再エネの不思議 2 と金沢市へ

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寄棟屋根として最も無難な屋根形状としている。

昨日、金沢市に建築中の金沢戸板の家の仕上前のチェックに伺ってきた。こちらの性能はUa値0.17w/m2kで耐震等級3、耐雪1.2mと超高性能の「緑の家」。当然グレードはAで、すべての窓が単独取り換え型となる。

杉山大志氏作成したものを引用。

その話の前に、前回の続きで「再エネの不思議」の続きを話す。

上の図は欧州における電気代と一人当たりの再エネの占める電気容量を表したもの。これを見ると、再エネで電気を作る割合が多い国ほど電気代が高く、デンマークがトップで次にドイツ。「えっ、そんなことないだろう。今やソーラーパネルの価格は下がっており最も安価になると見たことがある」と言われる方も多いだろう。しかしそれは嘘であり、太陽光パネルによる発電は年間の稼働効率からみると20%以下と大変低く、さらに稼働できないときは他の発電に頼る・・・つまり2重の発電所への投資が必要であることが評価から抜け落ちている。
※火力発電や原子力発電はメンテナンス以外は常時稼働できるのに対し、太陽光パネルによる発電は昼間の9時から16時まででかつ天気の良いときのみの稼働となり、それらを計算すると18%くらいにしかならないという稼働効率。

ソースは資源エネルギ庁から。グラフは杉山大志氏作成したものを引用。

これらを考えると、再エネによる発電は発電原価が最も高くなるので、再エネが多ければ多いほど電気代が上がる。これらを示す根拠が上の図となる。日本も再エネによる発電が多くなっており、近年では2.7兆円の賦課金が徴収された。これを単純に国民一人当たりで割ると2万/年を超える。賦課金は割合は以前(2018年)お伝えした通り、企業の電気代に入っている金額が多いが、結局それらは物の原価になり国民に帰ってくるので、この単純割合で概ね間違いない。再エネを増やせば増やすほど電気代は上がり、収入の低い世帯ほど苦しくなるのが再エネ推進なのである。もっと突き詰めれば、再エネによる発電が安価ならなぜ電気会社はそれで発電しない?つまり最も高い原価になることがわかっているからである。

つまり・・・

私の考えはこうである。一戸建て住宅屋根への太陽光発電投資は、上のそんな事情を知っているのが前提で賛同するが、これはあくまでも自身がこの状況で損※2をしないためであり、日本国民全体から見ると決して推奨できない発電方法である。有用な代替え発電がなければ、化石燃料の従来型発電を行うほうが、日本国民のためになるのではないだろうか。そもそもエネルギーに詳しい人ほど、再エネの効率の悪さを指摘する。当たり前である。化石燃料は数億年という長い時間で太陽からの希薄なエネルギー密度を生物や地球の重力で凝縮しているものに対し、再エネは希薄なエネルギー密度がゆえに、大きな火力発電所1個分の発電を得るには、ソーラーパネルを東京の山手線内側にすべて敷き詰める量の設置が必要という、日本の環境では効率の悪い発電方法。だから前回で伝えた通り国や県が税金を使ってチラシを作ってまで推進する意味が分からない。
※2自身はそれで損をしないがその利益を得た分誰かが負担していることを忘れてはならず、感謝こそすべきで再エネしない考えを非難する権利はないと考える。

奥はカーテンのいらない光庭に面する開口部。

さて話は次の話題で、金沢戸板の家となる。

来月完成するため現在は仕上げ工事の真っ最中。下地や設備をチェックして問題点がないかを指摘するが、仕上げもいつもの「緑の家」とは全く違い、ほとんどが建て主さんの支給材となり、そのため建て主さんが良くご覧なっているので特に問題はなかった。

室内の窓から光庭を通してみると隣家は完全に視界からカットされる。

建物の奥に計画された「光庭」は予定通りで、周囲からの視線をカットしてカーテンレスの窓となる。市街地では最も効果的な窓計画であると思う。

金沢市といえば今年の元旦に震度5強の強い揺れを受けているが、建築中だったので特に被害はない。2019年に金沢市で竣工した「鳴和台の家」も強い揺れを受けているので、こちらの工事監理の帰りに立ち寄ることにした。実は気象庁の発表によると、金沢市の震度が5強だが、三条市の事務所のある所でも震度5強と同じ。しかしこちらの鳴和台の家の近くの道路斜面が崩れている状況からこの地域はこの発表より強い揺れだと想像している。

完成は2019年とすでに5年が経過。木の外壁が変化の途中でまばらな色合いだが、もう5年もすれば落ち着くだろう。この時期から白いサッシが効果的とわかる。
完成直後の鳴和台の家。シンボルツリー等がまだ初々しい。

目視ではAEPの壁にヘアークラックが数か所できた程度。こちらも耐震等級3なので、余力は十分である。一方山の斜面に立つ家なので家の傾きが心配でもあるので測定をする。結果はまったく問題く水平が誤差程度で保たれていた。ただ購入時前からあった30年くらい経ている敷地周囲の擁壁はわずかに擁壁継ぎ目の隙間が大きくなったとのこと。このよう壁は重力式なのでL型とは違い鉄筋の腐食はないのでその寿命は半永久的のためこの程度なら安心できる。

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