新潟の家から 超高断熱高気密の家はバランス

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家を建てる上でネット検索し情報を得ることは非常に簡単。いい世の中になったと思います。昔は図書館や書店などで「家」に関する本を購入。しかしどんなに購入してもいまほどの情報を建て主さんが得ることは不可能でした。ユーザーにとって素晴らしい進歩がこの10年でありました(但し書籍と違いネット情報はいい加減な物が殆ど)。

ところが良く勉強している人にとって逆に陥りがちな間違いがあります。それは・・・

人は自分の必要な情報、又は興味のあることにはとても勉強熱心です。
例えばエコで暖かい家がほしい人は、Q値無論、C値、換気効率やエアコンのCOP等下手な設計者よりよほど勉強されております。こういう方が陥りやすい間違いは「バランス」です。

家は様々な性能や材料で成り立ち、加えてそこに家の敷地条件が加わります。建築士の免許試験でも「構造」、「法規」、「計画」、「施工」の4つの教科がありそこに「設計」が加わり5つの大項目があります。

この5つの中の1つの「計画」にも様々な項目があります。その項目の一つに「温熱環境」や「冷暖房設備」があります。高気密高断熱というのはこの「温熱環境」に属します。逆に言えば数ある家の要素の一つが「高気密高断熱」です。それ以外沢山の要素、性能があり、それらが互いにかみ合って家ができます。

高気密高断熱の施工法である基礎断熱工法は約20年前に北海道から始まり、次第に南下しました。この基礎断熱工法は、床の断熱工法が省略でき、且つ一番やっかいだった床の気密工事も省略できるため、北海道、東北では瞬く間に広がり普及しました。ところが北陸から以南は、温熱環境以外の耐久性性能の対シロアリ対策が弱いため、急激には普及してません。対策をした基礎断熱工法ができるまでは薬剤による対策が一般的となります。
しかしシロアリ薬剤散布は「自然派住宅」から嫌われ、薬剤無し、基礎断熱、それも外側貼り付け断熱を行い耐久性から見ると極めて脆弱な家になっているところもあります。

また、常時地盤面水位が高い敷地に、基礎断熱で床下を暖める工法を勧める設備会社もあり床下から熱が水によって地中に逃げる事さえわからず計画する設備会社も最近ありました。

建築は全てバランスで、設計者はそのバランスを保つ事に神経を集中しております。設計者は細かいところまで全て承知していれば最も良い事なのですが、細部を知らなくとも全てのバランスをとることができる実力の方が大事です。良くオーケストラの指揮者に例えられますが、指揮者の殆どはピアノ演奏が得意です。しかし管楽器や打楽器演奏が得意とは言えないでしょう。でも「そこをもっと激しく」とか、「優しい音色で」とかバランスをとるために指示し全体調和を考え、組み立てます。設計も同様です。

ところが、実務設計者でないとどうしても自分の興味のあるところ以外はおろそかになり失敗する事になります。興味部分以外は「まあ大体でいいや」となるのでしょう。しかし性能は全て絡み合っているのです。

良くある失敗は

自然素材だけに集中し、耐久性など考えなかった。

高気密高断熱だけに集中。

          ↓

家の最重要なことは安全性と耐久性です。

薬剤を使用しない工法では通常耐久性はBランクです。

通風や開放感を得るために、やたら窓だけの家になる

          ↓

都市部では間違い無く通風より耐震性が重要です。
最低でも構造計算書(長期優良住宅認定)がある事が最低条件です。

またある人は

「断熱材の中でセルロースファイバーが一番良い」

と言っていた人もいらっしゃいましたが、
それは適材適所です。プラスチック系断熱材が良い箇所もありますし、何を使おうと気密シートは耐久性の上では外せません。セルロースファーバーを気密性が無い家で第三種換気などしたら、セルロースファーバーの塵が室内に侵入し、その塵に散布されている有害の「ホウ酸」を吸い込みます。

家は数万点の部材でできており、そこに外部環境因子が加わり大変複雑になります。是非過信をしないで、バランスがとれ、法律を熟知し免許を持つ設計者を選びましょう。その方が間違い無く、住むことがいやになるような大きな失敗は少ないですから・・・。

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