今日は新住協のQペックスのセミナーに参加させて頂きました。代表理事の鎌田先生の直接のお話しなので途中退席(時間が厳しい)を承知で、なんとか時間を作り前半のみ出てきました。大学を退官されてから雰囲気が変わった(良くなった)ように感じたのは私だけでしょうか?
その中で・・・
最近のサッシのこと
1 熱貫流率U値を低くするより日射侵入率を高めたほうがよい
2 壁厚200mmにもなるとサッシの取付ける位置は室内側のほうがよくなる(YKKの解析)。
1のこの件は所謂太平洋側でのことになります。確かにQペックスの計算上では、新潟県もある程度日射があるとの結果になるのですが、これはやはり机上の事だと、住んでいるいる側から感じます。新潟県の真冬の日射は数時間続かない事がほとんど。一日晴天なんてとても希・・・。時には30分で曇ることもあります。アメダスのデータはこの1時間でも日射があったとカウントしますが、たったそれだけの時間の時にだけ、住民がカーテンを開けたり、また日射が南窓から入りやすい正午付近の時間だったりするのでしょうか?不在の時は・・・誰がカーテンを開けるのかな・・・。
関東にみたいにお日様がでると言えば、一日中晴天なんて地方では、このアメダスのデータどおりに考える事ができますが、新潟県の冬の日射のあり方では・・・やはり机上の事になります。
2のこれについてはなるほど!と言う事です。「緑の家」のSSプランの特徴である、サッシ位置が壁の真ん中の理由は、サッシ丸ごと取り替えがしやすいという事で採用しておりますが、その理由も今度付け加える事にします。
では新住協の推奨サッシ位置がやはり壁の真ん中かというと、そうではなく従来どおり外壁よりが推奨とのこと。理由はコストが優先するからと言っていらっしゃいました。確かに真ん中サッシは余計なコストがかかります。ですので当事務所でもご希望があったときに真ん中施工にさせて頂きます。良い施工方法は良いということは大事です。
次に換気・・・
3 熱交換型換気扇は建物の気密性が重要。C値1.0以上ではあまり効果がない
4 同上の推奨メーカーはパナソニックである
3のこの事はもっともです。気密性能C値1.0という高気密でも、内外温度差20度の自然換気回数は0.1回/時にもなります。これが仮にC値2になると0.2回/時。気密性を重要視しない工務店さんが造る普通の家はC値2以上5以下と言われておりますが、この時の自然換気回数は0.5回/時にもなります。つまり、この状態でシックハウス法に定められた0.5回/時を熱交換型換気扇で行うと0.5回+0.5回=1.0回/時で換気過多。つまりは過乾燥です。これの理屈がわからない人は、中気密がよいとか気密なんていらないとか言ってしまうのでしょうね。ただ単に勉強不足としか言いようがありません。更に強風があれば、更に換気量が増えるのです。過乾燥にしないためにも気密性は高い方が良い事がわかります。
このように暖房する家なら気密性が高いほどよく、気密性能を測定していない家は、本当に「適当換気」と言えるでしょう。
第三種換気の場合は、この自然換気量が少し下がります。それは家の中が減圧されるからです。気密性に自信がない人は第一種換気をあきらめたほうが良いでしょう・・・か?
4のパナソニックについては、直流モーターや小ダクト管、そして信頼性との事です。ロイヤルなどの新規メーカーの熱交換率に追いついてきました。
さて・・・Qペックスも
進化して3.21になりました。みると、隣棟間隔という日射の遮る周囲の建物の配慮ができるように、いつの間にかなっておりました。
下は隣棟あり、無しが計算できるバージョン3.21と以前のバージョン2.73の計算を比較したものが、マニュアルに載っていました。それによると・・・
実際隣棟あり②くらいでこのくらい互いの距離が近ければ、カーテンを開けることはないだろう=日がほぼ入らない。
隣棟ありで周囲がくっていているものと以前のバージョンの結果はどの地域でも隣棟を考えないバージョン2.73の方が負荷が多くなっていました。つまり2.73は周囲の建物があることを厳しく考慮していた事になるのですが、2.73の計算は一体どのようにプログラムされているのでしょう。ちょっと知りたいです。
私はもっぱらこのQペックスは見かけの換気回数算定にしか使っていないので、このような事があっても全く問題ありませんが、これで熱損失係数Q値計算していた方や、年間暖房エネルギー消費量を算出していた人は、このあたりをどう考えているのでしょうか?以前のQペックスでも既に周囲の建物が有る前提で計算していたと言う事・・・?うーーん、わかりません。
Qペックスは益々多機能になり、信頼性も高くなってきました。これが会員なら無償で配布されるし、会員でなくとも数千円で買えるこのソフト(一般へは来年から)・・・大変よい事ですし、作られた方には感謝の念をいだかずにはいられません。そのソフトを事もあろうにコピーして無断配布する人が多く見かけられたそうなので、この3.21からシリアルナンバー管理される事になりました。そこは残念な事です。
取り急ぎQペックスの速報をお届けします。代表理事を始めとする新住協スタッフさんにはこの場を借りてお礼申し上げます。