写真は新潟市で現在施工中の自然素材超断熱(高気密高断熱)住宅の屋根です。
屋根材についてはこのブログ中でも当事務所の見解を載せてます。
まず屋根材の耐久性ですが、
高温焼き瓦>=銅版>=焼きがわら>セメント瓦=人工スレート=ガルバニューム=ファイバーシングル>亜鉛鉄板 となります。
高温焼き瓦でも、谷と呼ばれる部分があればそこには銅板が使われるので耐久性は銅版葺きと同じくなるときがあると考えてます。
しかし漏水防止性は通常「屋根材」によって変わる事はありません。と言うのは、屋根材の下に必ず防水シートが貼られるため、漏水防止性はこのシートで決まります。
瓦などは強風降雨時は必ず瓦の下に雨水がまわります。この時漏水を防ぐのは「防水シート」と呼ばれるアスファルトルーフィングです。このルーフィングをしっかり貼ってあれば、漏水はありません。所がそれでも屋根からの漏水があるのはどうしてでしょうか?
施工不良は論外ですが、瓦の場合その多くが、釘やタッカー(ホチキス)の穴から浸水です。現在の瓦は、上から釘である程度止めます。その他の屋根材も同様です。その釘穴の周囲から雨が染み込み漏水となります。そこで考案されたのが、ゴムアスファルトルーフングです。このルーフィングは釘やタッカー穴に追随し密着するので容易に漏れません。どんな屋根でもこのルーフィングのおかげで漏水から守られます。だから最近の屋根工事はこのルーフィングを敷くと一段落つき、その後一ヶ月ほっといても雨漏りはありません。もしこの時点で雨漏りしたなら、その後10年以内にその家はほとんど雨漏りします。
では屋根材の働きは・・・
そうです。まずはこのルーフィーングを紫外線から守り劣化を防ぐことです。そして風に飛ばされないように保護し、人が乗っても傷つかないように防水シートを守ることです。昔はその屋根材自体で漏水を防ぐ必要がありましたが現在は、防水シートに頼る漏水防止工法に変わりました。ですので漏水防止性能はどの屋根材でも変わりません。
阪神大震災でもわかるとおり、昔の焼きがわら屋根は、土が瓦の下にありました。この役目は、瓦を密着させると事と、暴風時に漏水した水を吸収し、天井に漏らさないようにする役目もありました。土ですから防止シートのような劣化がなく、屋根材の寿命と同じくらいの漏水防止性能が続きます。ここが昔と現在の瓦屋根の違いです。ですので最近は耐久性=漏水防止性にはなりません。
さてそうなると、屋根材の選択方法はこう考えます。もし暴風時には多少の漏水は許せるなら高温焼きがわらは最高です。しかし漏水は絶対避けたいとなると、銅版葺きに軍配が上がる可能性があります。また価格はガルバとシングル葺きが同じ安価なので、30~40年以上経過したときメンテナンスを考えるなら良い素材です。
さて、その安価なファイバーシングルは新潟県で受け入れられるでしょうか?と言うのは、25年以上前に一度ファイバー(アスファルト)シングルが流行した事がありましたが、突然なくなりました。欠点があったからです。そのころの輸入されたファイバーシングル屋根は、フェルト紙にアスファルトを染み込ませた粗悪なものしか輸入されませんでした。ですので、劣化が大きく数年で色々な問題点が発覚し使う人がいなくなったのです。現在は、旭グラスファイバーという大手会社が、質の高いガラス繊維補強のアスファルトシングル(ファイバーシングルと呼ばれるようになる)を輸入し、劣化の問題は解消されました。が・・当時の苦い思い出はなかなか消えません。ですのでなかなか普及が進みにくいのではないでしょうか?実は同じ現象は10年ほど前にありました。
新潟市は海に面しているため、金属の腐食が早く、ほとんど家は瓦屋根でした。一方長岡市は雪下ろしに強いガルバニューム屋根がほとんどでした。ところが10年ほど前からガルバニューム屋根が海岸地域でも強いことが経験上わかり始めると、一気にブレイク。最近では瓦屋根と同等くらいに見るようになりました。
同じように、このファイバーシングル屋根も数年後ブレイクするでしょう・・・。か?当事務所では既にブレイク中です。