「緑の家」は変幻自在の床下エアコン計画

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巷では大きい吹き出し口がよいと言われるが、そうとは一概に言えない。

床下暖房の吹き出し口です。
オーブルデザインの吹き出しはとても狭いスリットで巾18mm。もっと狭くしたいのですが、これ以上だと施工も大変になるので今のところ18mm・・・かなり小さいです。
所でこの写真のスリットは・・・実は2階の床なのです。こんな所にスリットがあって1階の床下の空気がここまでくるの?と思って実測です。

特に今回の吹き出しスリットは上の写真のように家の一番隅にあたる部分です。ここにおーきなコーナーサッシがあるので窓ガラスから発生するコールドドラフトを防止する意味で計画しました。

3年前の片貝の家で2階の床下を暖める計画は完成しております。片貝の家では2階床下内に送付する強制ファンを2機取付けたアクティブ2階床下暖房でしたが、今回は送風機を一切つけないパッシブ送風を行います。

まず最初にどのような位置にエアコンが設置され、どの位置に吹き出し口があるかを下の図に示します。



1階の配置。エアコン(AC)はあえて家の真ん中に設置されている。1階の床スリット吹き出し口は一切無し


2階のスリット配置。Cのスリットと家の一番隅になるDのスリットがある。大きさは窓の巾の半分。

床下へ吹き込むエアコンが2台(6帖用)有りますが、1台運転時のCの吹き出し風速が0.6m/s(但し測定用のファン全体を通っていなので実際はもっと早い)。


窓下に見えるの黒い器機が風速計。


風速計でスリットの風速を推定する。
手をあてるとなかなか良い風が吹き出ておりこれならコールドドラフトを確実防ぐ事でしょう。

更に建物一番隅のコーナーサッシ部分Dでは


窓下に見えるの黒い器機が風速計。

Dscf1908_2
風速計でスリットの風速を推定する。

同じく0.6m/s・・・全く同じ表示風量です。ということはスリット断面がおなじなので、しっかり2階床下空間が一つのチャンバーになって同じ圧力が掛かっている事になります。

ここまでしっかりと数値が合うと凄い事です。これで当初の窓によるコールドドラフトを防ぐ計画は果たせました。結構勢いよく出てくる吹き出し空気があるので今度は2階の床面温度が上がるくらいの風量が流れているかを先ほどの風速から推察すると

0.6m/s×1.3(ファン補正)×0.018×0.91×3600=約50m3/hの風量でこれが4つ有ると200m3/h。エアコンが2台運転すると300~450m3/hか?2階の床を暖めるには少し足りないですが暖かい空気は確実に床下内を流れていますから床温が少しでも上がることに違いありません。この事については床温を来冬に測定させて頂ければと思っております。


巾3.6m高さ1.8m大きな窓なのにスリットがない。でも床は暖かい。

そして冒頭申し上げたとおり・・・
1階の居室床には床下エアコン用のスリットが一切ありません。普通ならこれで温まるはずはないと思われるとおもいますが、「緑の家」の床下は普通と違います。床下が1.4mもあるのでスリットがなくとも基礎の隅々まで暖気が行き渡るのです。

ですのでスリットがない1階の北西一番隅にある浴室の床温度さえなんと・・・

25.3度(室温24度時)と室温より何時も高くなります。
また基礎の高さだけではなくエアコンの配置もその家のシステムに一番ふさわしい位置を常に考えており、今回の小新南の家では先回紹介したような家の隅には設置しません。変幻自在のエアコンの配置で床下暖房をシンプルな器機で確実な効果をお約束します。これを計画するには超高断熱の床下とエアコンの特性、換気の特性、カビ、ゴミなどを全般的に把握出来る能力が重要だと考えております。

※「緑の家」は2階床下暖房を標準で薦める事はありません。それはメンテナンスがし難いからです。この事にご理解頂ける方のみ採用させて頂きます。

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コメント

  1. 木原(兵庫県) より:

    早速のリコメントありがとうございます。二階の床を暖めるのはオーブルの標準仕様ではないことは重々承知の上でのぶしつけな質問でしたが、お答えいただきありがたく思います。
    やはり吸音しかないようですね。
    私はGWを敷き込んだフトコロに暖気を送り込んで、二階の床を暖めるのは繊維が舞うのではないかと心配でした。浅間様も同じような感想ということで意を強くしました。GW上の撥水・防かび剤のことは思い及んでおりませんでしたが、言われればそれも確かに気になります。
    一階の天井裏フトコロに敷き込むくらいなら、その分を基礎か、二階の天井裏に敷き増ししてほしいくらいです(笑)

  2. オーブルの浅間です。 より:

    木原様
    コメントありがとうございます。
    >一階の天井裏ふところ部分に断熱材(グラスウール)を敷くことについてどう思われますか?
    GWは吸音のためだと思います。その他の理由が見当たりません。
    2階床を暖めるのが標準ではないので1階天井の懐は特に決まった仕様はありません。ケースバイケースです。
    GW等のあるところにある程度気流を発生させることはなんとなく気がすすみません。GWの繊維が運ばれてしまったり、GWに吹きかけてある撥水・防かび剤も少し気になります。

  3. 木原(兵庫県) より:

    いつも勉強させていただいています。
    現在、兵庫県西宮市の中山間地(海抜約200メートル)で二階建て新築木造住宅を計画中です。
    建物は総二階で、延床面積は約48坪。中央部に階段室があり、階段に沿って吹き抜けがある構造です。基礎が1000ミリあり、床下エアコンで一階床下を暖め、ダクトで二階の床下に暖気を送ることを計画しています。施工精度が問題ですがC値1.0を切ることを最低ラインとし、0.5を目標としています。冬期の二階は日射取得を最大限利用できるように南面に大きな樹脂サッシのトリプルガラス窓を多く配しており、北東西面は最小限の数の小型窓を配するにとどめ、結露対策として窓下に暖気ガラリを設けています。また夏期の冷房と暖房補助の目的で二階にもエアコンを配しております。このエアコンは冷気は上から、暖気は下から出るもので、半分床下になるように設置しています。換気は基本は第3種換気ですが、冬期はパッシブ換気(温度差換気)を補助的に併用。階段室と吹抜をパッシブ換気の経路として利用します。
    そこで質問なのですが、一階の天井裏ふところ部分に断熱材(グラスウール)を敷くことについてどう思われますか? 建築を依頼しているハウスメーカーの標準仕様では断熱材を一階天井裏に敷くことになっているそうですが、私は必要ないと思っています。なお、吸音遮音の目的では必要な部分に限り、二階床に遮音シートを貼るつもりです。
    なお、長期優良住宅の認定をとる予定でおります。この標準仕様はそのことも関係しているかもしれませんが‥‥。
    二階を床下エアコンで暖めようとする場合の、一階天井ふところの仕様についてご教示いただければ幸いです。