最初に・・・
ケンプラッツに南雄三氏(今回のプロジェクト総監督)の記事が記載されております。是非一読を。
先日R2000+の現場で中間気密測定が行われました。
結果はC値1.1cm2/m2K
ダメです。これでは・・・。
当初C値0.53cm2/m2の超高気密住宅が23年経って再び気密測定をし、その調査した事は、国内では初めてに近い検証ではないだろうか?この検証は皆様に今後の気密施工・設計のあり方を示す事ができればありがたい事である。
一体何が悪いのか・・・
その原因を探す事3日間・・・
すると・・・原因らしき事がわかりました。
まずおさらいです・・・
事前調査で発覚した窓周りの気密施工の問題点
以前のブログで(その⑤)、窓周りの気密取り方が現在と違っていて、切りっぱなしのベーパーバリアを木で挟んだだけのものとお伝えしました。
その時は、この窓周りだけがベーパーバリアは木を介して気密を取るという概念で行っていると思いましたが、実はこのR2000+の気密納まりの至る所にこの概念で造られております。
木や合板を介して気密を取ることは現在でも標準で行われており、間違った事ではないでしょう。なぜならこのR2000+の当初の完成時気密測定ではR2000の気密基準(加圧、減圧50Pa時で1.5回/hの換気回数以下)を大きく上回るC値0.53cm2/m2だったと、当時の気密測定をした大学研究室から最近証言(論文)を得ております。また、23年経た改築前もC値1.2cm2/m2と、現在の高気密住宅(東北・北海道では2.0以下)を十分満足しております。ですので下の図にあるように、気密C値2.0cm2/m2以下の施工方法としてなら十分通用する性能ですから、木を介して気密をとる事があながち間違いではありません。
しかしC値が1.0未満の超高気密性能としては少し厳しい数値です。何とか1.0cm2/m2未満にするべく修繕を4日間行っております。
天井の気密シートを合板を介して気密を連続させているが、実際は2階際根太を介している部分もある。ただGWは健全である。
壁の気密シートが床で終わっていて、合板を介して気密を連続させている。
2×4工法(枠組壁工法)では、プラットホームという建築方法が一般的です。このプラットホーム工法では床施工が壁より先行のするため、1階の壁の気密シートと2階の壁の気密シートが木(床組)を介して連続するような施工が多く行われております。これは軸組工法でも行われる事が多く簡便な工法としては良いようです。
ですが、超高気密を目指すときこのやり方は行いません。必ず気密シート同士を重ねて連続させます。これは万一木がやせたり、思わぬ穴や凹み、気密の連続の見落としで隙間ができるのを防ぐためです。また地震による性能低下を抑える効果もあります。
国の仕様書とも言える住宅金融支援機構の「気密施工」解説。
また、生物劣化もあり・・・
玄関内部の床から15cm上部分。
また時にはこのようにシロアリに食われている木材もあります。この部分は加圧防腐防蟻土台に取り付く下地材で、土台は食害にあっておりません。しかし土台と基礎の間には蟻道による隙間が多くあり、そこから空気が漏れるのを確認しました。・・・こういった部分は、解体・開けてみてびっくりです。
さて、超高気密C値1cm2/m2未満を目指すなら・・・やはり気密シート同士をしっかり重ね合わせる「先張りシート」タイプが20年以上経った時に安定感があります(上図の赤丸)。巷では気密シート使わない高気密施工も多々行われておりますが、私は今まで新築でお勧め(設計)したことがありません。上のような事が起こりやすいからですね。合板を介して気密を行う今回の枠組壁工法での気密施工もお勧めできません。
一般的に見れば気密性能C値が1.1cm2/m2でも高気密として良い数値です。しかし長寿命住宅を考えると、経年変化は0.3cm2/m2くらいに抑えたいですね。今回は0.53cm2/m2→1.2と0.7cm2/m2の劣化でした。
さて、R2000+はもう一度中間気密測定を行います。そこで何とか1.0未満、そして完成時に0.9までにしたいと考えております。