新潟の家 屋根の拘り・・・② 外部での木の使い方

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   渡辺邸は石置き木羽葺き屋根が基本。

渡辺邸はお寺でなく豪商であるためか木の屋根です。無論、財力はお寺以上あったのに、瓦でなく木の理由はよくわかりせんので興味ある方はお調べください。

さて、木を屋根に使う事は一世紀前までは極あたりまえでした。そもそも今と違い金属やアスファルトなど大変貴重ですし、製造技術が無かったことが最大の理由でしょうが・・・

 昨日の内容で青矢印のところを覚えて置いてくださいと申し上げました。その部分を拡大すると

 このようになんと木の木口(繊維方向と直角で水を最も染込み易い部分)には蓋があります。それも屋根から10cm以上内側にあるにもかかわらず。これは太い木の方がこの木口による吸い込みが大きく腐りやすいので、木を使った納まりなのでしょう。何しろこの梁を取り替えるのは大変ですから。

緑の家では・・・残念ですがこの梁の木口は屋根からそんなに内側に後退していません。ですが現在は板金が木の蓋の代わりです。

 しかしそんなに太く厚い木を大事にしているののに屋根はずっと木の屋根、「木羽葺き」なのです。

 一部に苔が生えている。土が溜まると乾きにくいので腐朽原因になるが 苔自体は腐朽には関係ない。

この木羽葺きとは、杉等の木を薄く割って(約3mm)幾重にも重ねて屋根を葺く方法で、新潟県ではポピュラーな屋根なのです。多くの家で石置き木羽葺きだったのでは無いでしょうか?勿論この木羽に何も塗っておりませんが、なかなか長持ちするようで30年位はOKといも言われております。渡辺邸は丁寧な葺きでもっと長持ちしているようです。このように先ずは木の素材の特性を熟知し何か塗る事に頼らない木の使い方がやはり基本でしょう。

以前にもこのブログでお伝えしているように、常時濡れるところにある木は、薄いほど長持ちします。木羽葺きはたった3mmの板です。薄くするのは手間のかかる作業にもかかわらず3mmとしたのはやはり耐久性を重視したのでしょう。 外部雨ざらしで使う木は薄い方が腐りにくいのです。

一方太く大きい木は常時濡れなくとも腐り易いので、木口に蓋をするぐらい気を遣ってます。

屋根が他の木々と同じ色彩で一体化し、30年~50年で再び元に替える日本の家は、まさしく環境と調和した建物です。見事な思想です。

最近オーブルデザインの緑の家でファイバーシングル葺きが多いのは、同じ思想を持って現代の素材を使うからです。ファイバーシングル葺きは、その表面がザラザラしているので多少の砂や養分が屋根に残り、20年以上経つと苔が生えてくるらしいです(特に北側)。多くの建築屋さんではこれを嫌がり、あまり積極的に使われませんが(建て主にこの事実を告げずに使っているところもある)、私ども「緑の家」では大賛成です。苔が生えることを願ってます。そんな家の思想で建築中なのが下の写真の家です。無論、Q値は0.99W/km2で超高断熱。来月、補助金事業で定められた構造見学会を企画中です。  窓が大きく水平ラインが美しくバランスが取れた「豊栄の家」。基本に忠実なフォルムと無塗装の木の外壁、ファイバーシングルの屋根は上の渡辺邸の木羽葺きのような外観となる。

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