンスもよくついて行きました。特に高気密高断熱住宅でクレームがあった場合は、その開発責任者だったので必ず現場を見ることにしてます。だからこそ今の緑の家があるのですが・・・。
そこであるクレームで床下に入る事になりました。その床下は高さが40cm(今の長期優良住宅と同じ)でしたが、歩腹前進ですので家中見るには1時間かかりましたし、床下から出てきたときには全身びっしょりと下着まで水浸しでした。実はこのクレームは床下内に水がたまり、その原因が基礎断熱による結露と現場監督さんが主張していましたので私が率先して調べることになりました。
結果は今の基礎断熱の普及を見れば明らかで、基礎断熱のせいではなく他の原因でした。この時床下は家のメンテナンスでとっても大事な空間とはっきり分りました。原因を間違えた現場監督さんは実はこの床下に入ることなく上から覗いただけで判断したので間違えたのです。そうですよね。水浸しの床下内を歩腹前進するのは誰でも嫌ですから監督さんの気持ちは分ります。
よって、誰でも嫌がることなく簡単に入れるようにしなければ、この監督さんのように間違った認識や、このようなクレームを発見するのが遅れるでしょう。だから簡単に気軽に入れるように基礎の高さを高くし、基礎断熱をして床下も居住空間として清潔さが保てるようにと「緑の家」の標準仕様としたのです。
きっと高基礎を建て主さんに勧めない設計者は、「自分で床下に潜ってメンテナンスする気がはなからない人だと思います」。高基礎にするにはコストがかかりますが、家の大きさを2坪小さくすれば可能です。家の広さより質が重要です。
布団まで床下に収納しているSSプランの家