新潟で標準化するか ファイバーシングル系屋根


写真は新潟市で現在施工中の自然素材超断熱(高気密高断熱)住宅の屋根です。
屋根材についてはこのブログ中でも当事務所の見解を載せてます。

まず屋根材の耐久性ですが、

高温焼き瓦>=銅版>=焼きがわら>セメント瓦=人工スレート=ガルバニューム=ファイバーシングル>亜鉛鉄板 となります。

高温焼き瓦でも、谷と呼ばれる部分があればそこには銅板が使われるので耐久性は銅版葺きと同じくなるときがあると考えてます。

しかし漏水防止性は通常「屋根材」によって変わる事はありません。と言うのは、屋根材の下に必ず防水シートが貼られるため、漏水防止性はこのシートで決まります。
瓦などは強風降雨時は必ず瓦の下に雨水がまわります。この時漏水を防ぐのは「防水シート」と呼ばれるアスファルトルーフィングです。このルーフィングをしっかり貼ってあれば、漏水はありません。所がそれでも屋根からの漏水があるのはどうしてでしょうか?

施工不良は論外ですが、瓦の場合その多くが、釘やタッカー(ホチキス)の穴から浸水です。現在の瓦は、上から釘である程度止めます。その他の屋根材も同様です。その釘穴の周囲から雨が染み込み漏水となります。そこで考案されたのが、ゴムアスファルトルーフングです。このルーフィングは釘やタッカー穴に追随し密着するので容易に漏れません。どんな屋根でもこのルーフィングのおかげで漏水から守られます。だから最近の屋根工事はこのルーフィングを敷くと一段落つき、その後一ヶ月ほっといても雨漏りはありません。もしこの時点で雨漏りしたなら、その後10年以内にその家はほとんど雨漏りします。

では屋根材の働きは・・・
そうです。まずはこのルーフィーングを紫外線から守り劣化を防ぐことです。そして風に飛ばされないように保護し、人が乗っても傷つかないように防水シートを守ることです。昔はその屋根材自体で漏水を防ぐ必要がありましたが現在は、防水シートに頼る漏水防止工法に変わりました。ですので漏水防止性能はどの屋根材でも変わりません。
阪神大震災でもわかるとおり、昔の焼きがわら屋根は、土が瓦の下にありました。この役目は、瓦を密着させると事と、暴風時に漏水した水を吸収し、天井に漏らさないようにする役目もありました。土ですから防止シートのような劣化がなく、屋根材の寿命と同じくらいの漏水防止性能が続きます。ここが昔と現在の瓦屋根の違いです。ですので最近は耐久性=漏水防止性にはなりません。

さてそうなると、屋根材の選択方法はこう考えます。もし暴風時には多少の漏水は許せるなら高温焼きがわらは最高です。しかし漏水は絶対避けたいとなると、銅版葺きに軍配が上がる可能性があります。また価格はガルバとシングル葺きが同じ安価なので、30~40年以上経過したときメンテナンスを考えるなら良い素材です。
さて、その安価なファイバーシングルは新潟県で受け入れられるでしょうか?と言うのは、25年以上前に一度ファイバー(アスファルト)シングルが流行した事がありましたが、突然なくなりました。欠点があったからです。そのころの輸入されたファイバーシングル屋根は、フェルト紙にアスファルトを染み込ませた粗悪なものしか輸入されませんでした。ですので、劣化が大きく数年で色々な問題点が発覚し使う人がいなくなったのです。現在は、旭グラスファイバーという大手会社が、質の高いガラス繊維補強のアスファルトシングル(ファイバーシングルと呼ばれるようになる)を輸入し、劣化の問題は解消されました。が・・当時の苦い思い出はなかなか消えません。ですのでなかなか普及が進みにくいのではないでしょうか?実は同じ現象は10年ほど前にありました。
新潟市は海に面しているため、金属の腐食が早く、ほとんど家は瓦屋根でした。一方長岡市は雪下ろしに強いガルバニューム屋根がほとんどでした。ところが10年ほど前からガルバニューム屋根が海岸地域でも強いことが経験上わかり始めると、一気にブレイク。最近では瓦屋根と同等くらいに見るようになりました。

同じように、このファイバーシングル屋根も数年後ブレイクするでしょう・・・。か?当事務所では既にブレイク中です。


設計事務所の仕事 何がメリット?

設計事務所の仕事で何を大切にしてますか?

と問われたとき、必ず一番は「安全性」となります。

当たり前じゃないか?と言われればそれまでですが、

この建築業界に身をおいていると、要らぬ情報が

入ってきますし、目に付きます。(耐震性がなさそうな家が・・・)

最近瑕疵担保保証の会社が、今まで基礎配筋検査をの
写真を撮影して記録として残していたのに、
「今後写真は省略します」と言って、撮らなくなりました。
これは当たり前のことで、
配筋のチェックは「工事監理者」が行う行為です。
しかし実態として工事監理者は機能しているのでしょうか?
特に一括請負(設計施工とも同じ会社)の場合は・・・。

安全性の一番は「耐震性」です。

先日の記事でご紹介したとおり、耐震性は法律を守って設計すれば

必ず大丈夫でないことを、先日の実大実験が証明してます。

法律はあくまでも「最低の基準」と建築基準法第一条に

記されてます。だか当事務所が大事にしているのは、

技術者としての「工学的判断と信念」です。

その信念で当事務所の耐震性のチェックには

弾性変形内の層間変形角を重要視してます。

弾性変形とは、ゴムに力をかけると変形し伸びますが、

力を取るとほぼ元の形に戻ります。これが弾性変形。

この範囲なら物は繰り返しの力に耐え、急に耐力が

なくなることがありません。

層間変形とは、揺れた時1階と2階にどのくらいの角度

になるかを計算で予想する事です。

オーブルでは1/150以内としてます。

これは1階と2階の高さが3mとしたら、たった2cmのずれです。

「えっ、耐震性があるというのはそういうことではないの?」

と普通の方は考えると思いますが、違います。

法律による耐震性とは「倒壊しない」事を意味します。

半壊でも傾いても倒壊しなければOKというのが

建築基準法による耐震性です。

上の写真はいずれも倒壊していない建物。しかしこれでは全壊です。

自分の家だったらそれでよいですか?

私は不十分と思います。

大きな地震がきたときに、「家に入れ!!」と言うくらいの

耐震性が必要です。そのことでコストは上がりません。

ただ層間変形角1/150を計算をし、

そのとおりに施工すれば大丈夫です。

設計業務を委託されていつも思うことは、

設計図がたくさんあってよかった

に尽きます。設計図に書いてなければ、

「言ったはず・・・」では

水掛論でどちらも気まずい思いをしますが、

設計図にあれば業者さんに「図面のとおりお願いします」

のただ一言。沢山の設計図は本当に重要です。

これがメリットです。


自然な木々 ナチュラルガーデン 続の続 (モダンな坪庭)

ナチュラルガーデンの家は、正反対のイメージの坪庭があります。坪庭のあるプランは長いアプローチと共に建て主さんの当初からのご希望です。
家にお見えになるお客様に、玄関戸までの空間を心地よく感じて頂きたいという、おもてなしの心です。

基礎が高いので、玄関まで階段が多く必要ですが、それを感じさせず奥へと導くアプローチ。
まだ左下の路地草は植えられておりませんが、雰囲気のあるアプローチです(照明の位置は、何度も現地でシミュレーションしました)。

アプローチの左手一番奥に坪庭はあります。当初は普通の緑がある坪庭の予定でしたが、閉鎖された「じめじめ感」になりそうなので計画変更。酸性雨に強い御影石貼りで、本磨き仕上げの大きな水盤を設けました。
この水盤は二つから成り立ち、写真にあるとおり腰掛のような大きな水盤で巾は2.4mになります。
もうひとつの水盤は、床自身が水盤に見立ててあります。小さなプールのような大きな水盤となります。

今日の「主」のもてなしは、紅葉した葉っぱを浮かべてありました。
水盤は顔が映る本磨き仕上げであるため、コケ類が生えてもお掃除が簡単。いつでも清潔に保ちやすいはずです。

「さらさら」と流れ落ちる水の音は、心を落ち着かせてくれます。水はポンプで循環させており、その消費電力も10Wのものをチョイスしました。家中のホタルスイッチの消費電力よりより少ない電力です。ちなみにホタルスイッチは使ってません。

暗くなりがちな坪庭が「きらっと」自然に明るいのは、メタルハイランドという水銀灯を高さ7mのところから真下に照らしているからです。

そして玄関に入るとこのように、窓ガラス越しに月下の水に浮かぶ落ち葉を目にして、・・・しばし無言で眺めます。

PS
家の中央近くの坪庭と言う場所柄、外部ながらユニットバスと同じFRPと言う素材で全面防水を施し、長年の漏水にも万全を尽くしました。そのため坪庭ながらある程度コストがかかり、それをご理解頂けた建て主様には大変感謝いたします。


自然な木々 ナチュラルガーデンの一次工事終了 続き


ナチュラルガーデンの和室前の庭です。

やはり日本人ですね。このコントラストと形には何か言い知れぬ美を感じます。
雨の日の幹や葉っぱの濡れ色がなんともいえません。晴れた日には絶対にない鮮やかな色です。

うっとりするような色彩ですね。
さて、今日はもうひとつの外構工事で坪庭の水盤の手直し工事の立会いのため現場に行きました。そのとき昨日ブログでご説明したコンクリートの水切りのリアルショットが撮影できましたのでご案内します。

雨の雫が笠木先端にあるのがわかります。強く降っているにも関わらず、笠木の直ぐ下はまったく濡れてません。水がよく切れてます。

下から見上げると雫の位置がよくわかります。この切れ位置だから汚くなりにくい打ち放し塀ができます。当たり前の納まりです。

中庭の設置される石の水盤の寸法合わせをしています。

硬い石もダイアモンドカッターでスムーズにカットしてます。この水盤のご紹介はいずれいたしますが、中庭のじめじめした感じを嫌い、明るく清潔感をもってお客様をお迎えしたい玄関を!と考え巨大できらびやかな水盤(巾2.3m)を計画しました。


自然な木々 ナチュラルガーデンの一次工事終了

レッドサンセット・・・名前のとおりの木です。まだ県内の庭には珍しい落葉樹で、植木屋さんのお勧めでしたので、建て主さんが迷わずチョイスされたようです。
最近の家は本当に落葉樹を植える家が少ないです。落ち葉を嫌うからでしょうか?落ち葉も自然現象です。落ち葉から豊かな土が生まれ森になります。近隣の落ち葉が自分の庭や敷地に入ってきたら、土の栄養が来たと喜びを感じます。

写真以上にびっくりするほど、イロハもみじの真紅と外壁の色が似合うお庭の一次工事が終了しました。和風になることを嫌い、雑木(落葉樹が主)類でまとめて、里山を凝縮した雰囲気で計画します。それらしくなるには数年掛かりますが、完成形を創造してグランドデザインをしました。

アプローチに落ちている葉っぱがいいですね。植えたばかりなので、木がまだなじんでませんが、コンクリート打ち放しとの相性もよいですね。コンクリート打ち放しは、よく見かける仕上げですが、大事な工夫がしてあります。それは上の「笠木」と呼ばれる水切りです。写真の丸印のように壁面より上が出てます。これで壁面が汚れるのを防ぎます。
細かいところですが、これがあるのとないのでは、相当違います。
笠木がないとこんな感じです。上端に溜まったの汚れが雨で流れ壁面を伝わると「よだれ」になります。

緑の家の笠木を設けたコンクリート打ち放しの壁。4年経っても新築時のまま。
このあたりが設計事務所の細かい仕事です。普通の会社はこの笠木を設けてませんね。当事務所がこれを指定すると業者さんは不思議な顔をします。

もちろん高さの低いコンクリート打ち放しや、見えにくいところは笠木を設けいませんが・・・。


屋上菜園 秋勝りのトマト

数日前は霰も降ったというのに、立冬の昨日は暖かい一日でした。
拙宅の屋上菜園は秋勝りのトマトがまだたわわに実をつけてますし、花まだまだ咲いてます。
この菜園の管理者の思想で「無農薬、無肥料、不耕起」で造っているので、秋勝りのトマトになってます。一本の木がのびて4m位のツル状になってます。
不耕起農法は最近注目されている農法で、地球温暖化防止にも役立つとされ米国等で少しづつ認知されつつある農法です。
なんでも行きすぎた行為に振り子が揺れ戻して元に帰るように、米国的大規模機械耕作で化学肥料を多量に使う農法と全く正反対のやり方が、一方で行われているようです。
秋まさりとは、植物自身の力でゆっくりと根が深く確実に伸びるため、その伸びきった秋ころが最も旺盛になることが不耕地農法の特徴です。

最近特にお勧めしている緑の家の外壁も、無塗装で本来木が持っている耐久性を長く維持させ、無駄な塗装(後々後悔する塗装)をしない使い方です。普通の外壁材が10年目くらいから見苦しくなるのに対し、10年目ぐらいから本来の木の色となり30年目くらいまで最も良い色、そして状態を維持します。とにかくナチュナルで秋勝り的な使い方です。


自称エアコンマニア エアコンの機能の進化は正しいか?

エアコンは、今や快適な生活を送る上での必需品です。夏は湿度をとり温度を下げ、冬は温度を上げ暖かくします。エアコンが世の中に出てきたのは1952年。この頃は冷房しかできないためクーラーと呼ばれていました。だからエアコンをクーラーと呼ぶ人は45才以上です

13年以上故障なしで事務所で稼働中のRAS-255SD東芝(8帖用)稼働率は年間50%くらいになる。

1961年に暖房機能が追加され、またヒートポンプ式エアコンも同時に発売され、エアコンという名称になりました。更に1970年から壁掛け式の現在あるエアコンになりました(余談ですが、車のエアコンはクーラーですね。ほとんどの車種が暖房はエンジン余熱によるものです。電気自動車はこのエンジン余熱がないので、エアコンをONすると暖房もエアコンですので極端に航続距離が下がります)
ここから既に約半世紀が経ち、当時のエアコンの性能はCOPで2くらいでしょうか?そこから現在は6.7くらいまで3倍以上も性能が上がりました。
私がエアコンを新潟県の暖房器具として使い始めたのは、17年くらい前の以前の職場です。ちょうど高気密高断熱住宅の新しい仕様がほぼ完成し、IBECの気密住宅の評価申請を終えたころです。当時標準で取り付けていたFF式の石油暖房器具(出力6KW)で、40坪位の家が丸ごと暖房できるのがわかってました。そんな中、冷房器具としてのエアコンを考えて調べていたとき、東芝のRAS-255SDという機種が暖房COP4.6を既に出しており衝撃を受けました。
私の学生時代に友人の卒研発表で「理想COP10以上」だったようなヒートポンプに関する発表があり今でも記憶に残っているくらいヒートポンプについては興味がありました。
そんな学生のころ、エネルギー保存の法則で、『ある閉じたの中のエネルギーの総量は変化しない』と習ってましたから、ヒートポンプを1のエネルギーで10のエネルギーを得ると解釈した私は、凄い機械があるものだと勝手に思ってました。実は閉じた系でなないことがわかったのが相当後になってからです。
熱をある系から系へ移動している機械がヒートポンプエアコンですね。生み出しているわけではありませんし(ここがエコの所以なのです)、環境規模から見ればエネルギー保存の法則のとおりです。お馬鹿でした。ただ、低い温度から高い熱をくみ上げることについては、理屈はわかっていても今でも驚きです。

ということで、COPが4.6ということがわかって、当時東芝さんからいろいろ資料をもらいました。気温別COPや、出力別COP(インバーターだったので)などのグラフももらい、新潟でも充分暖房機として使えることがわかり早速各地域の住宅に取り付けました。
思っていたとおり充分暖房可能でまったく問題ありませんでした。だた当時は灯油が安価でランニングコストが灯油を使うより少し高いことだけでした。

当時のエアコン暖房の利点は、いくつかありましたが、その中でもサーキュレーターの役目も兼用できたことが非常に大きい利点です。この利点が今のエアコンにはなくなってしまいました。これは、最近のエアコンが出力応じて勝手に風量を下げ、コンプレッサーが動いてないときは、室内送風機の風量が限りなく0になるからです。すると高気密高断熱住宅では、数台で少ない出力で運転している時があり、その時サーキュレーター代わりとして使えなくなるのです。こればかりか最近は、機械が人を見つけそこに向かって暖かい風を吹き付ける機種まであり、正しい機能の進化とはいえない気がします。エアコン暖房が嫌いな人は、あのなま温かい風が吹き付けられるのが嫌いという人多いはずです。そのためわざわざ当事務所のエアコン暖房マニュアル(こんなもの渡しているのは当事務所だけかな?)には、
「エアコンの風は、人に向けないように設定してください。」と書かれています。また、説明に当たっては、「エアコン風は窓下に向けると快適性がまします。」と言います。

窓周りの断熱性が壁より大幅に低いので、やはりコールドドラフトは発生し不快になりますが、このようにエアコンを使うと、不快感が軽減されることを経験上わかっていましたので、サーキュレーターとしての機能も期待してました。それが今の機種では不可能になりました。残念です。下の写真の機種は最近の製品ですが、これもサーキュレーター機器となりません。その点上の写真の13年前の255SDはサーキュレーターとなり事務所のような低断熱建物では大変重宝します。今後メーカーには、風量を人が調整できるようにして頂きたいと願っております。
2007年に事務所に追加した設置フリータイプの三洋製エアコン約COP6.4(10帖用)年間稼働率60%以上と大忙し。

デザインも重視する設計事務所なのにビルトインのエアコンにまったく興味がないのは、ただたんにビルトインエアコンや天井カセットエアコンはCOPが低いからです。私が最初に入社した設計事務所では、ビルトインエアコンを多用してましたが、ショートサーキットによく悩まされました。今後も暖房は床下エアコン暖房で、冷房は目立たないところに1台設置だけですから、住宅でビルトインの必要性は今後もないでしょう。


薪ストーブでは地球温暖化を防止できない。

最近当ブログに「薪ストーブ 地球温暖化防止」というキーワードで検索しお見え頂く方が多いです。
他の検索結果を見るとほとんど「薪ストーブ=温暖化防止に一役買う」と書かれたページが多いですね。オーブルでは過去ブログにも書いたように、「薪ストーブは地球温暖化を防止しない。」という立場です。
理由は
「日本中の暖房機を薪ストーブに変えると20年弱で日本から木が一本もなくなる」事です。CO2を酸素に変えたり、幹としてCO2を固定化する木がなくなるのです。

明治維新の頃の140年前、薪は日本では暖を取る唯一といって良い資源でした。そしてその薪だけで日本人はそれ以前の長い年月、暖を採って生活してきました。
薪を山から切っては植樹再生等して、循環社会が築かれていました。だからお考えのとおり「薪=循環可能=カーボンニュートラル=温暖化防止」になったと想像します。
しかし、140年前日本人の人口はどのくらいでしたか?約3500万人です。今は1億2000万人です。
140年前は「暖房」してましたか?いいえほとんど煮焚きのみの燃料でした。一部炭として手あぶり採暖として使われてました。今はほとんどの家庭で暖房します。
140年前でも燃料として木材は都市では貴重でした。
今と140年前は暖房として使うエネルギー量がまったく違うのです。だから一斉にみんなが暖房用に薪を使うと直ぐになくなり山は丸禿状態です。

まずは使う暖房の量を減らさなければ「温暖化防止」ではありません。薪ストーブはよい暖房機で、私も大好きですが、誤った情報で推進されることは残念です。
私のある友人には山の麓で暮らし、日々の生活で伐採する木を燃料として使っている人がおり、彼は言いました。「薪は燃やさないと捨てなければならない。だから家は薪ストーブがぴったりだ」。
また違う友人は、「薪が燃えているのは落ち着く。都市で薪ストーブの薪集めは大変だが、好きなものには苦労はない」
この2人は違った理由で使ってますが、それぞれ楽しんで使っています。それでよいと思います。現代の薪ストーブはその位置づけだと思ってます。


一気に普及か?超断熱住宅。大手、特にトヨタホームが宣言!!

オーブルデザインでは、いま一生懸命超断熱の家をお勧めしてます。
が、なかなかそこまでする建て主さんの理解が得られていません。
がしかし、さてこんな記事があります。

「2013年にゼロエネルギー住宅を商品化すると宣言したトヨタホーム。」

大ヒット「プリウス」で有名なトヨタのエコ戦略。そのトヨタの子会社でトヨタホームの出した戦略です。新潟県では無名のハウスメーカーですが、中部では大手ハウスメーカーとして有名です(あのトヨタ自動車ですから)。
そこの社長さんが、この表現で発表するとインパクトありますね~。
オーブルデザインが昨年からこれからは超断熱住宅といっても、
「そこまで必要ないよ」という声もありますが、プリウスのトヨタさんが言うと、
「なるほど!そうか!」と思うのですね。

さて、この記事(インタビュー)によると、
1.家の断熱性を高くし
2.エコ設備を装備し
3.自然エネルギーを利用する

なってます。この3つは世の流れです。
この内 2.は年々変わる新製品に変わる設備に重きを置いても仕方ありません。ある程度考え、そして10年後入れ替えたときに簡単に入れ替えられるようにする空間を用意するほうが利にかないます。←床下空間のように・・・
3.の自然エネルギー利用も同様で、設置できるよう考えれば済むことです。普通はここに自然素材も入りますが、プレハブメーカーはそれができませんので言いません。
問題は 1.のQ値です。やはりこれが一番変更不可。最初からそういう家にしなければいけませんし、建築士の仕事です。

トヨタホームさんのQ値(熱損失係数)は今一番よい自社建物が約1.9W/m2kとあります。これは緑の家のSプランくらいです。これは今では当たり前の性能ですね。しかしそんな性能も表示していない住宅会社が新潟県では大変多いですね。ここは本当不思議な物語です・・。2年後急に「当社の熱損失は○×だ。凄いだろう!」と宣伝するのでしょうか?

更にこれを強化するとトヨタホームさんは言っていますから、多分Q値1.3~1.4W/m2kくらいが2013年の目標でしょう。当事務所は2013年で全ての緑の家を0.9w/m2k以下と思ってます。更に窓を強化するだけで0.8w/m2kになります。この窓は先日ご紹介した
この高性能3層真空ガラスサッシで実現できます。金額は30坪くらいの家であれば30万ほど上がりますが、価値はあると思います。

ミサワホームさんやその他大手さんが実験棟で宣言し始めているゼロエネルギー住宅(超断熱)の先取り、そして更に先行をしましょう。

この超断熱仕様はときっと将来よかったと思いますよ。

追加
ミサワホームさんの未来型ゼロ住宅実験棟は何と「基礎断熱」によるもの。白蟻関係者や床断熱派からあれだけいろいろなことが言われた基礎断熱。オーブルデザインではもう設立時の13年前から標準です。






  

新潟の家 ナチュラルガーデンの庭木の手本

先日ナチュラルガーデンでお手本となる本の事をお伝えしました。この本がそうです。
この本は、10年くらい前に偶然出会った本で、今でも大切に本棚に置いてあります。

生命の森というタイルとですが、内容は新潟県の森について分かりやすく書いてあります。学術的な事と経験上の事が融合しストンと心に響きます。
本物の森は主となる木があり、それを取り囲むように森が形成されており、更地から森ができるまで数百年ほどかかるそうです。
森の初期はおなじみの松林から始まり百年で落葉木がとって代わり、更にその後数百年で主木の森が形成されます。主木といっても一本ではなくその木の種類の事で、例えば「赤がし」などの事です。
日本の庭は、手入れを怠ると日本の気候が木の成長に適しているので、あっという間に荒れます。この荒れが百年続いてようやく本物の森になっていきますが、普通はそこまで待てないので松や椿など初期に形成される森をまねる事が多いです。それを最初から本物の森の構成で植え込むと、数十年で本物の森ができます。この会が手掛けた実例では長岡の川崎小学校の森や三条の川瀬クリニックさんの「樫の森」などがあります。三条の「樫の森」はその名前のとおり、樫の木が主木です。

本物の森はいつも構成が決まってます。まず道路(海岸)から
そで族→マント族→林
ですね。林には主木がありその下や近隣に低木があったりします。こういった森の構成を計画し植え込むことで、本物の森のように木に勢いが生まれ妖精が住むような「気」が感じられるようになります。
逆に林の中にある低木(EX.ミズキや山ぼうし)などは、元々マント族に風から守られ、強い日射からも主木や高木に守られている生い立ち上、風が吹きつける所や、一本立ち、強い日射が当たる所に植え替えると、あまりよい木になりません。そして痩せた木の庭になります。
普通の庭屋さんはこの事をあまり説明せず、この木は風に弱いとは、日に弱いとかで済ませますが、風に弱い場合、他のマント族とのセットで植え込む事で防ぐこともできます。要は早めに本物の森の構成を造れば、見ていて勢いのあるナチュラルガーデンの林ができますね。
だからこの会の手がける庭は、早めにその森の構成を造って植え込み、数十年で本物の森を街の中に造ってしまします。一度本物の森になったその中は、独特の森の匂いがあり、雑草も生えにくくなります。川崎小学校の森は有名ですね。

この本は森を知るための素晴らしい本です。是非一読をお勧めします。ただ残念なことに本屋さんでは置いてません。在庫があれば直接上の写真にある出版所から入手できます。ご興味のある方はどうぞ。


新潟の家 寒い朝の日の結露

寒かったですね(お外は、家の中は変わりないですが)。
今朝は拙宅の西の樹脂サッシで結露してました。ほとんど結露することのない高気密高断熱の住まいですが、11月の上旬と2月ごろの朝の数日だけ結露することがあります。
11月の上旬の結露は、大抵放射冷却のある晴天時の朝に発生するのですが、今年は予期せぬ時期の寒波のみぞれ天候で結露しました。
この季節の家の中では、夏から秋の湿気が自然素材に吸収され、何回も吸放出を繰り返しながら乾いた冬季の空気になる最後の時期で、真冬の家の湿気より相当多い湿気が家の中にあります。それが季節外れの急に冷やされた窓ガラスで結露するのです。
2月の真冬の結露は、強い寒気による温度低下と吹き付ける強風で、ガラス面の表面伝達率が急増し室内ガラス面の温度が低下するためおこります。同じ結露ですが、発生原因が少し違います。


さてお手伝いしているガーデンの納屋外部は完成し、今は内部の棚造りに入ってます。丸い外壁は西洋漆喰です。概ね2回にわけて左官工事したのですが、その2回目の漆喰が少し柔らかすぎて(水分が多く)、小ひびが目立ちます。硬化中の硬さも1回目よりどうも柔らかい感じです。自然素材はデリケートなので素材と会話しながら施工しないと問題が発生します。このときは、同じ会社の製品を2週間ずれで購入したので、同じものと思い込みそのまま施工しました。反省です。


新潟の家 Q値計算の難しさ 本当にその性能?

どうもQ値に対する不信感のある家(会社)があります。その家のQ値は世界トップクラスと宣伝されているのですが、普通のプランならどう見ても考えてもその性能にはならない感じです。

Q値は計算で算出するのが普通で実測で算出するのは極めて困難です。国をあげて研究する予算でもなければ難しいと私の恩師の環境の権威の先生も言ってました。つまり実測であると常に非定常の外部環境にさらされているので、でたらめな数値になります。が、・・・あるメーカーのHPには「測定」とあるのです。
しかも各部位の熱貫流率の明記がどこにもありません。これでは信用しろというほうが難しいです。Q値計算は難しいものではありませんが、その計算している人がちょっとっでもミスするとあっと今に変化します。例えば家の床面積をちょっと大きく捕らえるような事を故意に行えば簡単に0.3くらい変わります。計算は設計者(評価者)しかわかりません。
だからQ値1w/m2k以下の家を作る設計者は、各部位の熱貫流率を表記しております。これを明記する事で大体の精度がわかるからです。その熱貫流率を示さない会社は、??となります。適当でもわかりませんが、現在の社会ではこういった事が許されるから不思議ですね(手すりのない階段など)。

さて、現在建設中のQ値0.98K/m2Kの超断熱の家。
各部位の断熱スペックは

屋根(桁上小屋断熱):高性能フェノールフォーム180mm 熱貫流率0.11W/m2K

壁:高性能フェノールフォーム105mm 熱貫流率0.19W/m2K

床(基礎1):高性能フェノールフォーム120mm+50mm 熱貫流率0.14W/m2K

床(基礎2)中央部:土 熱貫流率0.11W/m2K

床(基礎3)外周部: 熱貫流率0.24W/mK

窓:木製3層LOW-Eガラス U値 1.2W/m2K

窓:樹脂サッシLOW-E アルゴン U値 1.6~1.5W/m2K 

窓付属部品:無し

換気:全熱交換型換気 熱交換率66%

玄関戸:スゥエーデン製木製断熱戸 ガラス無し 熱貫流率1W/m2k

です。これで間柱、柱、土台、桁の断熱欠損を勘案してようやく0.98W/m2kとなります。
 

県内でも複数のメーカーでQ値1以下の家を提供していますが、公の評価をQ値で取得している会社は当事務所だけです(調べた限り)。所謂「設計性能表示制度」で温熱に関する表示の等級4を取得するに当たって、Q値で計算して評価を得ました。
つまり設計者以外の第三者がその計算を精査したということです。

Q値という数値は、国で計算方法が決められています(指針)。計算は単純ですが少し間違えただけで簡単にQ値は変わります。だから皆さん注意を払って各部位の熱貫流率を出し合って、互いに納得しております。

次にご紹介するのは、まじめな設計事務所のQ値0.8w/m2kの家のスペックです。そのHPからは、すばらしい仕事をされているオーラを感じます。

屋根断熱435㎜(EPS50㎜+GW100㎜+ロックウール235㎜+GW50㎜)熱貫流率0.098W/㎡・K
壁断熱 295㎜(EPS50㎜+GWB50㎜+ロックウール140㎜+GW50㎜)熱貫流率0.135W/㎡・K

基礎外周EPS120㎜、土間下EPS断熱200㎜(100㎜+100㎜)熱貫流率0.47W/㎡・K

換気方式は、第1種換気方式、(スウェーデン製熱交換換気装置、熱交換率60%)

窓は、スウェーデン製木製トリプルガラスL0-E、アルゴンガス入り(熱貫流率1.3W/㎡・K)

玄関ドアは、スウェーデン製高性能木製断熱ドアで、更にペアガラスで備えた風除室を装備(熱貫流率1.11W/㎡・K)

このくらい行って初めてQ値0.8です。これ以下の家を作るなら、
窓は最低でも木製トリプルガラスLOW-Eアルゴンで、樹脂サッシは難しくましてやアルミ樹脂サッシでは到底不可能です。また換気の熱交換率も規定の換気量を確保したときの熱交換率で、弱運転等の効率のよい時の数値ではインチキですね。この熱交換換気システムで最高90%のものがありますが、非常に大掛かりでないと達成不可能です。果たしてQ値が0.7とか0.6では上の仕様をはるかに超える家でなければなりません。
はたして本当でしょうか?と思われる建設会社があります。

昨日のブログも件も含め家の設計はその設計者の思想(考え)が全てです。是非納得できるパートナーをお選びください。


ショッキングな映像と実験

2009.11.02、12.24緑字加筆
今日、構造見学会にお越し頂いた皆様、大変ありがとうございした。引き続き明日も行いますので、よろしくお願いします。

さて、本日お越しいただいたE様からのご質問で、
「全く同じ耐震等級2の建物を2棟作って、そのうち1棟はわざと手抜きした施工を表現するため1階の柱根元を基礎とくっつけないようにして、阪神淡路大震災級の地震波を与えて実験したというニュースがあった。結果は、何と施工不良のほうが倒れなくて、正しい施工の耐震等級2が倒壊した。これをどう評価しますか?」

非常に高度でショッキングな内容です。私は始めて聞いたので
「調べてみます」
とお返事しました。

そしてこの手の件は直ぐに調べないと気がすまない人間なので早速調べました。
するとおっしゃるとおりの内容の映像と記事を見つけました。実験している内容もしっかりしており内容は事実のようです。

上のプランの図は下のサイトから

一般に配布されている資料でプランと耐力壁を確認し、当事務所の構造ソフトに入力。確かに若干の差はあるものの現法律の耐震等級2の最低チェック事項クリヤーします。しかしプランを見ると、普通では考えられない構造計画(耐力壁の入れ方)があるのに気がつきます。一番重要な外周の耐力壁が倍率2程度で、その少ない分を内部の耐力壁で補っているようです。これは構造を知っている建築士は行いません。住宅等の小規模建物は外周の耐力壁が一番重要と認識しているからです。多分わざとこの部分を少なくして計画したのでしょう。「今法律で定められている構造方法に問題はないのか?」を確かめるために・・・2009年11月2日に主催者の説明ウェブを見つけ「想定通り」とのことで、やはりわざと弱い構造計画としたとのことです。
日経ホームビルダー2010.1によると、実験の委員長を務めた大橋教授へのインタビューがありました。
それには、「今回の地震波は建築基準法の1.8倍の力を与えた。この建物は建築基準法の1.25倍で造られているので、これで1.25倍(耐震等級2)が否定された事にはならないが、想定より10%くらい耐力が不足している事は、今後の解析課題である」と言う事です。ですのでやはり余力と基本的な構造解釈は必要とかと思います。

更に当事務所では全ての建物を最低基準の構造計算(ルート1)では済ましません。当事務所が行う構造計算ソフトは2次設計(ルート2 層間変形角等)も可能で必ずこれもチェックします。すると、完全にエラーが出ます。1階にいたっては充足率0.78です。これでは壊れても仕方ないでしょう。層間変形角とは、力を受けたとき柱がどのくらい傾くかを計算することです。木造では弾性の範囲1/150(外壁落下損傷を含めた)を超えないようにしております(。つまり柱の長さが2.8mでしたら、上部の横の動きは2.8/150=0.0188で1.9cm以内です。ところがこの実験棟の計算結果は最大で2.46cmとなります。これでは弾性の範囲を超え変形が残り大変形する問題があります。でもこの2次設計は通常の3階建では行わなくてもよいことになってます。ここに設計者の建築思想があるのでしょう?つまり構造の安全はその設計者の思想も重要ということです。また構造計画上問題がある建物は、柱の根元をきっちりと固めないで、力を受け流すほうがよい場合があるともいえます。しかしこれはあくまでもイレギュラーで、基本は構造計画を正しく行い、正しく施工することです。この映像を理由に金物施工不良を「正しい施工」とは思わないようにと願うばかりです。

さて、映像とわかりやすい説明は↓のサイトで確認できます。

http://mokutai-jc.seesaa.net/article/131652975.html

そのサイトのコメントも全くそのとおりだと思います。
興味ある方はご覧ください。
貴重な情報を頂きましたE様にはお礼申し上げます。


ナチュラルガーデン完成間近

イロハモミジ、山帽子、アトラスシーダー、レッドサンセット、白樫、どうだんつつじ、青ダモ、桂、ミルキーウェイ・・・

普通の庭には植えないような里山のイメージでグランドデザインした庭がようや一次工事完成します。一次工事は主木を植え込む工事で、来春マント族などで生垣になるように2次工事が行われます。
建て主さんがチョイスした木々で今回の樹種の中で知らないものが半分くらいあり、これはとても勉強になります。
私の中のナチュラルガーデンは、ある本がお手本です。その本は書店には置いてありません。長岡を中心とした森を愛する会が自費出版した本で「生命の森」というタイトルで新潟県山野草を尋ねる会が出版した本です。その中には森の本来の姿がわかりやすく対話形式で書かれてます。
畳と障子にイロハモミジの陰が映りこみます。本来畳は地面より1.1mくらい上がったところにありますが、それを感じさせないように、庭の土を盛り上げました。
アプローチを横から見ます。まだモミジの姿が馴染んでませんが、その完成風景が想像できますね。アプローチにある柱の柱脚の石も、オリジナルデザインで、すっきりと見せる設計としました。入り口から少しずつ高くなるデザインと質感のコラボレーション。設計で重要な部分です。
石垣と塀、そして屋根が重なり合うアプローチは美しいですね。決して和風ではないのですが、日本人に建築美を感じさせるのは、この重なりですね。
苔むした 石は造園屋さんのお勧め。名前は・・・わすれました。また聞いておきます。
家は木々の緑があって初めて映えます。

緑と共に・・・当事務所の「緑の家」はそれが由来です。


お手本です。綺麗な長期優良住宅の施工。

新潟県で一番多く長期優良住宅を施工されている会社さんの施工現場をご好意で見せていただきました。最初に感じたのは、
「凄く綺麗な現場」だったことです。なぜかなと、ふと見ると足場の下にはブルーシートがきっちり敷きこめられていました。こうすれば落ちた釘や木屑など簡単に掃除可能です。見事です。当事務所は施工はしないのでここまで指示できるかわかりませんが、さすがです、すばらしいです。お手本です。
次に
「通気層に防虫フィルターが施工」されていたことです。この施工は初めてみました。他の会社さんもいらしたので、その方に伺ってみたら、「カメムシやこうもりが入らないため」とおっしゃってました。そうか地域によっていろいろ配慮があるなーと感じました。
設計の計画は当事務所もプロなので負ける気がしませんが、常設展示場などで建て主さんが目で見てわかる物を拝見させて頂くととても勉強になります。同業者に見せることは勇気のいることと思いますが、気にせず公開される気さくな社長さん(もう会長さん?)には大変感謝申し上げます。ありがとうございます。


新潟の家 Q値0.98w/m2kのQ1住宅 見学会 明後日

明後日行われる現場見学会はQ1仕様(Q値が0.98w/m2k)ですので、 半端じゃない断熱材(高性能フェノールフォーム)の量が現場に来てます。
通常の「緑の家」の2倍ですから室内は至る所に断熱材が置かれてます。一枚の厚さは60mmと45mmで、合わせて105mmです。一般的に使われるグラスウールという断熱材に置き換えると、約30cm!!に相当します。このグラスウールで外壁を作ったとすると、約40cmになり現実的ではありません。ですので断熱材を高性能フェノールフォームにすることで外壁厚を10cm減らし30cmにしてます(それでも30cm・・・)。
このように60mmある断熱材です。凄いですね。

これを気密シートが貼られた上に105mm重ねる事で外壁を作ります(気密シートは地震時の揺れを考えた場合大事な部材で、省略しているメーカーが多い中、当事務所では開設以来ずーと入ってます)。
現在この105mmの厚さで外貼り断熱の防火構造認定はIGサイディングくらいしか取れていませんね。新潟でこの厚さの外貼り断熱だけでQ1するのは多分当事務所だけです。
これは、将来断熱材を増やせることができる計画をしているためです。
将来20~30年後のQ値は0.7w/m2kを予想してます。
なぜこんな超断熱性能が必要かについてはこの前のブログにさらっと書いてありますし、この一年のブログ集に細かく載せてあります。ご覧ください。


CO2削減を推進するのはいいけれど・・・。飛行機編

CO2の削減目標を25%と国連で宣言した日本ですが、さてどこまで目標に近づけるのか?・・・今日は家とは直接関係ないですがエコについて先週少し取り上げましたが、エコ=CO2削減であるので飛行機について少し考えたいとおもいます。

 最近海外旅行が如何にCO2を一挙に排出しているかを知りました。拙者14年間くらい海外へは行っておりません。最後に行ったのが、当時の会社の研修でカナダのケベックです。確かに世界の裏側まで13時間くらいで行ってしまうそのエネルギーは凄いものです。
 仮に今、ハワイのホノルルまで飛行機で往復すると1300kg/人のCO2を排出します。これは日本で家庭から排出される一人当たりのCO2に匹敵します。わずか数時間で一年分のCO2を排出する事実に驚きました。
 レジ袋を少なくする等の日常の中の小さな小さなCO2削減よりも、また暖房エネルギーを減らすべく超断熱住宅で暮らすより、一回海外旅行を取りやめたほうがCO2は一気の削減できるこの事実。

日本は現在海外との輸出入で経済が成り立ってますので、今すぐ海外へ行く回数を減らせといわれてもそれは難しいでしょう。しかし、もしCO2による温暖化がとても深刻なら(小学校ではそのように教えていたらしい)、レジャーで海外旅行をする人は温暖化防止に貢献できる他の行動で飛行機分の貢献をする仕組みを義務化(カーボンパスが良いかは不明)するのがよいと思います。
 まっさらな心で真剣に先生から「地球温暖化」について学んでくるのに、その後何も知らないで夏休みに海外家族旅行したなら
「何だ、大人の言っていることは本当ではないんだ。最もらしいことを言っても努力しなくていいんだ」
と感じることになります。
 25%削減という高い目標なら、特に飛行機利用は一番短時間でCO2が排出される行為ですので、真っ先に手を打つという行動があってもよい気がします。飛行機業界が大変だからできないとなれば、経済最優先の以前の米国と同じスタンスですね。
実は拙者は、何となく温暖化というものに名を借りて、石油枯渇の問題を解決しようということが見えかくれするような気がします。いろいろな企業、政府が何とか日本にエネルギーと稀少金属資源を供給できるように日夜努力していると思います。それには大変感謝したいとおもいます。そして近未来には、持続可能な社会になるように皆が同じ意識で目標にむかい努力することを願います。

超断熱をなぜ今行う(薦める)か?はいつも申し上げているとおり、将来の石油等エネルギー枯渇に対し充分対応できる性能の家を造る事が、長寿命住宅の性能だと考えているからです。


新潟の家 超断熱 Q1 自然素材の「緑の家」 来週見学会


来週、超断熱Q値0.98w/m2Kの構造見学会です。出来上がりを考えるとわくわくしますね。
今回の構造見学会は予約制ですが、あと少し空いてますので是非ご予約をどうぞ。こちらです。
arbre@cocoa.ocn.ne.jp
詳しい内容は左バーの見学会にリンクがあります。

現在は外側全てに構造用合板を貼り付け終わって、高性能サッシをほぼ取り付け終わったところです。

内部はこんな感じです。ほぼ木でだけで囲まれておりますが、最終的には漆喰の壁になります。

現場では床下の感じがわかります。排水熱回収タンクも仮設置され何となく地下室のような雰囲気です。


エコ?エコは数値で表そう! 新潟の家 超断熱Q1

最近とにかく「エコ」って文字が多いですね。一番エネルギーを使いそうな車から食品、洋服までとにかく「エコ」。住宅もエコというPRが多いですね。
そんな「エコ」って何?と最近思います。多分CO2排出の事でしょうが・・・。

通常、CO2排出=エネルギー使用量です。
まず新潟県の住宅で一番エネルギーを消費する行為は、何と言っても暖房です。次に給湯。
仮に家がコンクリートで造られていても、鉄でも、木でも建設自体に掛かるエネルギーは、住んでいて使われるエネルギーと比べ凄く小さいものです。数値で示すと、建設、廃棄、修繕で掛かるエネルギーは13%。住んでいて掛かるエネルギーは87%です。これは30年くらいの周期の家のことですから、長期優良住宅みたいに50年以上を考える場合はもっと比率が下がります。
ですので構造材等使用材料でエコを比較するのは合理的または正確性に欠けます。

となると、やはり住んでいてこの家はどのくらい暖房にエネルギーを使う家なのか?または給湯に使うエネルギーをどのくらい削減しているのかが一番重要です。
暖房に使うエネルギーは、その暖房設備方法より断熱性(日射利用を含めた)で決まります。この事に異論を唱える人はいないでしょう?特に冬に太陽がなかなかでない新潟県は、純粋に断熱性で決まります。その断熱性は数値で必ず表せます。それがQ値といわれるものです。

不思議と「エコ」を前面に出している建設会社ほどそのQ値が出ていません。とーーーっても不思議です。そしもっと不思議なのが、それで納得してしまう建て主さんです。今や住宅の性能はほとんどが数値で表せますし、政府もそのような数値で示す性能評価システムを法律で決めてます。どうして「凄く断熱性がよい」とか「むろん高断熱だよ」というあいまいな言葉で納得するのでしょうか?技術者から見ると不思議です?
Q値を示さないで「エコ住宅」とPRするのは果たして本当にエコなのか疑ってしまいます。せめて断熱性を表すQ値と気密性をあらわす実測C値くらいを載せましょう。それが建て主さんに対するエコ評価の誠意ですね。・・・と思ってます。

あっ・・・それから、薪ストーブがエコかという事も正確ではないですね。木がカーボンニュートラルだからという理由だそうですが・・・。
仮に日本国中が石油や電気暖房器具を全て薪ストーブにしたら20年で国内の木を使い果たします。それだけ日本の家で多くの暖房エネルギーを使ってます。現在使わないで破棄している木を使う事はエコですが、それより暖房が少なくて済む超断熱のほうがエコとして正しいですね。


新潟の家 自然素材の「緑の家」の超断熱 Q=0.98W/m2kの小屋裏と窓

今月末構造見学会を予定している超断熱の緑の家は、小屋裏断熱材が施工をほぼ終わりました。ネオマフォームという最高性能の断熱材が180mm敷きこまれてます。これをグラスウール(セルローズファイバー)で換算すると450mmにもなります。設計者もびっくりです。450mmといったら足のひざ下が全て埋まります。もし輻射熱をもっと遮熱したい場合は、この断熱材の上にアルミホイルのような金属テカリがあるシートを貼れば完璧です。

そんな断熱材が敷きこまれても、小屋裏は美しいままです。整然と並ぶ垂木(屋根を支える細い木)は、23cm間隔と一般の2倍の量で施工されます。これは軒の出といわれる、外壁から突き出た屋根の長さが110cmもあり、これを支えるためですね。神社なども軒の出は大きく、垂木が細かく入っている事を思い出しますよね。この長さで夏の暑い日差しが家内部に進入することを防いでます。超断熱では大切な要素です。

さて今日はいよいよ窓の取り付けが始まります。
一部木製の3層ガラスサッシで、内側からメンテが可能なサッシと、オール樹脂サッシのLOW-Eアルゴンペアガラスのドレーキップ窓(内倒し内開き)、引き違い窓の3種類だけを使ってます。ドレーキップ窓を最初に使ったのは既に20年前。夏の夜、開けてあった窓を閉めるとき、普通の開き戸では、一度網戸を開けてから閉めなければなりませんが、ドレーキップ窓はそのまま閉められます。つまり引き違い窓を閉めるように、網戸に付いた虫が入ってきません。そして家の中から窓周りのメンテができます。デメリットは、内側に開くことでスペースが取られることと、雨上がりに窓を開くと、水が床に落ちる場合があることです。

さて窓の性能が大切な超断熱ですが、エクセルシャノンからエクセルウインドスーパーという製品が販売されております。図は全てエクセルシャノンさんのホームページからです。下の画像は、サーモグラフの画像で、色で温度をあらわしてます。
ガラスは真空ガラスという凄いガラスでガラス面温度が壁並みに近づいています(脅威的です)。しかし枠部分は少し温度が上がったものの、以前依然低いままでその面積も大きいことがわかります。何とか枠の断熱改善ができれば夢の窓Q値0.9以下が実現できそうですね。シャノンさん!がんばって安価で発売してください。


太陽光発電パネルによる売電価格 続報!!

数日前のブログにコメントを頂いて、電気を買い取る東北電力のお客様相談室にうかがいましたら、コメントでご指摘いただいたように48円で契約した方は、10年間48円で買い取るそうです。来年契約した方は多分42円(予想)で、その次の年の方は36円(予想)と徐々に下がるようです。
買い取る東北電力さんは、年度により個々に違う単価で買い取るのですね。
イヤーびっくりです。太陽光をつける予定の方なら今年でしょうか?

コメントを頂いた「通りすがり」様には感謝と当方が返信したコメントに対しお詫び申し上げます。  o(_ _)o


新潟の家 エアコンマニアのエアコンの選び方と実情 2009秋

朝日新聞社のネットに
「エコポイント」対象でもある省エネ型の家庭用エアコンについて、経済産業省が省エネ性能の調査に乗り出す。」
と昨日掲載されました。
http://www.asahi.com/business/update/1019/TKY200910190158.html

簡単には、エコポイントがつく省エネエアコンなのに省エネにならない事例があり、これではエコポイントを付けるの意味がない。とのことです。

過去のブログや拙者が3年前に書いた論文ではエアコンは、取り付けるシェルター性能に見合った機種を設置しないと効率が落ち、COP、APFや部屋の大きさで選定するだけでは必ずしも省エネ効果がよいといえない。」と結論をまとめています。ようやく市場でも問題が提起されたようです。エアコンマニアとしてはうれしい報道です。

そもそもユーザーがエアコンを選ぶときは、まず設置する部屋の大きさを考えますよね。8帖なのか、12帖なのか?それから価格や性能、機能を選ぶとおもいます。このとき最初の選定条件である部屋の大きさ(断熱性能による負荷)が間違っていたら、正しい性能を発揮できませんよね。

この部屋の設定条件は1964年に冷房中心で取り決めからほとんど変わっていないのがそもそも問題です。当時の部屋の設定は南側の部屋の設定で断熱性はほとんどありません。そういう部屋で使ったときのCOPが一番よくなるように調整し販売されてます。しかし最近のマンションや高気密高断熱の一戸建てでは5倍程の断熱気密性能があり、小さな部屋機種でも充分冷えますし、北側向きの部屋でも同様です。

仮にJIS9612に規定された平均的な?部屋条件(暖房)でQ値を算出すると、
2600W/20度/10m2=13W/m2kとなります。
個別暖房ながら現在のⅣ地域次世代基準の5倍近い基準です。

しかしユーザーが購入する量販店で店員にエアコンを聞くと、まず間違いなく設置部屋に応じたエアコンを勧められます。いかに断熱性能がよくても店員さんは、カタログ上の冷房推奨設置面積を薦めます。なぜか?

1.大きい部屋機種ほど販売価格(儲けも)が高いため。

2.小さな機種を薦めて万一冷えなかった(暖まらなかった)場合、責任が販売店に来る。

3.ユーザーの使い方が不明のため安全率を高く見る。

4.冷房時の部屋面積で決めたほうが、クレームにならない

この4つの理由でいかに断熱性能や遮熱性能がよくても推奨機種を薦められます。つまり最近のマンション内にある12帖リビングのエアコンを購入しにいくと、店頭では冷房12帖(暖房16帖迄)のエアコンを勧められ設置することになります。しかし本来は断熱性能がよく、6帖用でも充分なのに12帖用のエアコンですから、12帖用の大きすぎる性能のため、エアコンのインバーター制御範囲を超えてON、OFF運転が始まります。するとエアコンのCOPが急に下がり、本来の省エネにはならない範囲で多く使うことになります。

また、付属機能が多くなりすぎていることも問題です。例えば「再加熱除湿」を使うと大幅にCOPが下がり省エネではなくなります。もともと除湿とは弱冷房のようなものですから、ある程度冷風が出ます。この冷風が気持ちよくないので、メーカーは本来外に排出する熱を再び室内に戻し使います。すると熱交換機の半分が使えなくなるので効率が下がます。もちろん潜熱も熱ですからそれを室内で排出する自体負荷を増やし、省エネルギーとはなりません。再加熱除湿はできるだけ使わないほうが省エネになりますが、カタログには記載されません。
また加湿できるエアコンも同じように本来の性能を削いでます。また加湿も少量で他の方法で加湿したほうが効率は高いと考えられます。

エアコン業界はカタログ推奨の大きさを自ら変えるつもりはなさそうです。というのは、

1.現時点の推奨面積のほうが機器が大きくなり、高く売れる。

2.現時点の推奨面積のほうが冷えにくいというクレームが少ない。

3.効率が下がっても付加価値で差別化をはかり販売アップにつなげたい。

ということです。1.の多く売れるということはメーカー業界にとって重要で、販売点側と利害が一致します。そこで国が実態調査に乗り出したということですね。省エネの補助金という御旗を翳せば、業界も協力しないわけには行きません。

もっとエアコンが進化してどのように使っても高効率を維持できるなら必要ありませんが、エアコンの効率が最大になるように、ひとつひとつ性能の違う家に設置するためには我々建築士がアドバイスしなければならないでしょう。また、エアコンの設置はいまや100%に近いわけですから、建築新築時にその条件で最も効率よく動くエアコンを設置しておけば問題は少なくなるでしょう。
いずれの場合でも、エアコンメーカーはもっとCOPに対する情報(部分負荷率ー外気温)を開示してほしいです。そうすればもっと最適なエアコン設置も可能です。

 有効なアドバイスが受けれない方は、今は写真の東芝PDRの6帖用エアコンがお勧めです。6帖から20帖くらいは問題なく冷える(暖まる)と思いますし、効率が高い範囲が広く、本体に消費電力量を表示して、省エネを可視化させております。またコンパクト(規定寸法)ですので、設置条件が広がります。
新築時はパナソニックのCS-X229A(設置フリー)が最高性能ですので最適ですね。ちょっと掃除音が大きいですけれどまあ許せます。


新潟の家 家をつくるポイント メーカー選びのポイント


上の写真は現在施工中の超断熱の長期優良住宅です。その2階から小屋を見上げて写真を撮ってます。
ご覧とおり、2階の天井上に28mmもある厚さの合板を貼ってます。綺麗ですね。これだけでもデザインになってますが、これは耐震等級3の性能の家を造るために必要なものです(広いプランで)。

さて、実質今年から始まった長期優良住宅は、その対応年数を80年から100年位と考えて施工されています。
ここ15年で家造りは大きくかわりました。15年前、断熱性はあまり重要視されておりませんでした。ですので、そのころに建築された家は、残念ですがほとんど断熱性がきちっとありません。暖房にお金がかかる結露しやすい家です。なぜこのようなもったいない家造りになったのでしょうか?それは当時、建築主さんにとって情報不足が原因だったといえるでしょう。今はネットがあり、ありとあらゆる情報が手に入ります。しかし・・・
 たぶん家を造るにあたって、建て主さんは間違った情報収集される方が多いと思います。普通の建て主さんは「今」の家の情報を大事に集めるでしょう。しかし大事な情報は過去の情報です。
家は他の「物」と違って簡単に取り換えることはできませんし、買い替えることも活発に行われません。多くの人が長い「ローン」を組み、数十年間も新築時のお金を払うことになると思います。つまり建て家は、できるだけ長い間その機能(性能)が社会の流れと同じような価値を見出されなければなりません。例えば今から15年前に断熱性能ない家を造った人は、現在の家の性能と大きく違い劣ってます。問題なのはこの劣った性能を、リフォームで何とかしようとすると、何と1000万以上かかってしまいます。新築時に行っていれば200万アップくらいで済んだのに・・・。
建築士はその高い専門を生かし、せめて15年くらい経っても、15年後の家と遜色が無いような性能の家を提供する誠意が必要ですし、少量の金額で性能アップできるように考えて計画する義務があります。これを考えていないと、10年間無料でアフターしようが10年経って時代にそぐわない家は「造りっぱなし」と変わりありませんね。
資金上やむなく低価格住宅しかできない建て主さんは仕方ないですが、数坪減らせばよい家が手に入る資金のある方にはそう申し上げたいですね(拙宅は資金不足だったのでが、どうしても高気密高断熱で建てたかったので当初は24坪と小さくしました。今は36坪くらいまでなりました。超断熱でも増築は可能です)。せめて12年まえから高気密高断熱住宅を勧めていたメーカーかくらいは調べたほうがよいと思います。誠実な情報を建て主さんに提供しているかどうか・・・。

さて、毎回申し上げておりますが、これから必要な性能は
「超断熱Q=1.0以下」です。
来るべき石油枯渇、取り合い値上がり、でエネルギー価格は倍になるでしょう。その時もお日様さえさせば、暖房など一切いらないそんな性能です。
また
「超高床1.4m」によるメンテナンス性、
「窓の交換」のしやすさ
も予算が取れれば取り入れたい仕様です。

もちろん自然素材のインテリアと高基礎は標準ですね。

オーブルデザインは過去の家のデーターや取り組みを全てHP、ブログ、掲示板上で公開してます。これは建て主さんに対する建築士の「誠意」です。
また、過去にお手伝いさせて頂いた建て主さんへの「責任」でもあります。
どうして他メーカーが同じように公開しないか理解できませんし、建て主さんも「自分の家」だけは違うと思っているのか、過去の家造りのデーターに関心がありませんね。

環境住宅「緑の家」は今見ても全く「誠意」ある12年前の性能。例えば全て高気密高断熱や高基礎によるメンテナンス良好やコンクリート強度など、これら13年前の仕様はすべて今の長期優良住宅の基準を上回っております。全棟、全棟です。どの建て主さんにも正しい情報を発信できたと思います。手前味噌ですがすごいと自負できます。

1998年作成 緑の家の特徴
http://homepage2.nifty.com/arbre_d/midorinoie/midorinoietoha01.html

1999年作成 住宅コラム
http://homepage2.nifty.com/arbre_d/news/b_number/15.html

1999、2002年作成 住宅コラム ある中堅県内メーカーチラシから
http://homepage2.nifty.com/arbre_d/news/b_number/20.html
http://homepage2.nifty.com/arbre_d/news/b_number/53.html

1999年作成 住宅コラム 一年でかわるチラシ
http://homepage2.nifty.com/arbre_d/news/b_number/11.html

2001年作成 住宅コラム ○井ホームへの苦言
http://homepage2.nifty.com/arbre_d/news/b_number/01.html

2001年コラム 住宅コラム チラシについて
http://homepage2.nifty.com/arbre_d/news/b_number/28.html

2000年 住宅コラム 設計工事監理契約
http://homepage2.nifty.com/arbre_d/news/b_number/38.html

2001年 掲示板 基礎高
http://arbre.green.coocan.jp/?m=listtop&p=46


新潟 住まい 自然素材「緑の家」のナチュナルガーデン計画

よく見かけるフェイクストーン(擬似石)ではなく、本物の自然石(ごろ石)を得意とする「緑の家」の外構計画ですが、ようやくナチュナルガーデンの工事が始まりました。
外構や庭は、家の顔ですね。ここがしっかりとしていると不思議とどんな家でもかわいくなります(と思う)。

外構がとれない町中心部の家でも、玄関前に手をかけている花や木々があるだけでその家の住人のやさしさが感じられます。

当事務所が本格的にグランドデザインしたナチュナルガーデンが着々と進んでます。

自然石のラン張りで広場を造ります。石は黒っぽい物を選んでますが、乾いているときはこのようにグレーです。来週から木や周りの水場、水盤工事が始まります。ワクワクです。

最初にこの自然石積みの外構を提案したのは2001年で拙宅のアプローチです。評判がよく既に10棟以上の外構に採用されています。既に10年迎えようとしているが、その表情は益々よい感じです。日の陰ったところは少し緑コケが生え、日の当たるところは、石の間のコンクリートが少しざらつき、ますます周囲の緑と調和します。時々ごろ石が外れたりするけれど、接着はプロでなくても日曜DIYでできるものよいですね。
とにかく素材は本物に限ります。最近は、コンクリートのアプローチ階段が標準ですが、当事務所はこれも本物と思ってます。つまり本物とは表面だけを飾っていない素材で、削れたとき同じ素材が出てくるものと考えてます。これは年月が経てばそれなりの表情を見せてくれます。


新潟の家 長期優良住宅で耐震等級3の家 SSプランが上棟中


出勤途中の風景で火曜日の早朝の朝焼けです。
遠くに靄がかかり幻想的です。この季節になるとよく見られる風景ですね。つい車を止めて撮りたくなりますが、この張詰めた空気までは撮れませんね。

SSプランのK邸の屋根形状は南側に大きい部分があります。この所に太陽光発電約3.6Kw を載せます。

上の写真は小屋裏部分です。床が既にありますね(2階ではありません。小屋裏です)。
この床が28mmの厚さがあり、2階をワンルーム空間にしても、耐震等級3が取れるポイントなのです。今回は32帖ワンルームが可能です。更に写真では床が光っています。この光っているものが、気密シート兼ベーパーバリアです。そしてこの上に約20cmのネオマフォームという建築材料中最高の断熱性を持つ素材を敷き詰めます。
よくベーパーバリアを省略する高気密高断熱施工がありますが、これは地震等があると気密性が大きく落ちることが知られてますが、このようなポリエチレン製の気密シートがあれば、ゆれにずれに追随しやすいので気密性が落ちにくいです。ピシッと綺麗に張られてます。

さて、お待ちかねの背の高い基礎ですね。下の写真はこの基礎の中を撮ったものです。基礎内部の半分は設備室(床下暖房)、残り半分は収納です。
大工さんの角刈りと鉢巻・・・見るからに職人!最高に似合ってます。

四角い穴は「人通口」と呼ばれるメンテナンス時に人が通る穴です。応力のかからない1/4のところにあります。50cm角ありますが、まだこの余裕。たいした基礎です。

床の高さ(中央の木の上が1階床)が土台(コンクリートの上にある木)より高いところにありますね。ここがポイントで土台と筋かいのメンテナンスが容易に可能です。長期優良住宅ではメンテナンスの容易さが重要ですね。


新潟の家 超断熱SSプランの家が上棟 情報収集で価値のある家造りを

皆さんは20年後を考えたことがありますか?

Q値1.9W/m2kの拙宅は築19年目に入りましたが、当時は高気密高断熱住宅なんてマニアックな会社しかお勧めしてません。
無論大手メーカーなど高気密高断熱ではありませんでした。しかし拙者はそのころから10年以内(2000年頃)までにはきっと、新築住宅はほとんどが次世代基準の断熱であろうと予想してました。20年経って高気密高断熱でない家は、今どのように暮らしているのでしょう。

数年遅れて12年後(2002年)、ほぼ注文住宅の大半が次世代断熱基準(←気持ちとしては高気密高断熱とはいえない低い性能・・・)になりました。
ほぼ予想は当たりました。予想を当てるのは実は簡単です。正しい情報を集め分析し、用意周到にシミュレーションを行えばほとんど予想がつきます(汗)。
ハイブリッド車(プリウス)の爆発的ヒットも予想通りです。水素などの燃料電池車はその技術的ハードルから眉唾物と考えてました。

さて、今後20年後社会はどう変わっているでしょうか?
きっと間違いないのは、エネルギー価格の高騰でしょう。不安をあおるつもりはありません。ただ、エネルギー自給率がたった4%と先進国で韓国と共に最下位である日本は、来るべき原油取り合いのころには、やはり原油価格は今の2倍で買うことになります。つまり、電気にしても灯油にしても価格が現在の2倍を覚悟する必要があります。もしかしたら10年後に早まるかもしれません。

20年後は昔と違い所得が今の2倍になることは考えられませんし、エネルギー問題が一気に解決するような新エネルギーは今のところありません。従って今できることは、エネルギーを使わなくても良い生活に準備を進めることです(せめてエネルギー需給率50%に)。これが解決しなければ工場の海外移転も少子化もやむ得ないでしょう。

準備のひとつが太陽光発電だったり、電気自動車や、ハイブリッド自動車、小水力だったりしてます。これらも急には増やせませんから、政府は理由はCO2削減というお題目で今から準備し始めていると思ってます。

さて一番高価な買い物である住宅ですが、
今後の推進として高断熱住宅がどのCO2対策にも提案されてますが、この位の断熱(次世代基準)では、CO2は減るどころかかえって増えます

新潟県を含む寒い地域での断熱として超断熱くらいで無いと、将来のエネルギー高騰を考えるととても性能不足です。
Sプランの床面積を3坪減らして減額してでも超断熱SSプランをお勧めすることになります

そのSSプランの家が上棟しました。

この段階で既に綺麗な構造です。構造が綺麗なことは、構造に無理がないばかりか、仕上がった時のプロポーションも美しくなります。上下の柱ができる限りそろい、横の木(梁)も大きく統一されてます。基礎は高く頑丈です。まだ写真ではわかりませんが、これから外壁厚30cmに向けて施工が始まります。


修正!!新潟で太陽光発電の売電買い取り価格48円をいかす方法。

2009.10.13 内容修正 仮定で勘違い部分ありました。申し訳ありません

太陽光発電にご興味のある方はまずはこのホームページをご覧ください。↓
http://ecolifejp.fc2web.com/reform/hukyu_seisaku.html

なかなかはっきりとした公平で主張あるホームページです。
某大手ハウスメーカーのHPでは、やたら難しく解説して太陽光発電パネルで元が取れるかなどという解説では、オール電化やエコキュートと組み合わせるとういう荒業(私はこれは詐欺に近いと思います)で算出してます。これでは太陽光パネルの恩恵ではなく、オール電化の恩恵です。太陽光パネル設置の元を取る計算は単純で、
設置価格+メンテナンス費用=発電した電力の価格
しかありえませんね。
EX.太陽光パネル設置費が200万でメンテナンスが年平均1万かかり、仮に発電した電力を全部電力さんから買うと8万かかる場合、200万/(8-1)=29年ですね。単純です。この発電した電力の単価が上がれば、29年が20年になったり、10年になったりします。

そこで電力の価格(売電)が今年の春に「太陽光発電の売電買い取り価格が倍の48円になる」との報道に驚き喜びました。が、・・・
上のHPでの解説をよむと、何となくちょっと萎みます。その理由は大きく2つ。

1.買取価格は年々下がり5年後には24円と今の買取価格と同じ水準に下がる。

2.電力会社が買い取る電気は、使用した電気と発電した電気の差額分のみ。

と言うことです。
1.の買取価格は年々下がりまずは今年は48円/Kwhですが、来年は42円、そして年々下がり5年後には25円そして11年目には13円(RSP法では11円/kWhに設定)となるシナリオもありえるとしています。13円/Kwhといえば今の電気代が24円/kwhなので半分。これでは元は到底取れません。是非政権のCO2 削減政策が推し進められるようにと思います。

2.の買い取る電気はほとんど以前と変わりないのでしょうが、使用した電気と発電した電気の差額のみという事は、仮に発電した電気量が年間3000Kwhとしても3000*48=144000ではありません。この仮定で昼間に1000Kwhを使ったとすると(3000-1000)*48=96000となります。
つまり太陽光が発電する昼間に電気を全く使わないようにすれば、どんどん売電されますが、発電と消費が同じぐらいになる冬季や真夏では、買取価格が上昇しても関係ないということになります。
そこで注目したいのが「冬季」です。図のとおり、家の断熱気密を「超断熱SSプラン」までに引き上げれば、冬季であろうとお日様があれば暖房が必要なく、太陽光パネルで発電された電力は、ほとんが余剰となって売電されます。超断熱を先に考えなければいけないところはここにも理由があります。もしこれが長期優良住宅程度の次世代断熱基準であると、その温度上昇は8度ですのでもう7度は暖めないといけません。その電力が必要なのでせっかく高く買い取ってくれるはずの電気を消費してしまいます。もったいない、自分で使えば27円(やりくり8)ですが、余剰として売れば48円です。その差21円/kwhです。

図は月平均1万程度の電気料金を支払う住宅で太陽光パネル4.16KWを設置した場合のシミュレーションです。シャープのHPでの入力で設置場所は金沢(なぜか新潟がない)場合です。
すると48円の高い値段で買い取って頂ける部分は、最低で見ると赤丸のところだけです。全発電量の8%(342Kwh=16416円)で従来の単価買取より年間8200円お得になります。倍に買取金額が設定されてもたった年間8200円だけです。これではいくら売電価格が高くなってもペイできる期間に影響は少ないですね。ここで最低とは、夜間まったく電気を使わない時の仮定ですので、夜間の使用量が多い家は48円の部分が増えます。逆に最高で考えれば、昼間まったく使わないと仮定し、
4019*48=192912円
この状況であればペイするのは早いです(ありえないないですが)。

上の比較はまったく現実的ではないので少し現実的に考えます。
但し太陽光発電の買取金額は48円/kwh固定で仮定します。

太陽光発電を考える多くのお宅が深夜電気を使うはずなので例えば
やりくりナイト8で夜使う電気量を昼間の1/2としてと仮定します。
細かい点は丸めて考えます。
(売電はその瞬間の発電量と使用量の差額集計ですね)

A 4481/2=2240・・・2240*8円=17920円/年支払い 深夜の分
B 4481/2=2240・・・2240*27円=60480円/年支払い 昼間の部
C 4019-(4481/2)=1779・・・17799*48円=85392円/年 受け取り

D 4019-(4481/2)=1779・・・17799*27円=48033円/年支払 昼間

太陽光発電を導入した場合に支払う金額
A+B-C=-6992円・・・ほぼ電気代ゼロになります。

太陽光発電を導入しない場合に支払う金額
A+B+CD=126413円・・・月当たり1万ですね。

差額は126413-(-6992)=133,405円/年となります。
年間メンテナンス費用を月平均1万とすると123,425円の利益
60万*4=240万(実質の設置費)とし、
2,400,000/123,405=19.4年・・・約20年でペイできます。

次に昼にまったく使わない状況で利益を考えます。
E 4481*8=35848円・・・深夜電力だけの請求
F 4019*48=192912円・・・発電売り電力金額
E-F=-157,064円 (約16万受け取り)
2,400,000/157,064=15.2年・・・約15年でペイできます。
   何度も申し上げますが48円/kwh固定の場合です。

そこでオーブルからの提案は、売電価格が買電価格より大幅に高い4年間は、太陽光発電中(昼間)はなるべく電気を使わないほうが設備費を早くペイできます。ですので、新潟県で長期優良住宅基準程度の低い断熱性能である次世代断熱基準の家の冬季における昼の暖房は、灯油のFFストーブを使用して(灯油単価80円以下)電気(エアコン)を極力使わず、深夜の23時から7時まではエアコン暖房でという方法この4年間は良い。ということになります。
超断熱(SSプラン)住宅ではそんな難しいことをしなくても、昼間の暖房費が少ないので大丈夫です。早くペイ可能です(それは当たり前か?)。


新潟の家 自然素材とエコ、そして超断熱の長期優良住宅の見学会

10月31日(土)と11月1日(日)の二日間「緑の家」SSプランの構造見学会を行います。詳しくは左のリンクバー「見学会」をクリックください。

この構造見学会は、国の長期優良住宅普及促進事業で定められた現場施工途中見学会です。簡単に申し上げると、「100万の補助金を出す代わりに、他の皆さんに長期優良住宅の良さを広めてください」ということで、途中見学会を行いなさいと聞いてます。

長期優良住宅の現場見学会は、先日ご案内した建設会社約30社(57会場)もありますからわざわざ長期優良住宅の家のためだけにお越し頂いても何も感動はないでしょう。しかしこの見学会は違います。なんと壁厚が30cmにもなる超断熱材や、1階の床高さが地面から1.5Mもあり、その下半分が設備メンテ空間、半分が収納室、将来窓だけを取り外しできる構造と今まで見たこともない高性能な家が見れます。内部は全て自然素材ですが、これは完成にならないと無理なので今回は構造だけをごらん頂ければこの家のすごさがわかり、近未来の家が見えてくるでしょう。
駐車事情によりご予約となりますが、その予約範囲3時間内ならいつでも結構です。
スタッフ一同お待ちしております。


新潟の家 水の節水 節水機器の取り付けでどう変わる?

緑字2009.10.13加筆

外構としてナチュナルなガーデンを提案中のK邸の工事がようやく始まりました。庭で使う石を何個もサンプルを取り吟味される建て主さん。いつも庭と家は一体ですと申し上げております。ナチュナルガーデンと一体になる家を想像するとワクワクします。

さて、
よくご紹介している「黄色表紙の査定された建築学会の論文集」は、信憑性や公平性が高い論文集です。建築学会の学術講演で発表される論文は年1万を超えております。その中で、査読と呼ばれ精査された論文だけが載ることのできるものが写真のような黄色表紙の論文です。
論文を学術講演で発表するなら誰でも申し込めばできますが、この文集に載って初めて論文としてのお墨付きが与えられる(年間500論文・5%くらいでしょうか?)といっても良いでしょう。

さて、今日の話題は「水の節水 節水機器の取り付けでどう変わる?」です
昔は「空気と水はタダ」といわれるくらい水は日本では豊富な資源でした。特に田舎では家の横を流れる小川で洗濯、野菜洗いをしていましたし、トイレはぼっとんトイレがほとんどだったので、飲料水のみ上水を使っていたため(風呂?)そのようなことになったのかもしれません。が、高度成長期以降首都圏の水不足から節水が始まり、最近では環境問題の旗手として取り上げられることもある水は、誰もが限りある資源と感じるようになってます。空気の浪費は今でも勿体無いといはいわれてませんが、水の浪費はほとんどの人が勿体無いと感じるはずです。

今話題?の独立行政法人の中で昔からある有名な建築系法人である建築研究所の発表した論文に「戸建住宅における節水機器の使用効果に関する研究」があります。
この研究では標準的な住宅において、節水機器を取り付け前後にどのくらい使用水量がかわるかという調査を2006年から10ヶ月間行っております。

その結果は・・・
劇的に水量が減る機器と、あまり変わりない機器の2つに分かれました。その結果が表8です。まず設置した機器ですが

台所・・・食洗機(標準使用水量10Lの卓上型)

洗面・・・特に設置機器なし

トイレ・・・節水型トイレ(従来約10Lに対し節水型6L)但し設置件数50%

洗濯機・・・斜めドラム型洗濯機(従来約110L以上に対し斜めドラム型は69L)

浴室・・・節水型シャワー(メーカー試算で従来品に対し15%の節水)

です。

大きく節水が達成されたのは洗濯機です。その効果は従来の39%(6割削減)までに下がりました。これ以外の機器ではさほど大きな効果はありません。特に期待した節水型トイレでは96%しかなりませんでした。但しトイレは半数しか節水型に変えてません。よって加重平均らしいですので92%とはいえませんがそう多く違わないでしょう(但し用途別詳細な解析ですと78%となり、節水効果は確認できる)。また食洗機の効果も思ったほどではありませんでした。この筆者考察では、もともと節水意識は皆さん高いので、普段から気をつけており、くわえて食洗機を使っても汚れた食器を入れる際に予備洗浄を蛇口で行ってしまう傾向があるので・・・としています。洗濯機器以外小さな節水でですが、小さな節水を足すことで大きな節水につながるので、やはり効果はあります。この論文から
もし節水を・・・とお考えの方で洗濯機器もそろそろ20年だから・・・というご家庭では「ドラム式洗濯機」をお勧めします。また、洗濯機の変え買え予定が無い方は、風呂の回数を減らしシャワーにするのが効果的です(汗)。これはグラフを見ると浴室で使う水量が4割も占めており、その大きな要因が浴槽へのお湯はりです。


新潟県での長期優良住宅普及促進事業100万円の補助金の申し込み数

全国の長期優良住宅普及促進事業(100万円がもらえる)の申し込み数は9月30日現在で1327戸となっています。長期優良住宅を造るだけで何もしなくても100万もらえるこの制度。エコカーの最大補助金35万?の補助金の3倍にあたるこの制度に、一時は申し込みが殺到すると思われましたが、9月現在で1327戸ととても少ないですね。多分2月6日まで完成が条件ですから、今月で実質申し込み終了となります。そうなると国は50億円、5000戸の予算を組んでいるのに多分半分以下の約2000戸位ですね。これはとても深刻な話です。というのは・・・
長期優良住宅は、補助金だけではなく、税制上の恩恵も置けられ、直接の補助金100万+80万位の優遇で約200万近く建て主さんに費用面で恩恵がある制度です。また、その構造が公によって優れているとお墨付きももらえ安心、快適な家です。この長期優良住宅にかかる費用は普通に地震に強い家と高気密高断熱の家をいつも作っている仕様の家であれば、書類費用35万+アルファーです。この費用を差し引いても150万以上のお得感がある家で、申し込まない理由がありません。
申し込みが少ない理由に、「長期優良住宅が技術的に面倒。だから積極的に薦めない。」という業界内の話をあちらこちらで聞きます。この間のセミナーでもそんな会話が飛び交ってました。でも技術的にはたかが性能評価の耐震等級2以上で省エネルギー等級4(次世代断熱基準)です。この性能はいまや大手で当たり前の基準です。そうそう大手で建築する場合はこの補助金は受けれません。この補助金の実質の目的が「小、零細建設会社」の支援による経済効果の後押しだからです。だから県単位で年間50戸以上供給する「中建設会社、ハウスメーカー」は枠外となります。

申し込みが少ない理由に景気が悪く市場が冷えている事もありますが、やはりそれよりもこの耐震等級2以上で省エネルギー等級4(次世代断熱基準)の技術ハードルが高いのでしょう?でも耐震等級2以上でないと実質「地震に強い家」と広告できません。この耐震等級2の下の等級1は地震で倒れない最低基準の家ですから、地震に強いと言ったら間違いなく「誇大広告」です。
何とか耐震等級2を取れるようになって頂きたい、そんな家を建て主さんに提供してほしいと、同じ建築士、設計者として応援します。

上は新潟県の長期優良住宅普及促進事業(100万の補助金)に申請した事業者名です(9月30日まで)。11月までで全58件。さすがに新潟県はまじめな建設会社が多いです。
こちらに載っていない会社さんは、補助金の要らない方か、耐震性が低い、又は高気密高断熱に興味ない方かな ??
オーブルデザインではこの募集期間に該当する家が1件しかなかったのですが、多棟あるのに申し込みは1件と言う会社さんも不思議です。


新潟の家 超断熱Q1住宅(同等以上)が必要な理由

2009年10月6日グラフ追加、2010年3月20日緑字加筆

9年ほど前に改正された断熱基準である「次世代断熱基準」。これが現在の大手ハウスメーカーの断熱基準となっています。ところがこの基準であると、家の暖房費は以前のお住まいより費用が嵩むことが調査で確認されています。
その理由は、次世代基準の断熱性能で家中暖房を行った場合、性能が低すぎて(次世代断熱でも低すぎる)エネルギー消費が大きくなるためです。今までお住まいの家はほとんど断熱性が考えられていないため、それが逆に暖房費を少なくしていました。つまり限られた部屋の暖房と、間欠暖房と少しの我慢で暖房費が少なかったのです。ところが次世代断熱基準の家でこのような暖房を行うと、結露の発生が避けられません。家中暖房が前提の次世代断熱基準で間欠部分暖房では、結露して欠陥住宅になってしまうからです。
そこで家中暖房となりますが、当事務所の「緑の家」の断熱基準(次世代基準より1.4倍くらい高い性能)をもってしても暖房費がある程度かかります。30坪くらいの家で23度暖房を家中に24時間して年8~9万くらいの暖房費です。

下にQ1住宅で使うQPeXという簡易熱計算ソフトで色々な断熱の家のシュミレーションをしてみました。まずは緑の家のSSプラン超断熱の家です。さて、シュミレーションで大事な事は設定条件です。少しでも条件を変えると結果に相当影響の及ぼすものもあります。今回は窓からの日射は全て有効で考えます。実際は、カーテンや、他の建物があるので、これより暖房費が掛かります。
超断熱SSプランではその断熱性能高さと床下暖房の効果で設定温度は20度(昼)、18度(夜間)で充分快適。すると暖房費が年間約1万円←ほとんど暖房費用が要りません!!

Sプランは設定温度22度(昼)、20度(夜間)。すると暖房費が年間約7万円←暖房費用が月平均に1万程度です!!先ほどの経験値より1万くらい多めです。


次世代断熱基準の家は断熱性能が悪いので設定温度24度(昼)、22度(夜)。すると暖房費が年間約10万円です!!

設定温度がそれぞれ変わるのは、断熱性能や暖房方法の違いにより快適感が違うためです。次世代基準の断熱性能でも夜間22度は、少し設定が現実的ではないですが、このソフトではこれしか設定できませんので御容赦ください。

いずれにしても、次世代断熱基準に比べ断熱性能が3倍だから暖房費が1/3になるのではなく、もっと少ない1/7になる感覚です。このグラフで見てもわかりますが、2次曲線ですね。これに温度ムラ、体感も加わります。また表より、新潟県の冬ではQ値が0.3以下で無いと無断房住宅にはならないとわかりますから、「無断房住宅」というPRでは「誇大表示」ですね。

その暖房費の差額はSSプランとSプランで6万/年となり、25年でペイすることになります。しかし電気料金1Kwh=25円としましたが、来るべき石油枯渇危機となるときに、果たして25円/Kwhでないでしょう。少なくとも1.5倍程度に高騰するはずです。すると15年でペイする可能性がありあます。
如何ですか?超断熱。間違いなく今、お勧めです。

PS
図中、自然温度差がSSプランで約8.5度とあります。これは暖房をまったくしない時に外部との温度差のことで、あくまでも平均ですから目安です。真冬でも日が窓から入れば25度くらいの自然温度差は簡単につきます。たった1.5kwの熱量があれば20度温度差がつく家です。


新潟の家 国体と海上自衛隊の船


海上自衛隊の多用途支援艦「ひうち」です。
先週から近所の寺泊港に停船しており昨日は内部も一般公開しており、自転車で見に行って来ました。その独特のグレー色の船体は迫力があります。

そして機能的がそのままデザインされている船は力強い美しさがあります。これは家にも言える事で、有名な建築家コルビジェの「デザインは機能に従う」という言葉通りです。船体を囲う普通の船より厚い鉄板の継ぎ目は、溶接ががっちりされている事が遠目にもわかります。

何から何までグレー色。唯一大切なバルブと消火栓だったでしょうか?色があったのは・・・。

見覚えのある照明器具です(ある家でつかいましたね)が、やはり細部が全くちがい無骨頑丈。・・・別物でした。

昨年同じ舞鶴地方隊在籍の自衛隊船「あたご」がおこした事故がありましたが、それはとても残念な事ですが、このように自衛隊の方と直接触れる機会があると、日本の国を命をかけて守るという使命を持った自衛隊には、とても感謝です。

 

寺泊では国体のカヌー競技をしてますので、その一環で自衛隊船の公開となったのでしょうか?

 

 

 


新潟の家 CO2を25%削減に対し設計者でできること!!② コンパクトな家

CO2を25%削減に対し設計者でできること!! 断熱区画に続いて第2は「コンパクト」な家です。

これからの家は50年以上の寿命をが当たり前に考えなければなりません。そのような長期を考える場合は、住み替えや世代交代した時になっても「価値のある家」となっていなければなりません。
先日の南雄三さんのお話の中にありましたが、「建てて流通にのりにくい家の構造として「二世帯住宅」がある。」ということでした。確かに2世帯住宅は、部屋数が多く特殊な形態であることはまちがいないですね。家業が農家のように、その土地にいなければならない特殊な事情のある方は、逆に2世帯住宅のような大きさの家が良いです。しかし農家以外の家族にはやはり特殊な大きさの家となります。特殊な家は価値が少なく、壊されやすい傾向があり流通にのりにくくなります。
では価値のある家はどのような家にすればよいのでしょうか?いろいろなケースがあり一概に「これ」と言えませんが、オーブルデザインではその中でもコンパクトな家が価値が今後長続きすると考えてます。
コンパクトと言っても建物の居室部分がコンパクトなだけであり、敷地や居室以外は広いほうが良いですね。目安は敷地できれば100坪(妥協しても75坪)以上、居室以外の納屋兼車庫が9坪以上(どんなにつ少なくても6坪)はほしいです。居室部分つまり家は4人家族くらいなら30坪以下で充分です(大きくても38坪)。もちろん住居部分以外に床下収納のような大きな物置は必要です。

なぜ30坪以下がお勧めなのか?無論長い人生スパンを考えた場合、家が大きいとそれだけメンテナンスや維持にに大きな費用がかかります。このメンテナンス、維持の中には、毎日行うお掃除も含まれます。お掃除ひとつとっても居住が小さいほうが楽ですよね。
さて、敷地100坪の大きさは市街地(特に新潟市)ではまず無理という価格になると思います。だから価格の安い郊外を選ぶことになります。子供の学区で多少問題のある時期もありますが、郊外の広い敷地の家はそれを考えなければとても贅沢な環境を得ることが可能です。そして高齢時に都市部に引っ越すことになりますが、この時郊外の家を手放すこともあるでしょう。この時には敷地が大きい分売れる可能性が飛躍的に高まります。
なぜ高齢になったとき都市部へ引っ越すのか?それは高齢時には車などの手段は使えませんし、各支援を受けやすいところである市街地こそがふさわしいのではないかと考えます。歩いていけるところに全て揃っている市街地は、高齢者こそふさわしい環境です。そのときは大きな敷地では負担も大きいですよね。豊かな共同庭があるテラスハウス(個別庭付き低層共同住宅)などが良いのではないかと思います。

話が飛躍しましたが、一戸建てを作るならコンパクトな家はお勧めです。何しろ暖房費をはじめとする光熱費が少なくなることは間違いありません。つまり住むだけでCO2削減に貢献できます。また、敷地にたくさんの緑でもあればその効果はより高くなります。
図は実際のプランです。敷地がこのくらいあれば理想的です。居住部分は30坪、車庫11坪。1階は一部屋で2階は2部屋(仕切りで3部屋可)とシンプルです。但し床下に収納、2階に納戸があり確実にしまえる空間を備えます。家の3倍以上もある庭や菜園、素晴らしい環境ですね。小さい部屋がたくさんあるより一軒丸ごとで考える空間のほうがいいですね。そのために断熱性能は非常に高く無ければ意味がありません。これは昨日お話しましたように、大手ハウスメーカーの基準である次世代断熱基準程度では、かえって暖房費が嵩み(CO2発生が増える)ます。家の広さより家の性能アップ、そして郊外の安い単価の広い敷地確保という選択肢もありますね。。
先日「トトロの家」のモデルとなった家(東京杉並区1929年築)が残念ながら消失しました。この家は床面積が21坪しかないのにここまで80年以上実存できたのはその建物に敷地との調和があったのではないか(愛される家には広い庭がある)と想像します。つまり価値がある家(敷地と家の一体化)ということです。ちなみに敷地は260坪ですからここまで大きくとはいきませんが・・・。あっ・・・無論家の素材は本物の無垢材ですね。


新潟の家 CO2を25%削減に対し設計者でできること!!① 断熱区画

「2020年までに1990年から見てCO2の25%削減しよう」という目標を日本が国連で表明しました。これは現在のCO2を25%削減するのではなく、大体現時点から約40%の削減であるといわれてます。だからすごい反響があるのですね。
いろいろなご意見がありますが、CO2削減は子供たちもためにも重要なことです。できるだけ応援、協力を行っていきたいと思います。
さて、家の設計者ができることは・・・。限られてますね。しかし何か行動します。

新潟の家で一番エネルギー消費(=CO2排出寄与率)が多いものは、暖房と給湯で、それぞれ1/3づつを占め2つで2/3にもなります。節水や節電より暖房と給湯の対処にウエイトを置かなければいけません。
残りの1/3は照明、調理、通信、娯楽です。これは建築屋さんの分野ではないので他の技術者にがんばってもらいましょう。
暖房エネルギーが1/3あると認識すると、高気密高断熱技術は家の熱を逃がさない技術としてCO2削減の良い手法と考えられそうですが、実は誤解があります。
一番取り組みやすい暖房エネルギーを削減するのは、「寒さを我慢する」事です(汗)’’。
19年前に建てた拙邸(高気密高断熱Q値1.9w程度)でもわかりますが、高気密高断熱の家は、既存家一軒あたりの平均暖房エネルギーより多くかかる傾向があります。 えっっ・・・と思われるかたも多いと思いますが事実ですね。いろいろな論文もありますので探して見てください。建築学会では知られた話です。
なぜ多くなるか?
それは、家の各部から逃げるエネルギーは、断熱の悪い家より格段に少ないのですが、家全体を暖めるシステムのため逆に増えるのです。断熱の悪い家は、寒さをがまんして居間とか台所しか暖房しません。寝る前に個室を少し暖房しますが、夜は暖房しません。少しの暖房空間で我慢します。でも高気密高断熱住宅は、24時間暖房が前提ですので、多くの家で家中24時間暖房します。そして24時間家中暖房しても、以前の家より少しだけ多く電気代がかかる程度なので快適さを優先して暖房します。だから暖房エネルギーが増える傾向があります。一度24時間家中暖房の快適を知ってしまいますとなかなか寒さ我慢生活に戻れません。

何か手を打たなければ40%削減は、快適さを犠牲にして「寒さを我慢する」という戦前の暮らししかありません。これは望みませんし、これでは設計者として失格です。そこでご提案しているのが、超暖房のSSプランと「断熱区画のある家」そして「コンパクトな家」です。

今日は「断熱区画のある家」をご紹介します。日本の断熱に関する法律、性能や施工方法は上の写真の「住宅の省エネルギー基準の解説」という本に書かれてます。その中で下の図は、「断熱構造とする部分」として紹介されている図です。これを見ると通常、外気と直接接する壁や天井、床を断熱することになってます。ここがエネルギー浪費のポイントとなります。

家を建てるとき、ほとんどの人は家族が全員いる事?が前提でプランします。つまり子供やご高齢者の部屋も必要として考えることが普通です。しかし、最近のご夫婦の一生を考えると子供と同居していたり、高齢者と同居している期間は、全体の半分にもならない事がよくあります。55才を過ぎた頃には50坪以上の家にご夫婦だけという家も多いのではないでしょうか?そうなると家では普段使わない部屋が半分くらいできることになります。使わない部屋も24時間暖めないと、結露やカビなどの被害が発生するために、人がいなくても暖めることになります。それが大きなエネルギー消費増を招きます。
一方断熱区画は「LDKと寝室と風呂、トイレ」と「子供室、客室、予備室」と断熱的に分ける家です。ひとつの断熱区画は最大30坪(100m2)以内として計画します。もし「LDKと寝室と風呂、トイレ」で30坪を超えるなら、「LDK」と「その他の部屋」に更に分けても良いでしょう。こうすることで、仮にSプランの家を作っても以前より暖房費が上がる事はなくなります。
次次世代断熱基準を作るときには、この断熱区画の計画を盛り込んでほしいと思います。どうでしょうか?東大の坂本雄三先生(次世代基準を取りまとめた先生)・・・。

あっ、、、肝心のCO2の40%削減には、SSプランの断熱性能がまず必要です。残念ながらSプランをもってしても「我慢」しないと40%削減は不可能です。SSプランの家なら暖房用エネルギーは1/4(Qpex試算)です済みますし、この性能であれば、給湯エネルギーを増大させる浴槽のお湯はり入浴が少なくなるでしょう。高性能家では夏と同じようにシャワーだけで冬でも全く問題なく利用できます。つまり浴室も暖かいので、わざわざ浴槽であったまるという行為が減ると思います。

太陽光発電パネルが良いのでは?というご意見があると思いますが、CO2排出=エネルギー消費ですから、まずはエネルギー消費を少なくする事(超省エネ住宅)が王道です。効率よくエネルギーを造ること(太陽光発電パネル)が最初の対策ではありませんよね。


新潟の家 200万の補助金。そしてSSプランの基礎工事

今年は補正予算等、景気対策のため住宅関係の補助金がいろいろとあります。ほとんどが建て主さんへの家の直接資金となる補助金です。ありがたいことですね。
さてこの補助金のなかで最大規模の200万円が補助される「長期優良住宅先導的モデル事業」です。当事務所では無謀にも大手建設会社や団体が受ける「長期優良住宅先導的モデル事業」の第1回(不採択)と第2回目(申請中)を申請しました。
1回目の不採択のために、残念ながらこの補助金が受けられないことで、ご迷惑をおかけした設計もありましたので、今回は「新住協」のQ1住宅による申請でも受けれるように準備をしております。当事務所のSSプラン(普及版でも)では、そのままでほぼQ1申請用に合致します。当事務所のオリジナル申請で第2回目も受からなかった時に、この新住協のQ1タイプで補助金を受けれるダブル方式でご提案します。
是非ご検討頂ければとおもいます。
普及版SSプランは、Sプランの断熱と気密性能のみSSプランにしたものです。よって基礎は布基礎又はシングルべた基礎のシングル配筋で、基礎高は1mのタイプです。

Sプラン→普及版SSプラン Sプランの約3~4万/坪アップです。勿論コストが許せば標準SSプランが超お勧めです。

さて話はかわりSSプランの現場では・・・

耐震等級3のダブル配筋のべた基礎の鉄筋工事がほぼおわり、配筋検査を行ってきました。人の背の高さと比べてください。高い基礎ですね。

SSプランの鉄筋にはフックがあります(上下のわっか)。これはせん断力を高めるための計画で、ビル等は全てこのような計画です。普通の住宅の現場ではこのわっかまで手の込んだ施工はしません。でも建築学会の勧める基礎は、このようにフック(わっか)付です。

スラブの下の鉄筋のかぶり寸法も70mm。この部分が如何に平らでダレがないかを下の写真で確認ください。下の隙間を撮影したものです。あっ・・・少量の錆はコンクリートを入れると元に錆が還元されますから全く問題ありません。


奥の奥の向こう側まで平らですね。すばらしい施工です。
長期優良住宅はまず基礎からです。SSプランの基礎は100年間ノーメンテナンスで考えるようなそんな基礎ですね。
専門家が自宅をつくときは、設備類が豪華より、基礎にコストをかける方がほとんどです。でも人に勧める時にはそうはなりません。これは素人に基礎の良い悪いを説明するのが大変だからではないでしょうか?設備や外壁なら説明が簡単です。
万事何事にも基礎が重要です。


東芝の住宅用換気扇とその応対 

今の住宅では法律で定められた24時間換気扇が設置されています。だから換気扇が止まると結露、シックハウス等いろいろな不具合がおきる事が想像されます。行政指導では24時間換気扇のスイッチは容易に切れないようにすることが推奨されており、もし手元にスイッチがある場合は、常時ONの注意表示をします。

その換気扇が最近いろいろ問題が出始めてきました。写真は最近あるお宅のトイレで使用されている換気扇を掃除したところ、蓋が閉じないことがわかり建て主さんが調べたところ、故障部分と思われるところの樹脂が茶色くなっていました。どうも油ではなく熱による変色のようです。この換気扇はお住まいになってから一度も止めたことがない24時間換気扇で、いつからこのような状態であったかは推測はできません。またこの換気扇は東芝VFP-8XS2という当事務所でずっと使い続けている定番中の定番です。延べ50台以上は設置されていると思いますので、心配になりメーカー相談窓口に連絡しました。最初はカタログにあった電話番号へ、次にそこから紹介された番号かけました。いずれのところでも全く同じ説明をしました。
私としては、この茶色変色は設計の想定内か?他に使っている換気扇は大丈夫か?がわかれば問題なかったのですが、メーカーさんは、「直接見ないとわからない」との事だったので、この写真は送れず、建て主さんに直接連絡してもらいました。
すると、建て主さんから電話があり、「東芝さんが「出張料5000円」がかかるといわれた。有料修理のつもりはないので、「考えます」といって電話を切った」、そして私のところにその話を頂きました。
私が東芝さんと電話でお話したことと違うので、再び東芝ライテックさんの担当者さんにかけると「昨日の担当者とはおつなぎできない。再び経緯を話してください。」との事で3度目の説明┐( ̄ヘ ̄)┌ もちろん最初から。最後に
「修理依頼ではない。変色を見なくても大丈夫というならそれでこの件はおしまいにします」と私。
「お答えできないので少々お待ちを」で電話が切れ
また違う担当者から
「ではやはり見に行きます」
「ではお願いします」・・・と私。

少し残念ですね。技術者にこの写真を見せれば、茶色く変色した想定内かどうかなんて直ぐわかると思うのですが。想定内ならまったく問題ないで簡単に話は終わります。単なる寿命です。
最近は簡単に精密な写真をやり取りできたりするので、いらぬ出張経費を使わなくても良いことが推奨されており、無駄なエネルギーを省く世の中の流れだと思いますが、どうしてなかなかそうならないかな~。

この換気扇に対する思いは、この春施行された、「長期使用製品安全表示制度」のため、
「設計上の使用期間13年。これを超えて使用されると発火、怪我などの事故に至る恐れがあります。」
と今のこの換気扇には表示されています。が、まだ3年でこの変色だから心配でメーカーに伺ったのに・・・。

  そこで決心しました。このメーカーの換気扇は今後使いません。先日検討していたパナに決定します。
あー決心がついてよかった。東芝さんに感謝!!


新潟の家 べた基礎の設計 配筋 構造計算

2010.01.03に頂いたコメントにより青字加筆修正

今日は少々専門的な事なので興味のない方は読み飛ばしてください。
今年のこのブログへの検索ワードで「べた基礎、配筋」というものが多くなってます。これは所謂、瑕疵担保保険がスタートし、原則全ての住宅がこの保険に入る必要があり、そのときの条件においてべた基礎の場合「構造計算」または「標準配筋表」または「設計者の工学的判断」のいづれかでなければいけないからですね。
新潟県は全域で多雪区域にはいるので、短辺3m以上あるスパン基礎区画はダブル配筋という配筋になります。このコスト増になるダブル配筋を嫌って「構造計算」をして少しでも安価に安全性を確保しようとして設計者が検索しているのではないかと想像できます。

さて木造住宅における構造計算書のバイブル本(建築主事が必ず了解する本)として上写真の「許容応力度設計」があります。当方もこの本に添って構造計算します。最近この本の最新版がありまだ入手してませんが、ほぼ同じ内容なので機会があれば入手する予定です。

さて、本題はここから。
あるウェブサイトを見ていたら、「木造2階建て、ロフトあり、重い屋根、積雪1mそして短辺4m区画のべた基礎」でシングル配筋D13@200 厚150で通常問題ないか?と質問に対して、大丈夫と返答している構造系サイトがありました。当方のブログやオーブルのHP上のコラムで不可としています。さて本当に問題ないのでしょうか?

まず許容応力度設計の本に記載されているべた基礎スラブの計算方法は、赤丸の4つの境界条件があり、外壁部はピン支持です。

住宅くらいの大きさではスラブ配筋は一様に同じ間隔で施工したほうが効率が上がります。簡単な配筋設計は、この表の「あ」と「い」が一番大きな力がかかることがわかり、ここを満足すればどの部位においても満足することが直ぐわかります。つまり4ピン中央部と2隣辺ピン側端部のチェックだけです。
冒頭の瑕疵担保保険で推奨されるチェックは4ピンと4辺固定の両境界の最大応力でチェックしなさいとなってます。
さて図のとおり2隣辺ピンのほうが4辺固定より応力が大きくなるのに、なぜ4辺固定でよいのでしょうか?多分シングル配筋を想定しているからだと推測できます。つまりべた基礎スラブ厚150mmでD13でシングル配筋で中央に配筋すると、下から60(かぶり厚)+13+13+64=150となり、上下モーメントに対し同じ効果が期待できるからと想像します。
この時60のかぶり厚で、通常の計算ではここは70mmとすることが良識です。60mmというのは法律で定められた最低寸法で、施工時人が踏んだりするスラブ配筋は10mmの余裕を持っていないと60mmのかぶり確保は難しいからで、計算では70mmの安全側に見ます。です。これは鉄筋の中心距離で計算するためで大事な事はかぶり厚は最低でも60mmで上下モーメントのチェックすることです。決して中央だから上引っ張りモーメントで上配筋のかぶりの4050mmとしてはいけません。4050mmとするからにはダブル配筋か中央部だけ配筋位置を変える施工となります。
そして端部だから4辺固定の境界条件で、中央部だから4ピンの境界条件でもだめです。先ほどのバイブル本「許容応力度設計」では2隣辺ピン=外周部と明確に条件付けされてますので、もしスラブ厚150mmで、4ピンと4辺固定だけでチェックする場合、端部、中央部でかぶり厚を変えてはだめです。あくまでも両方の最大応力で端部、中央共にクリヤーです。

さて実際4mスパンのべた基礎の計算しましょう。
木造2階建て、ロフトなし、重い屋根、積雪1m、軒の出有りでスラブ算定擁分布荷重ω1が通常10KN/m2程度(性能表示マニュアル)です。無論外壁部ありです。

Lx=4 Ly=4  配筋D13 境界条件 4辺ピン(2隣辺ピン)>4辺固定
t=15、かぶり厚7060 dt=7 中略
σex=(Ly^4*ω1)/(Lx^4+Ly^4)=5KN/m2
Mx2=ωx*Lx^2/8=10KNm at=7.33cm2/m
l=127/atMax=17.34cm→15cm  D13@150以内

仮にかぶり厚60のdt=6でも
l=127/atMax=19.50cm→15cm   D13@150以内
ですね。

(その他Lx/30等、ヒビの配慮も必要)

この計算はあくまでもロフトなしの10KN/m2以下のものです。塗り壁が多い場合や、軒の出が大きい場合は簡単に10KNを超えると思います。お気をつけください。
あっ、
当事務所「緑の家」の基礎の立ち上がりは一般の基礎の1.5倍以上の重さがありますからω1=12KN/m2位になり、@120以下になることがよくあります。@100以下の場合はダブル配筋ですね。

上条件で良識ある構造計算では「シングル配筋D13@200 厚150」は不可です。だから積雪地の配筋表ではダブル配筋等が標準と明記されるのですね。無理をしてはいけません。

住宅の基礎外周部のスラブ境界条件で実際固定度Cが0.1があると考える方もいらっしゃると思いますが、バイブル本にないことは、しっかり裏づけが必要です。

もし何方かご覧になられて見解の違いがあればご指摘ください。

この下覧にコメントがありますが、構造技量が高い設計者による緻密な構造解析があれば可能というご指摘を頂きました。私にはその計算が高度な構造知識が必要なため検証できませんし、そのような高度な解析方法があるとは知らずに上の記事を書きました。ご迷惑をおかけした関係者様にはお詫びいたします。


新潟の家 自然素材たっぷりの納屋

掲示板のほうで紹介している私がお手伝いしている(拙者が設計から基礎、屋根、扉の全て)ガーデン(家庭菜園)があります。そこでゆっくりと造り続けている納屋が80%くらいできました(只今石積み中)。
上の写真のように、小さい円筒形の小屋です。ガーデンに必要な農機具が主に入ります。中の小さな一角を堆肥(バイオトイレ)スペースにしてます。
屋根は石にしたかったのですが、さすがに地震が多い新潟県では、落下の心配がありますので、オークリッジプロというシングル葺きです。
壁は漆喰で「真白」!!
基礎はCBで基本を造り、その周囲にごろ石で固めます。
扉の取っては、すぐ前の海岸で拾った流木です。屋根にも緑をと思い今は完成していないので、流木で古い屋根の雰囲気を出します。

住宅は生産効率を考えて直線や垂直で造りますが、小屋はいろいろな面で制約がないので自由にできます。
だからこの小屋の外壁は下が外側に広がる形状。設計はCADで行う現在、この外壁形状の施工でも意外と苦労なくできたのですが、屋根の円筒形は施工に非常手間がかかります。屋根の部材を何百枚かのパーツで構成することになるからです。
普通の四角い屋根だったら数十枚のカットで済みますが、円錐形の屋根は、四角い屋根材をすべて台形等にカット。その作業で手に豆ができます。
屋根のてっぺんにあるものは、飾りではなくこの形状の屋根には必要なものです。一番頂部を風や雨から保護するものですね。
事務所仕事の合間で行っているので完成は年末くらいと考えてます。

以前自然素材は雨で色が変わるところに特徴があるね。と紹介してましたが、例外の一つにこの外壁の「漆喰」があります。石灰でできた漆喰は真白!!だから雨が降っても色がほとんど変わりません。昔、漆喰は貝で造ってました。例えばハマグリなど貝の裏面の白さは濡れても乾いていても色が変化しませんね。同じように石灰の白い色は変化がないのですね(白は基本的どの素材でも変わらない、だから特別色)。
あと、この真白は太陽光の熱成分をほとんど反射させます。真夏でも手で触っても全く暑くありません。まだ漆喰をぬっていなかったコンクリートのほうは、すごく暑くなってました。
地中海のようなカラッとした太陽の日射の強い所に白い家が多いのもわかります。


新潟の家 長期優良住宅の問題点と補助金


ようやく来ました。長期優良住宅の補助金交付決定通知。名義人が「仲村建設」さんになっているのは、先回お話したとおり、今回の補助金申請人は、「建設会社」でなければなりません。がしかし、この補助金の申し込みには、建て主さんにこの補助金を渡す(補助金はあくまでも建て主さんに行く)という覚書のようなものが必要です。ですので建て主さんの代理者であれば「設計者」であろうが「施工者」であろうが極端なことを言えば「司法書士」であろうが問題ないと思いますが、今回は選挙があったせいか知りませんが、「建設会社=施工者」になるところに疑問符がつきます。

そしてもっと不思議なことは
この補助金を受けた長期優良住宅の完成チェック機能がまだないことです。

言い換えれば、インチキしやすいシステムということでしょう。これが建て主さんの立場で考えるとこのシステムの問題点です。

具体的に言うと、

1.耐震等級2以上の基礎の施工チェックがない。

2.温熱環境最高レベル等級4の施工チェックがない。

3.メンテナンス最高レベル等級3の施工チェックがない

4.耐久性最高レベル等級3の施工チェックがない

ということです。

長期優良住宅の申請者はもちろん建て主さんです。が、専門知識が必要なこの申請は絶対と言ってよいほど「建築士」が代理申請します。このときこの建築士は「確認申請上の設計者、工事監理者ではなくとも良いのです(ここが問題ですが、解釈が間違っているかも知れませんので。後日確認します)。
確認申請の作業より数段上の難易度の長期優良住宅の申請には、構造計算書や各種メンテナンスの考慮が必要で、確認申請時の設計図書より数倍の量になります。この図面どおり施工が行われるかどうかのチェックが公の機関では行われません(写真程度)。本来なら法律上の工事監理者が責任を持って行われるはずですが、先ほど申し上げたとおり、確認申請時の法律上の工事監理者と、長期優良住宅の代理者が別であるとすると、責任の所在がありません。法律では設計工事監理委託の重要事項説明時にその点が明らかに説明されなければならないはずですが、それは稀でしょう。だから長期優良住宅に対応する工事をしていなくても、図面さえそうなっていれば「補助金」がおりる可能性があります。施工のチェックシステムがない補助金システムはとても問題です。「性善説だよ」という説明であれば、ここ数年これだけ厳しくした行政のチェック機構は一体何だったのでしょうか?
税金を直接補助金として特定の建て主さんだけに交付するこのシステム。

特に問題は個人建て主さんではなく、建売販売する業者さんがでしょう。個人建て主さんは自分の家ですから少しでもチェックするでしょうが、業者さんはいかに原価を下げるか?ということをいつも考えてます。長期優良住宅の内容がほとんど完成表面に出てこない仕様(耐震性、省エネ性、耐久性)ですから、完成してからではほんとに施工されているかどうかわかりません。もし悪意がある団体であれば・・・。施工途中の写真報告はありますが、悪意があれば写真なんてどうにでもなります。

性能表示では建設評価があり、公的な人が現場で細かくチェックします(本来なら工事監理者の仕事です)。だから長期優良住宅と違い施工のチェックする公の人がいます。長期優良住宅では、図面の公のチェックは入りますが、施工のちチェックはありません。
私は法律で決められた工事監理者(確認申請書に記載)がいれば、そもそも公のチェックなど必要ないと思います。それが本来の姿ですが、工事監理者が誰だかわからない建築主さんがほとんどの現在、交付金を使う公のチェックはあったほうが良いと思います。交付金は皆さんが納めた税金ですから。

補助金自体は大変感謝できることですが、建て主さんが不利益を受けやすいシステムは大問題です。やはり長期優良住宅は仕様が少し上なので価格が高くなりますから。


新潟で南雄三講師の勉強会「長期高価値住宅」とは?

2009.09.18加筆
2009.09.27赤字修正

 

昨日住宅評論家として有名な「南雄三」講師による講演というか勉強会に出席させて頂きました。
主催は上野住宅建材(見附市)です。この会社は県内にR2000を紹介した由緒正しい高気密高断熱建材及び輸入会社です。
さて内容は、南講師が力をこめる「長期高価値住宅とは」です。
皆様ご存知のとおり、最近は長期優良住宅が推進されてます。これは他の先進諸国と比べ日本の家の建て替え寿命が著しく短い「短命住宅」であるからです。ちなみに日本が30年に対し最長のイギリスが80年以上、米国等でも60年以上だそうです。これでは一向に家が社会資産とはなりません。返済が終わると同時にとりこわしですね。

まずジャブとして日本の抱える欠陥(世界との比較)ということで、
日本では先進国の中で特殊な高齢者高貯蓄国家。老後における国の施策が不安なので老人の貯蓄が世界一。この不安(恐怖)がある限り、お金が回らない内政状況・・・。
そのとおりですね。老後の恐怖がなくなれば、もっと心が豊かになりますよね。あの高福祉国家スエーデン?(だったと思う)は、100年位前に「姥捨て谷」があったらしいとの事です。それが今は世界一の高福祉高負担国家で、経済も住まい豊かといわれてます。老人は不安なく日々過ごせるそうです。日本には姥捨て山があったのですが、姥捨て谷とは・・・高齢者を突き落とす谷の事です(絶句)。

次に・・・この本は、南講師が「絶対買いなさい」に脅された(笑)本です。昨日早速アマゾンで中古を購入しました。

さて、日本の住宅はなぜ30年で取り壊されるのか?日本は家を買ったらその家は死ぬまで住む(借金返済)という前提。だから自分だけの家を建てるし、老後不安だからその家でお金のかかるメンテナンスなどしないでお金をためる→その建てた住人が死んだら誰もその痛んだ家には魅力がない→流通に乗らない→売れないで壊される。そして政府の持ち家政策が推奨され、自分だけの家となり、短命ということらしいです。

いつも賛同する南講師のご意見ですが今回は・・・実は私はそう単純ではないと思います。

ここから拙者の主観で書きますので興味のある方だけお読みください。

日本には長い寿命の住宅も多くあります。例えば新潟県の農家の家は、50年以上は当たり前に建っていることが多いです。一方新潟県でも市街地に建てられる家の多くが短命です。また、日本は他の先進国と違い大部分が亜熱帯地方に属するような気候があります。その亜熱帯地方の建物は比較的短命です。

さて、農家の家がどうして長命だったか?それはまず戦後すぐでも家にお金をかけられた。つまりお金もちだったからからです。そして農家には家を継ぐ(あと取り)という習慣があり、農地とともに家ごと引き継いできました。農地は移転はできませんから、家もその周囲になければなりません。ところが農家以外の職種では、この「あと取り」という習慣が薄く、家を引き継ぐ理由がなかったのです。そして戦後お金があった(食料が一番お金になったころ)農家は立派な家(広くて庭がなどしっかりある)が建てることができました。
一方農家以外の家は小さく、家があれば良いという程度の家(国もそう推進していた)なのでどちらかといえば粗末な家が造られました。実は亜熱帯地方の気候である日本は、粗末な家でも耐えられる気候だったのです。ここが他の先進国と違います。亜熱帯地方の普通の家は、ほとんど薄い壁、雨がしのげればよい程度の屋根だけです。一方日本の中でも寒い気候に属する北海道ではそれではなかなかつらい気候ですが、これはほんの日本の一部でしかなので、国の施策は、とにかく安い家でいいからたくさん建てて、人を増やすことに力を注いだのではないでしょうか?日本の人口密度を他の先進諸国と比べると高い事がわかります。人口密度高い国は、気候が亜熱帯以上の国がほとんどです。韓国が日本より高い人口密度ですが、森林を占める面積が多い日本では、実質同じぐらいでしょうか。

そしてこの亜熱帯気候。これがやはり住宅の寿命を大きく左右しているのではないかと思います。
それはカビと腐朽菌です。日本の気候では、家は放って置くだけでカビが蔓延します。特に有機天然素材で作られた家は必ずカビが生えます。一方住宅長寿先進国は気候が北海道並で梅雨などないところがほとんどで、カビが勝手に増殖する気候ではありません。
よく「取り壊された家は構造的に寿命でだめという理由はほとんどない(構造が腐って勝手に家が倒れた)」と言われます。そのとおりですね。でも古い家はほとんどといってよいほどカビ臭がします。また手入れを怠った家も独特のにおいがします。この匂いは、簡単に取れませんし、日本人は強い匂いを生理的に嫌う傾向があります。特にこの匂いはその家々で違うようで、自分の住んでいる家の匂いは問題ないでしょうが、他の家の匂いは受付にくいですよね(体臭でもそうですよね)。ですので真新しい木の匂いにとても価値を感じるのでしょう。
一方カビの生える気候は悪いことばかりではありません。木が生長しやすい気候であるため、木造住宅を50年持たせれば、木の循環が可能となります。だから50年で壊しても良いことにはなりませんが、木材が比較的手に入りやすいので、壊しやすかったともいえます(今は北米、北欧の輸入木材が安価なので大半を占め、少し矛盾してますが)。

さて短命の理由は、好き勝手に建てられる家のため売れない→流通が育たない→取り壊される
ということも無論ありますが、私はこの日本の気候と戦後の貧しさと国の政策の問題が大きいと思います(一極集中施策、非木造推進施策※を含む)。好き勝手に作るのは、そうしないと造れない地代の高さと制限があり、またその制限が町並みに対する制限をまったく含んでいなかったせいでしょう。いろいろなデザイン、新建材が横行したのは、貧しさゆえの表面のごまかし(建材含む)だと思います。お金をかけられた家は、古くてもデザイン的に今も問題ない家が多いですから・・・。
また歴史的背景もありそうです。江戸の庶民の家は火災が多く、結構頻繁に建て替えがあったとされてます。庶民の家(大きな武家や地主の家は別)は、短命でも仕方ないと思って歴史が長かったのでしょうか?

勉強会で賛同する部分というか、「そうか!!」という部分は、「モーゲージ・ローン」と「ノン・リコース・ローン」でした。このローンで「貧しさ=家にお金がかけられない」という部分が解消されるきっかけになりそうです。
米国では、住宅の融資の基本はこのモーゲージ・ローン(且つノン・リコース・ローン)だそうです。これは、家、土地だけの担保でお金を借りれ、もし払えなくなったときはその家と土地を手放せば、それ以上責任を取らなくても良いというローンだそうです。日本では、人にお金を貸しますので、仮に家と土地を手放しても、借金が残っていれば払い続ける必要がありますが、モーゲージノン・リコース・ローンでは、手放せばローンは一切チャラとなり、また出直せるということです。これはすごいシステムで中古住宅が流通に乗る基盤になります。人にお金を貸した場合は、その人が今後稼ぐ以上に融資は無理ですが、このローンなら関係ありません。その人の収入がどうであれ家が社会的資産になりますから・・・。是非このシステムが日本にも定着することを願います。

さて、私の結論ですが、今までの短命住宅は仕方ないというより感謝です。これだけ経済が成長できた政策優先は支持しますし、それを行って頂いた諸先輩には感謝申し上げます。
今後はやはり長期高価値住宅は、子供たちに残す財産として必要です。もっと心が豊かになるように、家の借金が終わった途端壊されるというローン地獄の連鎖を断ち切る必要があります。その長期価値住宅の目標とする対応年数は、木造で平均60~80年くらいではないかと思います。これで地方では約3世代が引き継ぎます。一方都市部ではコンクリートの寿命となる80~100年くらいで、10から20サイクル(転勤や転属で4~8年)の入れ代わりが相応という気がします。
地球環境が激変する可能性の高い今世紀。手塚治氏のような想像力があれば別でしょうが、我々技術者ではどうがんばっても60~80年の目標をたてるだけでも精一杯です。

最後にいろいろなことを考えれる時間があった、講師の南様は無論、このような講演を主宰された上野様にも感謝申し上げます。

※・・・日本建築学会が木造住宅推進だった昭和34年からの20年間は、木造住宅の構造的進歩が止まりました。このころ建てられた多くの家には耐震性や断熱、耐久性などはまったくといってよいほど考えられてません。このような基本的性能がない家だから取り壊すしかないと考えます。


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