とうとう長期優良住宅で偽装が・・・

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業界ニュース最大手のウエブページには木造軸組最大手のハウスメーカーが長期優良住宅を偽装し、それに関わった建築士が行政処分(業務停止11ヶ月)されたと紹介しています。

http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/article/building/news/20101214/544714/
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これだけの情報では支店全体で関わっていたかどうかはっきり記載がありませんが、「個人で16棟も偽装する経費(一棟あたり申請代6万+申請代行料20万=26万/棟・・・16×26=416万)を支出していたのかのように会社をごまかせたのか」にはとても疑問が残ります。大きい会社とはいえ会社に請求し着服していたとすればわかりますが、そうでなければ経理でわかりそうな事でしょう。その会社にとって400万位たいした金額ではなかったということでしょうか?横領があったとの報道もありませんし、発覚したのは内部調査ではなく行政が見つけたらしいし・・・。

長期優良住宅認定は良い家の最低条件かと思いますが、その申請、計算は結構専門知識が必要で、施工と設計を兼ねる会社の設計者では難しいのが現状です。工務店でも長期優良住宅認定をしてもらったよという方の殆どが、設計申請書作成は外注だったりします。面倒だからこそこの大手のハウスメーカーでも「インチキ」をしてしまうのでしょう。この会社の言訳として「忙しい時は外部設計事務所に依頼しても良い事になっているのに」とありますが、どうも本当とは思えません(なぜならこの会社では長期優良住宅は標準仕様と宣伝したはず・・・)。

逆にそのくらい施工会社には大きな負担しいるからこそ長期優良住宅は良い家になります。

下は現在建築中の長期優良住宅の柱の根本部分です。M16 という太いアンカーボルト2本で一本の柱を固定します。

 こんなゴツイ金物が柱を支えます。これはこの柱に地震時に引き抜き力63KN(キロニュートン)まで耐える事のできる構造となります。一般的な木の家では30~50KNが限界ですからそれを大きく超える耐力が得られるすぐれものです。因みにこの部分には45KNの力が発生するとの計算結果が得られましたのでこの60KN用を使いました。

60KN(6トン)の力に耐えられる柱下金物。全て構造計算するから引き抜き力に見合った金物が設定できる。

この接続金物は「テックワン」といい見附のタツミさんが加工販売しており、事務所設立以来(13年前から)標準採用しております。とにかく強度がはっきりしているため構造計算した建物にはとてもふさわしく、強度が曖昧なプレカット工法では難しいところです。

また柱ではなく梁を見ても一般のプレカッ工法の木と木の接合部は下の表のような断面の低減が必要なので、果たして皆さんそれをしっかり把握しているのでしょうか?プレカット工法のばあいは、一回り大きい断面が当たり前です。

梁が交わるところ(大梁と小梁)の接合部はこのように断面が欠き取られ場合によっては(赤)元の断面の半分以下の強度となる。これが現在のプレカット工法の欠点。上部に柱が無い紫でも強度は著しく落ちる。この表があることも知らない人も多い(危険)。この表は木造軸組工法の許容応力度設計より抜粋。

最近は大手の殆どがこのような金物になっており、今後はテックワン等の金物工法以外の所謂プレカット工法※は少なくなり、なくなる方へ収束すると思いますが・・・さてどうなるでしょうか?

※プレカット工法とは・・・戦後に発展した在来工法と呼ばれた木造軸組工法は、当時は大工さんがノミや鋸で仕口と呼ばれる接合部を手で加工していた(民家などの伝統工法とは異なる。それがこの20年前から機械でオートメーション化し工場でカットしている。プレとは予めという意味でこの工場で加工された構造をプレカット工法と呼んでいる。

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コメント

  1. オーブルの浅間です。 より:

    kotaro様
     大変遅くなりすみませんでした。
    コメント感謝します。
    以前のキャラクターはミノ氏でした。やはりこのような事が多く起こり契約更新はしなかったのでしょうか?
    キムタク氏はこのような事があってもキャラクターとめーかーは別という感情が働くので受けたと思いますが、ミノ氏はなにかと影響力があるので問題なのでしょう・・・。

  2. kotaro より:

    過去にもいろいろ話題の絶えないハウスメーカーですが、直接は関係ないとはいえ、木村拓哉さんには登場して欲しくないです...。さて、基礎の話、換気の話など勉強になります。今回のアンカーボルトのご説明もきちんとした金具を使うことの重要性がわかりました。ヤマベの木構造の山辺先生のお話を伺ったことがありますが、木造軸組み住宅は、引き抜き力に弱い個所が出やすいとのこと。金具の補強(正しい施工の)は重要だと思います。