天井には建築化照明。梁の表しの意匠を壊さない照明設備として設計した。窓の大きさは耐震性から逆算し、最大の大きさを確保。
その④は・・・
まとめとして少しだけ室内写真をご案内します。
少しだけとは・・・この写真を撮った時点では扉や家具などがまだできていませんでした。だから多くはご紹介できません。
内装写真はシグマ製SD14で撮影し、クリックすると大きな1600*1076(Jpeg高圧縮)画像です。
その前に・・・ようやくですが、
その①で頂いたコメントに対する簡単な実測値でお答えします。
↓三枚の写真は19日撮影の片貝の家の和室での測定です。
床の表面温度約20度
天井の表面温度20度
壁の表面温度19度
この時の室温が21~22度で推移しておりました。
すると温度の高い順は
室温>床=天井>壁
となります。
室温が一番高くまた天井が普通の床下暖房方式より高いことに気が付きますが、これはこの天井裏に床下の温風を強制循環させている事が原因と考えて良いでしょう。また天井表面が床からの放射熱の影響を受けるには床温度は低いです(畳床で床下の温度の影響を受けにくいほど他床より数倍高い熱抵抗値なので)。
とはいえまだ2階床下への空気を送る熱ダクトが閉じていない(1階つながっている)ので送っている空気温は1階室温と変わらない22度程度・・・ですので20度くらいでした。この熱ダクトに送る温度を25度くらいに上げれば天井の温度が室温や床より高くなるでしょう。つまり天井の表面温度が畳より高くなります。このように暖房システムによって直ぐに温度特性が変わるのがおもしろいところであり、条件を整理して考えブログでわかりやすいようにご紹介しております。ですのでその④にまでなりました。
さて、片貝の家の室内を少しだけご紹介してまとめとします。
片貝の家の中心は2階です。以下の写真全て2階の写真です。つまり上に見える梁は小屋梁で、その全てが「表し」の意匠です。そしてこの印象が良いのは「テックワン」という金物工法が標準工法のため、通常の家では必ず設置される補強金物がいらないのでスッキリとした印象を与えます。
加えて建て主さんの拘りで、梁集成材の接着剤を黒い色のレゾから、トーメイの高分子系に指定したため更にスッキリとしました。また梁の材質も赤松限定としました。この辺はわかる人しかわからないこだわりの仕様や意匠です。
壁景観を最大限いかすために30度折れ曲がるプラン。各窓から遠くに越後の山並みが見える
以前の家で使っていたキッチンセットを再利用。梁には黒い線が見られないのは高分子系の接着剤のため。
壁キッチンに立った時の窓からの景観が一番良い。天井はあえてシナベニヤを仕上げに希望され、見学会では大変好評であった。
オープンキッチンのため後ろには巨大な収納庫が控える。高さ2.3m、巾1.3m×2の扉は圧巻。
壁リビング収納は一番上の棚が正方形になるように割り付け。この後、扉が入る予定で更に仕上がりUP。
大きな梁が露出している写真や建物を見かけますが、多くは補強金物取り付け義務を無視している建物が多く、建築士としてはとても悲しい事です。最初にある建物性能は、やはり構造の安全性でこれなしではいくら快適でも、自然素材を多用しても、見た目の良いプランでも許される事ではありません。あの震災と原発事故で何を学んだのでしょうか?
コメント
先ほど建て主さんからお住まいの感想を頂きました。
引っ越しされてから既にまる3日なので、実際の生活に入った第一報と思って良いでしょう。
なんと1階より2階の方が暖かい(床も)。
おおー 予定通りとは言え「凄い事」です。
1階床下に設置してあるエアコン3台がこの家の主暖房ですが、その熱を2階まで引き上がられるかが、今回の課題でした。
見事この厳寒期(氷点下が続いた)この時期に、2階の床下を暖める事ができた。それも深夜電力の安い時間帯が主体で・・・。
設計者としては大変ありがたい事ですし、見事予定通りでホットしました。
kotaro様
コメントありがとうございます。
>「床下暖房と超高断熱効果」のシリーズを拝読しました。
いつもありがとうございます。
>梁集成材の接着剤を黒い色のレゾから、トーメイの高分子系に指定することなど考えたこともありませんでした。
私も考えた事はありませんでした。これはレゾ系の接着剤の実績が大変多くあり、屋外でも使える程安定した材料なので、屋外では使えない高分子系材料より良いと考えたからです。でも屋内なら高分子系で問題ないならそれはそれで良いでしょう。
>住み続けるうちに愛着が増していく住まいになるのが見えます。
家がその住民に愛されることはすばらしいことだと思っておりますし、そのお手伝いをできることはありがたい事です。
「床下暖房と超高断熱効果」のシリーズを拝読しました。不断の研究と成果の実践、そして情報提供にオープンな姿勢は、私のような素人にはたいへん勉強になります。また今回の施主様のこだわりにはため息が出るほど感心しています。梁集成材の接着剤を黒い色のレゾから、トーメイの高分子系に指定することなど考えたこともありませんでした。住み続けるうちに愛着が増していく住まいになるのが見えます。