国内で冬季の日射量が国内トップクラスの埼玉県と、比較的多い大阪府で計画中の「緑の家」の南側のガラスが全てグリーンガラスで決定した。
今週2棟たて続けでサッシガラス仕様の打ち合わせが建て主さんとあった。いずれもガラスは日射熱取得を抑え、紫外線を96%カットするグリーンガラスになった。
この2つの計画建物は、太平洋側気候の地域であり冬季晴れ間が大変多い。したがって暖房費を極限まで削減しようと考えたら、日射熱取得が多いガラスを選ぶことが一般常識である。しかし「緑の家」の建て主さんたちは違う。南側に大開口部があってもそのガラスは日射熱が侵入し難い・・・というより標準で紫外線が約96%カットできるガラスを最終的に選ぶ。この最終的が肝心なところで、当初は新築する前の家の断熱の低い家のイメージで日射取得が多いガラスご希望される。しかし仕様打ち合わせで家族で真剣に議論した時に選ぶガラスは日射熱が低いガラスで紫外線が約96%カットできるガラスを選ぶ。特にこの時には女性の意見が尊重されるようだ。確かに男性は紫外線に対し無頓着で紫外線が多くとも日射取得優先してガラスを選ぶ。しかしガラスによって紫外線透過が違う事をしっかり説明するとこの考えは女性によって一蹴される。女性にとって無意識な日焼けは最も嫌われることを男性は今もって理解できない方が多い。確かに忙しい毎朝では朝飯は省略できても化粧は省略できなない人が多く、そのほとんどが女性であろう。この化粧する理由の一つに「紫外線に対し無防備に肌を晒したくない」があり、そこを男性が心から理解するのは難しい。だからこのガラスによって紫外線の透過割合が違うことを設計者は建て主さんに説明しようとしない。説明されなければ女性の多くは気にしないでガラス選択を紫外線の事を大事だと思わない人(男性)に任せてしまう。ところが・・・ガラスのよって紫外線透過が違うことを説明すると、紫外線透過率が6%くらいしか違わないガラスでも紫外線透過が低いガラスを選択するのが女性の心理であるようだ。女性にとってはちょっとくらいの暖房費が上がろうとCo2を増やそうとそんなことは自分の価値観ではとっても低い位置であり、肌が傷まないほうがそんな電気代等アップなんて「些細な事」より重要であることを男性は知るべきである。つまり自身の肌が傷まない事は多少のお金では代えられない価値である。だからこそ化粧品には女性から見ると多大なお金を払う事ができるのである。

またシュミレーションで検討してそれで最終的にグリーンガラスに変わった例もある。下はそのシュミレーションだが、左はグリーンガラス(日射熱取得32%)のガラスを採用した例で、右はガラスだけをクリアーガラス(日射熱取得を46%)にした時の比較である。いずれも条件は暖房は完全OFFの一週間である。

冬期1月21日で快晴の日の15時ではグリーンガラスの時は寝室29度、クリアガラスの時の寝室は33.1度と差は4.1度となる。一方日射がほとんどない最も室温が下がる次の日の明け方5時室温は下のとおりである。

前日日射がほとんどない(曇りか雨)の1月24日の朝5時ではグリーンガラスの時は寝室21.9度、クリアーガラスの時の寝室は23.1度とその差は1.2度に縮まる(当然無暖房)。このように「緑の家」Aグレードの断熱性能では日射がないときにはほぼその差はなくなるので、確かにこのくらいならエアコンをONしても電気代は微々たるものだろう。その微々たるものなら紫外線がより入りにくいグリーンガラスを選ぶことになる。夏期は当然グリーンガラスの方が電気代もかからず快適性もあるので評価しなくともよいだろう。
このように冷静に考えても関東や関西の太平洋側地域でも全てのガラスをグリーンガラスする意味はあり、女性的思考になれば紫外線防止が最も重要な指標になっても合理的な判断となる。よってやはり3年前から勧めているグリーンガラス一択になる。
未だに緯度の高い地域(北欧や欧州高緯度地域、北米高緯度地域)のセオリーだけを意味もなく信じている設計者がいたなら、日本の夏は無論のこと、少し女性の気持ちや意見に耳を傾けたほうがよいと思う。




