間違った認識 自然素材と梅雨

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 雨が続くうっとうしい季節・・・それが梅雨です。
梅雨時期には相対湿度があがり気温も高いので「カビ」にとっては天国です。
一方最近の自然素材ブームで家には天然素材が多く使われております。
しかし最近の若い人は「土用干し、虫干し」を知らなく、自然素材に対し間違った認識をしている人が多いようです。

古くから日本の住まいは、「土」「草」「木」で造られていました。これはいずれも「天然素材」で湿気を吸放湿する循環素材(容易に土に帰る)です。
当たり前ですが循環素材の特徴は水(湿気)に弱い事です。水があれば直ぐに微生物によって分解が始まります。だから天然素材(循環素材)なのです。

最近の家造りではこの天然(自然)素材ブームでどこかしらに使われています。この自然素材ブームが来る前の約40年間の家(1960~2000)は、家の素材には樹脂やプラスチック、ビニールが多く使われておりました。逆に言えばそれ以前の50年以上前の家は「自然素材住宅」しか存在していませんでした。

その50年前の自然素材の家で住んだ体験のある人は「土用干し」を知っていますが、今「自然素材の家」を求める世代はその頃の自然素材の家に住んだ方は少ないでしょう。そこに自然素材への誤解が生まれます。自然素材はお手入れをしないと・・・

梅雨時の自然素材=カビが生える(生えやすい)

ということを全く実体験していないから誤解が生じます。自然素材は利点は「湿気の吸放湿」です。梅雨時に湿気を吸湿するということは放出もある事を忘れてはいけません。その放出行為が「土用干し」なのです。この土用干しによって梅雨時に素材にため込んだ湿気を一気に放出させるのです。そうしないと自然素材は必ず「カビ」ます。虫(ダニ)も湧きます。

さて土用干しとは何をするのでしょうか?

昭和に行なわれていた畳上げ。

私が子供の頃には必ず生家で年中行事として行われていました。まずは「畳上げ」です。畳をはがして2つを折り合わせるように立てて丸2日くらいは乾かすのです。この時畳の下の床板もとれるところは取り、床下も見えていました。畳は自然素材の代表です。その畳の内部は「ワラ」であり現在の断熱材でできている畳とは違い、湿気をたっぷり吸っています。これを放出させるのです(現在の畳にカビが生えにくいのは中がワラでなくプラスチックであることと、防かびシートを折り込んであるため)。

次に押し入れの物を全て全てとりだし「陰干し」します。無論押し入れも扉は全開で乾かします。当時の押し入れ壁は漆喰塗りの土壁ですから表面はかびませんが、内部の土壁はカビが生えますから乾かします。表面の漆喰は強アルカリなので漂白剤の「ハイター」がいつも噴霧されているような状態ですからカビません。

そしてフローリング(床)ですが、これは当時の家がほとんどが畳だったので、特にこれといった事はしてません。が、梅雨時でもいつもその表面をなでるように毎朝ほうきで掃除をしていました。これが大変重要な行為で、これは畳も同様ですが、その表面をほうきでなでる事で「カビ」の菌糸を成長させないようにしていました。つまり目に見えない多少のカビは許容し、増えることを防止したのです。

このように日本の気候では「自然素材」は直ぐにカビが生えるので「掃除」と「虫干し」でカビと半同居のような暮らしでした。

この事実を知らないで「自然素材」が「好き」だけでは問題が発生します。自然素材と暮らすためには避けては通れない行事があるのです。
ところが「虫干し」、「土用干し」もしない、毎日の掃除はいやだという人のためにとっても良い方法があります。それは・・・

そう、エアコンで梅雨時は除湿(冷房)するのです。そうすれば虫干しも毎日の掃除をしなくても自然素材でもカビは生えません。その除湿は短時間ではなく出来れば本格的な梅雨に入ったと同時にする事です。巷で推奨される「通風」だけではカビが生えます。なぜなら通風が主だった昔の住宅でさえ「土用干し」や「毎日の掃除」を一緒に行ってカビ抑制、カビ半同居していたからです。

拙宅も自然素材が多く使われている家です。しかし掃除は毎日はできませんし、土用干しもしません。だから梅雨時期は勿論エアコンを運転しています。おかげでカビ知らずで、梅雨でも洗濯物に困った事がありません。梅雨時のエアコンは無論除湿運転です。

もし自然素材を使っているのに上の事をしないで「カビ」が生えない家(自然素材)は、間違いなくその自然素材にたっぷりと「防かび剤」が入っています。なぜなら自然素材は大地に早く還りやすいように梅雨時に必ずカビます。それが天然素材の宿命です(石や焼き物は除く)。

木に塗るオイルも簡単な「防カビ」の作用をしますからお勧めしません。これは本来湿気がたっぷり吸い込むはずの木が、オイルやワックスを塗るとその吸い込みが激減します。畳にオイルを塗ったらどうなるか想像出来きますよね。その自然の風合いが無くなる事は誰にでも想像出来るので、畳には絶対にオイルやましてワックスは塗りません。それが本来の自然(天然)素材の良さが堪能できるのです。ただし・・・広葉樹は一度でもオイルは必要です。これは広葉樹には樹油が少ないから表面がささくれるからです。

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