換気は難しいと何度もこのブログに投稿している。特にこの真夏シーズンにはいるといつもそう思う。同時に先日夏至をすぎてこれから一日ごとに日が早く沈む切なさも感じるのがこの季節。
「緑の家」の換気方式※は無難な換気だと思っている。指針となるのはやはりCo2濃度であるが、まだまだこのCo2濃度でよいのか建築学会も議論がされている。しかしわかりやすく、Co2濃度測定機器も安く手に入るので今はこのCo2濃度を家の換気の指標としてよいと考えている。
※寝室の換気を最優先に考えるため、寝室への直接外気を入れその風量も25m3/h人程度として部屋の大きさで決めない方式。
その考えになったのは、空き家になった拙宅の夏季の室内空気特性を確認できたからである。高断熱高気密の空き家では、以前なら冗談と思えるような考えである「換気がないほど」家の管理が楽に行えることがわかった。換気はもはや人のためだけとしてとらえてもよい。つまりシックハウスの汚染元となるホルムアルデヒド類が家の中に多くあっても家の管理に関係ない。関係あるのは室内の湿気の制御だけよいとの結論。つまり換気は人のためだけに行われるので、主として人の人数や活動量で換気量を決めることがよい。高断熱高気密の物体として最もわかりやすい冷蔵庫をみれば換気などしていないほうが庫内の管理は簡単と同じである。これは冷蔵庫内に人がいないからできる。
もう8年ほど経つが、「緑の家」の寝室のCo2濃度を測定したことがある。
上のグラフで測定した寝室は換気量約45m3/hで行っており、出入り口戸は閉め切っている。すると23時から5時までの就寝中のCo2濃度は最大で1100ppmを超え平均でも1100ppmとなっている。住宅内でのCo2濃度の法的規制はないが、労働基準によると1000ppm以下に抑えるのが良いとされるので、その指標から見るとわずかにNG。よって最近の「緑の家」の計画では45m3/hより多い50m3/hで新鮮空気を直接吹き込む計画にしている(ダクト式換気の場合)。
一方入り口戸を閉めないで開けておくと、上と同じ部屋で同じ45m3/hの換気でも↓
800ppm以下に抑えられていることがわかる。最近は出入り口戸閉めないで寝ている方が多いので、寝室の換気量は45m3/hであれば問題はないとの判断である。ただしこの風量は外気が直接寝室に入るときに限る。外気のCo2濃度は概ね400ppmとなるが、家の空気の平均的なCo2濃度は上のグラフではリビングになると考えており、その数値は就寝中で550ppmを超えていることがわかる。400ppm未満の外気で寝室空気を希釈するより、500~600ppmもある空気で希釈すれば寝室を1000ppm以下にするにはより多い希釈量が必要。つまりもし寝室に直接外気をいれず、リビングや廊下等を経由して換気するようなシステムだと寝室の換気量は50m3/hでは足りず、60~70m3/h程度必要なことがわかる。当然Co2濃度を実測して50m3/hでもCo2濃度が1000ppm以下ならよいだろうが、それは寝室の戸を閉めた状態が正しい測定条件である。時折戸を閉めることがあるなら戸を開けて測ることはあまり意味がないといえ、戸を閉めた状態で計測することをお勧めする。
次の雑談は外壁の通気層である。
ユーチューブで勝手に紹介される動画のサムネイルが「緑の家」のクロス胴縁に見えたので視聴したら、やはりクロス通気胴縁による通気層であった。そこでの動画は防水チェックのポイントを説明しており、私から見ても細やかな施工でありチェックも結構厳しめでよい工事監理だなと思っていた。一方そこのコメントには辛口で「通気胴縁には防腐防蟻材を使用していないのですか?」のような書き込みがあり、意識してみなおすと確かにそのような説明や画像はなかった。国の長期優良住宅の基準では通気胴縁でも地面から1m以内であれば防腐防蟻剤かヒノキ材等で造らなければならない規定がある。そこから見るとこの家は長期優良住宅ではない。しかし私としてはその現場で使われている透湿防水シートが普通の白いタイベックだったのでこれでよいと思っている。この白い普通のタイベックは防腐防蟻剤が浸透した通気胴縁材との相性は悪い。一般の防腐防蟻剤は無論、仮にホウ酸系の水性防腐防蟻剤でも必ず表面活性剤が混入されているので、タイベックの防水性は破壊される可能性が高い。それだったら防腐防蟻剤を使用しないでクロス通気の風抜けやすさだけに頼ったほうが家自体の防水性は長持ちし、長期優良住宅の規定を守って薬剤による防蟻防腐材を使用した防水層より耐久性は高いと思われる。
動画はやはり怖いところがあり、その内容がコピペされ切り抜きで使われたときに誤解を与える可能性が、写真と文情報より高くしかも文とは違い、人が声を発して説明しているため、よりその当事者とのつながりが大きく感じ影響は大きい。