
上は実際の「緑の家」の1階平面図である。ご要望で省令準耐火構造の適用を受けるための仕様になっている。通常「緑の家」では内装に木のむき出しの構造材があるためと余計なコストがかかるため省令準耐火構造を積極的に勧めてはいない。しかし今回省令準耐火構造を採用にするにあたって調べると意外なことがわかった。それが今回の題名の防火構造認定は付加断熱構造と相性が悪いこと。今回の話題は省令準耐火構造と防火構造の2つであり、一般の方には単語だけでも難しい話題であることを最初にお断りする。
まず省令準耐火構造だが・・・

とのことで、発端は住宅金融支援機構が定める基準の住宅であり、簡単には外壁と軒裏が防火構造以上で内装では天井が強化PBで壁がPBとし、ファイアーストップとコンセントプレート等が火が抜けないものを選択する。内装の方は下地にあればよく、木の仕上げもできる事が建築基準法の内装規定とは違う。但し内装において構造材はむき出しは原則禁止であるため、吹き抜けに木が露出する「緑の家」ではとても使いにくい仕様である。その欠点を取り払ったのが、JBN(全国工務店協会)仕様の省令準耐火構造である。

これに添えば室内に構造材の木の露出は問題なく使用できる。但しその構造材は120mm×120mm以上の断面が無ければいけないが、この大きさならコストアップはほぼ無しでクリアーできる。但し年会費のある協会員にならないとこの施工ができない(施工しても省令準耐火にならない)縛りがあるのには残念だが、年会費は少ないので、もし省令準耐火で火災保険を安価できるメリットを建て主さんに進めたいなら入会することをお勧めする。

さて次は防火構造・・・
建築関係者さんなら準防火地域での木造建築は防火構造となり、一回はその施工に携わった事がおありだろうし、都市部ではほとんどがこの準防火地域になる。オーブルデザインでもここ数年は準防火地域での防火構造の比率も多くなった。この防火構造と省令準耐火構造の違いを上げると外装面では防火構造の方がはるかに厳しい。防火構造では延焼線の内側は外壁もサッシも軒裏換気口も、フードも防火仕様になるが、省令準耐火構造では外壁と軒裏だけ防火仕様になれば一番コストのかかるサッシは標準品でOKになる。今回はこの防火構造での外壁とサッシ付近の話題となる。
まず防火構造とは・・・火に強い外壁の構造を国が省令で規定しているが、それによらず独自の建材類で同等の性能を有したことを国から認めてもらっている外壁等の構造もあり、つまり防火構造には
A:国が規定した外壁等の構造(国の標準仕様)
B:国が個別に認定した外壁等の構造(各民間メーカーが試験をして認定を受ける)
の2つしかいない。近年ではAが大半をしめると思われ、特に窯業サイディング15mm以上を使った防火構造が多い。
まず「緑の家」が普段使う防火構造はAのみ。これを法文で見ると有名な告示で1359号になる。

ここに具体的な防火構造の事例があり、木造の場合は一般的に第一ハ(3)に該当し、その中で(ⅱ)の(チ)を採用。

その(チ)中ので指定するロの(2)のⅶを採用している。

難しく書いたが、簡単には外壁には厚さ12.5mm以上のプラスターボードを下地としてその上に金属板を貼ればOKというとても汎用性の高い仕様である。

このように国が定めた防火構造はとても汎用性が高く、その構造を採用すれば仕上げ材はなんでもOKで木の外壁や木枠の玄関戸なども採用できる。
その一方Bである認定された防火構造は汎用性がなく、認定時に取得したその外壁構造を一つでも逸脱すると建築基準法違反となる。仕上げ材の厚さ一つ変わっても(15mm未満)NGであり、下は木造の木の外壁の認定防火構造の主体となった道総研のHPでの注意喚起である。

上のとおり一つでも外れると建築基準法違反となるころが強調されている。その認定書には詳細な外壁事例はなく、一般的な外壁事例しかない。

認定防火構造は具体例がほぼなく、上のような図しかない。これ以外の部位や構造で使うと防火構造にならない。
話を冒頭の図に戻すが、今回の「緑の家」の計画は・・・

外部ブラインドを外壁内に隠蔽するために一部外壁をふかして(厚く)いる。

それが上の図の青部分で、この部分がネオマフォームが取得した認定防火構造とわずかに構成が変わる。このためこの部分のみ省令1359号の防火構造で行うことにしている。そして赤丸の部分が次の問題個所。ここを開口部としてとらえるか、外壁としてとらえるかで大きく変わる。省令準耐火構造はもともと開口部には防火性能を求めていない。一方防火構造では開口部にも厳しい防火性能を求めるので、外壁でもサッシでも防火仕様になるが、省令準耐火構造では、赤丸を外壁ではなく開口部としてとらえれば、防火性能が必要ないことになる。
超高断熱住宅では付加断熱が必須になるので、この開口部の納まりは①外壁と同面納め ②外壁よりバックして柱納め・・・の2つあり、断熱性を厳しく追及すると②の納まりが優勢となるので採用されている人も多い。「緑の家」でもこの②は断熱性及びサッシ取替え時のメンテナンス性でメリットがあるので必須納まりとなる。この納まり時に認定防火構造が防火構造としてはNGとなる。

防火構造では延焼の恐れがある開口部には防火性能を要求される。この時使う開口部がアルミサッシや樹脂サッシになる。これらは全て個別認定であるため、外壁と同じように一つでも仕様を変えると建築基準法違反となる。その規定納まりが、サッシの部材(ツバ等含)と防火構造の外壁の連続性である。この連続性がサッシが外壁と同一面にない認定防火構造の外壁では担保し難いのである。

上は「緑の家」Aグレードの開口部廻りの詳細図である。青線はPB12.5mmで赤線が金属板である。つまり省令1359号防火構造ではこの組み合わせがあれば内部構成や外部構成は問わないとの建付けに対し、認定防火構造の外壁では、このように折曲がった外壁端部となる開口部の一部をフォローできない。内部構成や外部構成が変わるからNGになる。省令1359号を使っているので、下のような木の開口部一部をデザインできるのである。

次に省令準耐火構造だが・・・
現在埼玉県において省令準耐火構造で計画中の「緑の家」では、この開口部には防火性能を求められない。そして今回開口部とは普通の樹脂サッシとその木枠であると私は定義しているので認定防火構造の外壁でもOKとの認識である。しかし繰り返すが、普通の樹脂サッシではなく防火認定を取得したサッシは、防火構造の外壁の連続性が必須であるため、法律上防火構造を必要とする箇所では、各メーカーが各々取得した認定防火構造ではNGになる可能性が高い。それは付加断熱した高性能の住宅ほど注意する必要がある。このようにデザインの自由性を求めるなら省令1359号の防火構造が最もよいだろうと考えている。もし個別認定の防火構造なら防火仕様のサッシとの納まりのチェックは必須となる。
蛇足だが・・・省令準耐火構造の外部の防火性能は防火構造に比べ著しく劣るといえる。これは火災現場を見たことがある人ならわかるが、隣家からのもらい火はほとんどが窓からの火の侵入と軒裏からの火の侵入である。外壁はそこそこの性能でも窓ガラスが熱で割れたら、火は一気に侵入することは明白である。その窓の防火性能は問わないという事が?になる省令準耐火仕様。また軒裏換気口にも防火規定を持たない省令準耐火仕様は実質もらい火には弱いといえる。
今回の話題は「防火地域での認定防火構造はホントに大丈夫?」で実務上の違法性という影をお伝えしたが、省令準耐火構造でも影といえる部分についても次回ご紹介したい。耐震性や防火性の違法性は民法規定の生命に危機を及ぼす不法行為にも該当するので、時効は最長20年までと長く、それまでは建物を直す義務が発生するので注意したい。

