最初に・・・
当ブログでは基礎の話題が最近多くありました。それは世の中も同じで「長期優良住宅、基礎、新潟県 」とかで検索すると色々なHPやブログがあります。そこで基礎に対する施工側の意見はやはり「ここまでやるか?」とか「今まで造った事のない基礎」とかという発言が多いです。でも長期優良住宅だから特別な基礎が必要ではありません。基礎の構造は主に家の重さが一番で次に地震時の強さで決定されますが、家の重さなんて長期優良住宅でも普通の家でも変わりせん。なのに一様に
「今まで造ったことのない地中梁(土の中にある梁)」だとか、
「D16という太い鉄筋で造る事になり大変」
とあります。
それをみて私は大変青くなります。
やっぱり今まで基礎の計算や構造を考えずに設計していたんだと。
さて今日の本題は・・・
坪2△万です。と書かれている広告。一方住宅展示場や他の住宅会社の坪6△万という価格。果たしてどこが違うのでしょうか?
一口に申し上げると表面上や初期の違いは少ないと思います。それは100円均一で買ったボールペンと文具店で購入したボールペン(大手メーカー品)の違いのようです。
両方ともボールペンとして「書く」機能は問題ありませんが、当初はせいぜい書き味が「おやっ堅いな~」程度です。確かに比べると、100円均一よりも倍の値段がする文具店のボールペンの方が明らかになめらかだと感じます。でも沢山書く仕事用事でなければたいした差ではありません。
明らかな差が出るのは使い込んで来た時にわかります。やすいボールペンは、壊れやすくあっと言う間に買い換えになります。本体が割れたり、ネジがつぶれたり、又全部インクを使い切らずにでなくなったりと・・・。そんな経験はありませんか?
私はそんな経験をしたので、筆記用具文具一切は100円均一では買いません。また同じように長く使わなければならないような物は100円均一で買うことはありません。100円均一ができたばかりは色々な物を購入しましたが、今ではその購入する物はあまりなくなりました。やはりそれなりの品質ということがわかったからです。ですが100円均一を否定はしません。むしろありがたいお店と今も思います。短期間使用の物品を購入する(一時利用)という目的を間違わなければ、それはとても便利だからです。
ここから同じように見えるのに値段に大きな差がある場合は、殆どの場合長期の品質に差が出ると学びました。これは家も同じです(景品バーゲンや抽選を除く)。
同じ品質を保ちながらのコストダウンは工場内での大量生産では可能ですが、現場で行う事が殆どの家や世界に一つしかないオリジナル注文住宅の場合は無理があります。現場で働いている人の人件費が普通の1/10なら大いに可能ですが、同じ国ではそれはないでしょう。
となると何を考えるかというと品質(性能)ダウンです。10年使えればよいと考えるか、20年は使いたいと考えるか、50年は使いたいと考えるかで設計の思想は違います。そこに価格の差が出ます。低価格の家では、ユニットバスやキッチンなどは、例えば大手メーカー○×品でも一般ショールームに置いていない品番です。つまり明らかに一般流通品とちがう物が入っています。実はこれはエアコン等の家電も同じで、建築業界に配布されるパンフレットには一般家電店にあるカタログの品番とは違うのが普通です。これは建築業界では家にセットされて販売されるから、多少品質(設計思想)が下がっていても、掛け率が低い方が売れやすいからです。また多少燃費が悪くても安い方が売れるからです。エアコンの燃費を払うのは家を購入した人であって、エアコンを取り付ける建設会社ではないからです。
一方家電で店頭販売されるエアコンは、取り付ける人(買う人)=燃費を払う人 なので、品質に妥協はありません。5年で壊れれば、次はそのメーカーをそのユーザーは選ばないでしょうし、燃費がわるければ、次はそのメーカーを買わないからですね。しかし家にセット販売されるエアコンは、壊れてもメーカーのせいになりにくいのです。
壊れれば「あの建設会社が安いエアコンを選んだのだな」とか燃費が悪くても「あの建設会社の機種選定が悪い」と思われるので、メーカーは躊躇なく品質を落とすことができます。それが一般の人にはわからない「室外機の基盤コーティングなどの地味な仕様を省略」とかです。こういった仕様は、使用後5年以上経たないとわかりません。
昔のエアコンや冷蔵庫が壊れにくかった経験はありませんか?それはこのような設計寿命の思想が高かったのでしょう。また今ほどどのくらいで壊れるか正確に予測できなかったので、大きな安全率を見て設計していたためですね。車も同じです。全く同じように見える価格帯クラスなのに、かたや10年で多くの部材を交換するA車と交換が意外と少ないB車の比較は、最初の購入価格やチョイ乗りではわかりません。長く乗った時、再びそのメーカーの車に乗るかどうかではないでしょうか?ですから昔は長期の品質(寿命)をとても大事にしてきました。
しかし最近は自動車メーカーにとっての最大のお客様は、数年(車検時毎)で車を新車に買い換えてくれる人です。だから最近は設計寿命を長くする必要がなくなり、皆おなじように10年で壊れる箇所も同じです。以前はトヨタが設計寿命が長かったそんな気がします。だからこそ世界のトヨタになったのでしょう。しかし今はどのメーカーも同じく感じます。これは車が乗り換え可能だからだと思いますが、家はおいそれと建て替えたり、引っ越したりする「物」ではないので、そのような短期間壊れなければ後はメンテナンスのお金がかかろうが関係ないという仕様は当てはまらないと考えております。
家も今は車と同じような考えられる事が今の低価格住宅になったのでしょう。見た目が同じように見えても実は耐久年数が大きく違ったりするようですが、それはその時になった時に初めてわかります。例えば基礎や、柱の配置、サッシの大きさ、床の仕様、ユニットバスやオリジナルキッチンの素材等、築後10年までは全く問題なくつかえますが、それ以上になると急に大きな差が出るはずですね。上の基礎の話題からわかるとおり構造耐久性も同様でしょう。無論決して低価格住宅が悪いのではなく、ご自分の目的に合った家をお選び頂ければと思います。