家造りは科学的根拠がなければ眉唾物です。
あるダイレクトFAX(っていうのかな?)が来て、説明文を読んでいたら???がありました。このダイレクトFAXには、「冬は屋根で空気を暖め床下に送る。夏は夜に放射冷却を利用して屋根で空気を冷やして床下に送る」とあります。関東の会社からのFAXなのでまあここまでは何とか許せますが、その後の説明に「雪国では室内の暖かい空気を先ほどの屋根に送り、雪を溶かします」とあり、そんな家のシステムを買いませんか?というものです。
「やっぱり・・・科学的に根拠がないなー。と言う事は、先ほどのもっともらしい『冬は屋根で・・・』や『夏は屋根で・・・』も怪しい」と言う事になります。これと同じシステムで有名なOMソーラーさんがありますが、新潟県では冬の太陽が期待できないのでほとんど建築されていません。
さて「雪国では室内の暖かい空気を先ほどの屋根に送り、雪を溶かします」がなぜ科学的に根拠がないのか?
それは雪を溶かすのにはとても大きい「融解熱」が必要なのです。この氷の融解熱はあらゆる物質の中でもトップクラスで、室内の熱を使ったら家の中は全く暖まりません。雪はできる限りほっとくのが一番です。
さて計算です。
雪の融解熱は 80 cal/g です。
30坪くらいの屋根に雪が20cm積もったときは
屋根面積を60m2とし、新雪の単位荷重を100kg/m2・mとすると
60*100*0.2=1200kg 1200kg→1200000g
1200000*80=96000kcal となります。
20cmの雪を溶かすのに96000kcalが必要です。
ここで6割(本来は5割以下)が有効に屋根から熱が伝わるとして96000/0.6=160000kcalの入力熱が必要で、
160000kcalの熱と言うのは、灯油18L分です。
緑の家Sプランで灯油18L分を暖房として使ったら2日分の暖房エネルギーを丸々捨てると言う事になります。超高断熱住宅のSSプランなら丸4日分以上に相当します。融解熱は確か中学の理科で習う基本的科学ですね。それを無視して、室内の熱を使えば良いなどといったシステムが成り立つはずがありませんね。感覚的に解けると間違って思い込んであるのでしょう。
また、室内の暖かい空気を雪を何かで接触させ溶かすということは、必ずその何かの接触面で結露します。この結露水がクレームとなり40年以上前から魚沼地域にある某会社は、大変苦労とクレーム対応してました。ですので、家の内部熱で雪を溶かすなどを考える人は新潟ではまずいません。つまり科学的根拠がないシステムを斡旋している事になります。
でも住宅会社ではこういう業者が大変多いです。例えば、
×あったかい家→
性能表示の温熱環境でQ値で認定された事がない。
×地震に強い家→
性能表示の耐震等級3を取得した事がない。
×べた基礎だから地震に強い→
基礎よりも木造部分が左右する。
×エコの家→
太陽光発電だけではエコでない。エコの基本は暖房Eと給湯Eの削減。
×ぬくもりのある家→
それってなに?触感?温感?質感?寒い家は木も冷たいよ。
でしょう。