長期優良住宅の認定された基礎は良い基礎② 梁背と鉄筋の量

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緑の家の基礎はすばらしいです。これは長期優良住宅の認定取得する時にわかります。長期優良住宅を取得した事が一度でもないとわからないでしょう。長期優良住宅を取得(「対応」だけではだめ)した家は、基礎の構造チェックが専門家によって必ず行われますが、確認申請を取得した家は、設計者以外のチェック(もしかして設計者もしていないかも)は全く行われません。

基礎を強くするには大きく2つの方法があります。
1.基礎の背を大きくする。
2.鉄筋(通常D13)を多く入れる。

上の図で緑の家の基礎は、同じ鉄筋の量(基礎の中の鉄の棒。この棒が強度)でも「背」を大きくすることで基礎全体の強度は一般基礎の約2倍(上下からの力)となります。だからより大きい柱間がとれ、空間を大きくしながら耐震性の高い家ができるのです。これって意匠的な問題ですから、構造=意匠と構造と意匠は同一でその重要性がわかります。オーブルデザインではプライバシーを重視するので、ホームページ上に殆ど平面図がありませんが、見学会に、また完成室内写真にその空間の豊かさがわかると思います。
最近は意匠(デザイン)や、自然素材だけに注目が集まりますが、家の1番重要な要素は間違い無く「安全性」です。

なぜ背のある基礎が強いのでしょうか?ご自分で試して見るとわかりますが、定規のような細長い断面をしたものを曲げてみて下さい。背を高くした方は曲がりませんが、背が低い方は簡単にまがります。

次に同じ「背」であっても鉄筋を多く入れると強くなります。これは鉄筋コンクリートとは鉄筋の入っている量で強さが決まるからです。一般に多ければ多いほど強くなります。

さて、どんな基礎の時に鉄筋が多く必要だったり、基礎の「背」が多く必要なのでしょうか?


柱の間隔が広い時


耐力壁両端の柱間隔が広い時


耐力壁が強い時

の3つが概ね考えられます。

柱間間隔が広い時は基礎の上端の鉄筋が多く必要です。和室の2間続きや2間(3.64m)の開口部があれば上の鉄筋は2本以上が必要です。

また耐力壁の両端の柱間隔が1間(1.82m)の時も注意が必要です。この場合はその隣の開口部(窓部分)が1間(1.82m)という小さなスパンでもその基礎下端には大きな力がかかりますので、鉄筋は下端に2本以上入ります。

最後に最も多く見逃してしまう事例ですが、強い耐力壁があるとその隣の開口部(窓)の下基礎には大きな力がかかります。よってこの基礎下端の鉄筋は2本以上となるのが普通です。時には3本又は普通住宅に使う鉄筋より1ランク大きい16mmの鉄筋を2本以上使う事になります。耐震性をあげるために壁を強くした場合、基礎も鉄筋を増やしてあげないとバランスがとれないのですね。あなたの設計者はそんな注意、またアドバイスしてくれる人ですか?

平面図にこのような壁倍率5とあれば注意

さあ、ご自宅の基礎図面がある場合はチェックしてみて下さい。無論、緑の家の基礎は、基礎の背が倍あるので鉄筋が1本ですむ場合が多いのでご心配なく。問題は基礎立ち上がりが60cm程度の一般的な基礎の場合です。

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コメント

  1. オーブルの浅間です。 より:

    木原様
    >基礎の垂直方向の大きさが基礎全体の強度を高めて、梁があるのと同じような効果を生む(デザイン的には、水平方向により大きなスパンの開口部をつくれるようになる)と考えれば良いのでしょうか?
    うーーん、
    住宅の基礎はコンクリート造建築のスラブと梁が上下反転した応力になります。
    つまり住宅の基礎の長期荷重はスラブが受ける地面からの反力であり、コンクリート造建築の上からの積載荷重とは逆に考えます。つまり基礎の立ち上がりはそれ自体が梁として考える事ができ、地中梁が所謂逆梁構造になります。
    よって立ち上がりが強度を高めることに間違いないのですが、梁はその上の柱が細かく入っていれば、それが支点となり基礎梁せいは大きくする必要がありません。基礎梁せいを大きくする必要があるのは柱間が大きい場合となります。
    >水平方向のスパンについては、鉄筋量と基礎高を含めた構造計算が前提なのですよね? 逆に言えば、設計士が構造計算をきちんとしてくれれば、水平方向の自由度が多少は上がってくる‥‥という風にとらえて良いのでしょうか?
    自由度はそのとおりです。が、
    水平方向のスパンは立ち上がりは直接関係なくスラブ配筋で決まります。一般的なスラブ厚さ18cmでは5.4mの短辺方向までOKで、長辺方向は1.5倍までは問題なく出来ます。これを超える場合に基礎梁で区画をつくり、この時に基礎梁せいが重要になります。

  2. 木原 より:

    > 緑の家の基礎は、同じ鉄筋の量(基礎の中の鉄の棒。この棒が強度)でも「背」を大きくすることで基礎全体の強度は一般基礎の約2倍(上下からの力)となります。だからより大きい柱間がとれ、空間を大きくしながら耐震性の高い家ができるのです。
    理解するまでにだいぶ時間がかかったのですが、緑の家の床下空間がスッキリしている秘密のひとつが、ここにあるのかなと思いました。
    で、自分の理解にまだ確信が持てないでいるので、できましたらご教示ください。
    基礎の垂直方向の大きさが基礎全体の強度を高めて、梁があるのと同じような効果を生む(デザイン的には、水平方向により大きなスパンの開口部をつくれるようになる)と考えれば良いのでしょうか?
    推測なのですが、水平方向のスパンについては、鉄筋量と基礎高を含めた構造計算が前提なのですよね? 逆に言えば、設計士が構造計算をきちんとしてくれれば、水平方向の自由度が多少は上がってくる‥‥という風にとらえて良いのでしょうか?